瀬戸内海を歩いて渡る 〜しまなみ海道65kmの憂鬱〜

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しまなみ海道 奥多摩じゃない山など
しまなみ海道の謎(でもないか)
まず、名称からビシッと説明します。しまなみ海道、瀬戸内しまなみ海道、西瀬戸自動車道はほぼ同じ意味です。力関係は、しまなみ海道<瀬戸内しまなみ海道<西瀬戸自動車道で、通称、愛称、正式名称の順です(以降、とくに必要がない場合はしまなみ海道と表記します)。ただ、ややこしいんですが、西瀬戸自動車道だけではしまなみ海道は成立しません。生口島内の一般国道317号生口島道路と大島内の一般国道317号大島道路がつながってはじめて全長約60kmのしまなみ海道になります。つまり、西瀬戸自動車道はしまなみ海道より短いことになります。どーでもいいか。ついでに書いておくとしまなみ海道はサイクリングロードとして有名ですが、サイクリングコースはしまなみ海道を50%以上はずれています。コースによりますが、本州・四国間を走ると約70kmになり、サイクリングコースに寄り添っている歩行者の道もほぼ同じ距離です。
しまなみ海道が通る主な島は本州側から向島、因島、生口島、大三島、伯方島、大島で、新尾道大橋、因島大橋、生口橋、多々羅大橋、大三島橋、伯方・大島大橋、来島海峡大橋といった橋で結ばれています。橋には自転車歩行者道と原付道(125cc以下)が併設されていて、今回、瀬戸内海を歩いて渡るのにこの自転車歩行者道をたどります。水面を歩くわけではありません。橋の両端に連絡道路が設けられているんですが、自転車歩行者道と原付道は峻別されています。柔道と剣道くらい区別されています。
瀬戸内海をどう歩くか
瀬戸内海を歩いて渡るにあたって新尾道大橋は除外されます。この橋は人も自転車も通れません。どうしても本州と向島を歩いて渡りたいのなら新尾道大橋のすぐ東隣の尾道大橋を渡ることになります。今回の瀬戸内海歩き渡りは四国の愛媛県・今治をスタートして本州の広島県・尾道をゴールとする計画なんですが、最後の島である向島から尾道に歩くのは時間的、体力的に無理がありそう、向島から尾道駅近くに航行している渡船に乗ってみたい、という理由で向島・尾道間は乗船時間約5分の渡船を利用することにしました。
今治から向島の渡し場までの道のりはざっくり65km。Googleマップで「ここへのルート」を指定すると島々を結ぶフェリーが採用されるのでルート上の丸印をドラッグしてすべて地上を歩けるように修正しなくてはなりません。地上でもそっちよりこっちを歩きたい、などと丸印をテキトーにドラッグしているとルートは荒れ、距離やコースタイムがどこまで忠実に計画を反映しているのかよくわからない状態になってしまいました。まっ、これも旅です。すったもんだの末、歩く距離は65から70kmの間におさまるんじゃないかと目処を立てました。コースタイムは16時間前後。自分係数を掛けると18時間前後になり、渡船の最終便(22時10分のはず)に間に合うにはスタート地点に設定した宿泊地を4時前に出ればバッチグー、なはずです。
「青春18きっぷ」で高知県に帰省したその帰路で瀬戸内海を歩いて渡る計画です。ぜひ『64歳「青春18きっぷ」地獄の高知行き』も読んでください。

「青春18きっぷ」に3つめのハンコでスタート地点の今治へ

高知市で3夜を過ごし、チェックアウトきっかりの10時にホテルを出ました。JR高知駅周辺をぶらぶらしたり土産屋をひやかしたりして時間を潰し、「青春18きっぷ」に3つめのハンコを捺してもらって12時44分発の土讃線・琴平行に乗車。まずは琴平駅をめざします。4両編成です。平日のローカル線にしては長いな、と思っていたら土佐山田駅で後ろ3両を切り離して先頭車両だけが琴平に行くというアナウンスがありました。缶ビールでいい気分になっている場合ではありません。

高知駅

JR高知駅の改札内の階段。アンパンマンの作者やなせたかし氏は高知県出身。高知じゅういろんなところにアンパンやその仲間がいます。

青春18きっぷ

「青春18きっぷ」に3つめのハンコが捺されました。

3両目(だったかな)から先頭車両に移り、切り離し作業を激撮。これで鉄オタの末席につけるというもの、とほくそ笑んでいたらスマホが熱がどーのこーので撮影が途切れては復活、復活しては途切れ状態になってなんとも無惨な映像になってしまいました。険しき鉄オタへの道、です。

切り離し

車両切り離し中。駅係員が連結器(?)をテキパキ操作している動画は撮れず。

線路

いったん左(だったかな)の線路に引っ込んで、しばらくしてバックで出てきて、右に向かって出発しました。なんだったんでしょう。ワンマン運転だったので運転手は後ろ行ったり戻ってきたりで忙しそうでした。後日調べたところ左奥は秘境駅で有名な坪尻という駅らしい。そう言えば駅があったような。勾配がキツいのでスイッチバック式になっているんだそう。くの字くの字で急登をしのぐのと同じです。

琴平駅で土讃線・高松行に乗り換えです。多度津で降りて土讃線から予讃線をまたぐ快速サンポート・観音寺行に乗り換え。次いで観音寺駅で予讃線・松山行に乗り換えです。以前のダイヤの青梅駅の乗り換えみたいに、ホームで2、3回つまづいたらアウト。奥多摩行きに乗り遅れてしまう、そんなシビア乗り換えはありません。乗り継ぎの連続技をそつなく決め、きょうの目的地の今治駅に向かいます。

うどん

阿波池田駅で1時間ちかくの停車。改札を出て駅にくっついているコンビニで「ぶっかけさぬきうどん」を購入。フツーにおいしかったです。

今治駅には21時40分に到着。駅の市街地図をじっくり眺めて投宿先のネットカフェ「バンビーズ」のだいたいの場所を把握します。まっ、このあたりは尾根の取付を探る手順と同じと言えば同じです。

今治駅

今治駅。

同じと言えば同じで、ちょっと迷ってしまいました。コンビニ前で懇談中の若者に道を聞き、15分ほど歩いて「バンビーズ」に到着。「バンビーズ」は愛媛県内に3店舗を展開する「四国最大級!24時間年中無休 大型アミューズ&ネットカフェ」です。

バンビーズ

ネットカフェ「バンビーズ」に到着。なんだか女性がドレス姿でお酒を注いでくれそうな雰囲気です。

大型アミューズの「バンビーズ」はイビキ地獄でした。みんなが部屋替えを依頼してそのお鉢が回ってきたんじゃないかな、ババ抜きでババを引いてしまったのかなと思っているんですが、どーだったのかな。隣室を隔てる壁を震わすほどの轟然たるイビキはもちろんなんですが、突然シーンとなるのも気になってしかたがありませんでした。明らかに睡眠時無呼吸症候群だと思います。シーンとなるたびに、ガンバレ!  息しろ、息!  このさいイビキはいいから、息だよ息! なんてココロの中でエールを送っていると睡眠どころではありません。
それでも2、3時間は寝られたと思います。テント泊や避難小屋泊まりとそれほど違いはありません。4時ちょっと前に起き出してふらつきながらフリードリンクコーナーへ。その前にトイレに寄って顔も洗ってちょっとスッキリ。10種類以上並んだメニューからビーフコンソメを選んでボタンを押すとクルトンまで浮いていて驚きました。立ったままスープを飲みクルトンをかじっているとザックに入れたままのぼうしパンを思い出しました。部屋に戻ってぼうしパンを引っ張り出し、今度はブレンドコーヒーとともに飲食コーナーで喫食。食べ終わってもう1杯ビーフコンソメを飲んで出発の準備です。
蒸れないように外に出しておいた高知市の日曜市で買った生姜やにんにく、ノートパソコンをパッキングし、洗面所で洗ってハンガーに掛けておいたミニオンズの大きいハンカチというか小さいタオルと高知のダイソーで買った麻柄の手ぬぐいを回収して準備完了です。尾根歩きのときのザックはかなり重くてちょっと不安がよぎります。
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