葉わさびは、かっ、かっ、辛かった

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葉ワサビ ごはん
沢で葉ワサビを洗います
ワサビといえばあのゴツゴツした地下茎を鮫皮ですり下ろして薬味に使うのが一般的、なわけはなく、チューブ入りの練りワサビが一般的だと思います。で、わざわざ葉わさびというからには一般的なワサビとは違います。地下茎からワサワサと伸びている葉柄と葉の部分が葉わさびです。花をつけた茎は花わさびと呼びますが、葉わさびの範疇に入れてしまうこともあるようです。地下茎が主で葉わさびは従という関係ではあるんですが、葉わさびもワサビに負けないくらい高級食材です。そもそも簡単には入手できません。でもないか。いまネットで調べたら通販サイトがたくさんヒットしました。春が旬です。
ちなみに奥多摩町のイメージキャラクター「わさぴー」は葉わさびがばっさり切られちゃっています。ツンツンの短髪です。しようがないですよね。葉わさびがついたままだとデザイン的にまとまりがつかないんですよね。きっと。わさぴーの住まいは「奥多摩町の清流にひっそり隠れています。心のきれいな方は出会えるかも。」とのことです。

 

3月某日、わさぴーに出会うのは絶望的なわたくしは奥多摩のトップガンMさんに誘っていただき、某沢に葉わさびを採りに出かけました。放棄されたワサビ田になんとか生き残っている葉わさびを採取しようという計画です。いきなりですが、結論から言うとそこそこの収穫がありました。でもまだ朝早いし、そのまま帰るのはもったいないです。沢沿いに遡ってみることしました。

放棄されたワサビ田

放棄されたワサビ田

 

細い踏み跡や沢に顔を出した岩をトラロープやワイヤーをつかみながらたどっていくと、沢の両側にキチンと手入れされているワサビ田がありました。一枚一枚の田は小さいんですが、上流に向かって何枚も続いているようです。その田の防獣ネットの外に野生化していると思われる葉わさびの小さな群生を発見! と同時に対岸の石垣の向こうからおじさんが顔を出したのを発見!
ワサビ田からはみ出た葉わさびをもらっていいかたずねるも、沢の水音で聞こえないようです。おじさんはこちらをジーと見ています。はみ出た葉わさびを杖と手で囲って引き抜くジェスチャーで訴えたところ、おじさんが手招きするではありませんか。「ゲッ、なんか怒られるのかな」と思いつつ、そこそこ水量の多い沢を渡って対岸へ。着いたとたんにドサッという感じで岩の上に葉わさびが投げ出されました。細いひげ根の伸びた地下茎が付いたままです。のあっけにとられていると、
「持っていって」
とおじさん。4分休符と8分休符が入って
「ありがとうございます」
とわたくしたち。
「沢で洗うといいよ。上まで登るの?」
今度は16分休符ひとつで
「あっ、はい」
というようなやりとりがあって、一昨年(2019年)の台風でワサビ田が大きな被害を受けたことや獣害の話を聞きました。
シカは葉わさびを食べ、イノシシはサワガニを食べるためにワサビ田をほじくり返すらしい。葉わさびを市場に出すこともあるけれどほとんどは料亭なんかの高級料理になる、なんていうこともひとしきり話してくれたあと、おじさんは柄の短いツルハシを手に作業に戻っていきました。ザルで砂をまいてツルハシでザッザッザッとならして大きな石を何個か動かして水の流れを調整してツルハシで微調整して、沢の音が小さければテキパキと音が聞こえてきたはずです。

冒頭と下のの写真がおじさんにいただいた葉わさびです。この2倍くらいの量をいただきました。

葉わさび

葉わさび

 

おじさんと別れ、わたくしたちは沢沿い歩きを続けました。尾根歩き的にもなかなかおもしろいところがあったんですが、それは割愛。

 

というわけで、大量の葉わさびを入手できました。おじさん、ありがとうございます。

帰宅してまず、テキトーに刻んだ葉わさびとカツオ節をご飯にのせてしょう油をちょっとたらして熱いほうじ茶をかけたお茶漬けを食べました。ほのかなワサビの香味が鼻腔と口腔を行き来して「春のおとずれ茶漬け」みたいな風情に包まれました。とてもおいしかったです。

 

ただ食べるのもいいけれど、おひたしとしょう油漬けをつくりたいと思います。ネット情報を漁り、理にかなっていそうで楽そうなレシピを調査。結果、以下の手順で調理しました。

 

  1. 大鍋に水を沸騰させて火を止めて葉わさびをドバッと入れて
  2. 1分ほど放置
  3. ザルにあげて水で冷やす
  4. 葉わさびをグッと絞って水をきり、テキトーな長さ(2〜5センチ? テキトー)に切る
  5. 密閉できるビンなどの容器に入れ、シェイクする。振って振って振りまくる。同時に腰も振っていいんですが手がおろそかになってはいけません。葉わさびの繊維をバラバラにほぐすイメージで容器を1分間ほど振って振って振りまくります。この工程でツーンとくる辛みが出るか出ないかが決まるということです。肉たたきやすりこぎで叩くという方法もあるらしいけれど力加減が難しそうなのでパス
  6. 味付け(しょう油をテキトー、だしとしょう油をテキトー、だしのみ、味付けは食べるときにする、などテキトー)は振りまくる前か振りまくった後に。わたくしはしょう油のみのしょう油漬けと、だし汁のみのおひたしみたいなものをつくりました
  7. 冷蔵庫に放置

 

15時間後に試食。
容器を開けたとたんにワサビの香味が鼻腔を直撃。くしゃみが出そうになりました。
食べてみます。ん? ちっとも辛くないじゃない。失敗? ん? 辛い? 辛いよね、これ、辛い! 辛!! 嚙めば嚙むほどワサビ特有の辛みと風味が口の中で大暴れ。辛いけどおいしいです。
お茶漬けを食べたかったんですがご飯がありません。熱いほうじ茶を飲みながら葉わさびをつまみます。
お酒は夕方まで我慢。お酒は日本酒でしょうか。ビールでもいいか。焼酎も泡盛もいいですね。ピートの効いたラフロイグもいけると思うんだけれどちょっとお高いのでお手頃価格のティーチャーズにしましょうか。ワインはどうかな? フレンチでワサビを使うらしいからワインもいけるのかな。うーむ、お酒ならなんでもいいんじゃないでしょうか。
おそらく、もっと小さく切る(2センチほど。わたくしは4、5センチに切りました)と辛みや香味が素早く立ち上がる切れのいい葉わさびに仕上がると思います。じんわり味わいたい向きには長めがいいのかな。フリフリする長さで辛さを調整できるかもしれません。
フリフリ後

フリフリ後の葉わさび

 

葉わさびと升酒

葉わさびと升酒

 

葉わさびの茶漬け

葉わさびの茶漬け

 

奥多摩の恵みをいただきました。ありがたいことです。感謝です。んー、葉わさびが目にしみます。
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