おいしいキノコを採った 2022晩秋

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きのこ2022ごはん
クリタケ(暫定)

※冒頭でいきなり訂正させていただきます。以下の記事で「暫定クリタケ」と記述しているのはナラタケの仲間ではないかとの指摘を複数の方からいただきました。ありがたいことです。得体のしれない怪しいキノコを見つけて採って食べてみた記録としてお読みいただければ幸いです。げに恐ろしキノコの世界。毒キノコでなくてよかったです。

■茶キノコと白キノコを採ってきた
2022年10月某日、某尾根の名もない支尾根で茶色いクリタケ(推定)と白いマスタケ(推定)を見つけました。

いま思えば生えている様子を撮影しておけばよかったんですが、記録を取るつもりのない尾根歩きだったのでいつもザックのウエストベルトポケットに入れているデジカメは持っていませんでした。ザックからスマホを引っ張り出すのも面倒だったので収穫時の写真は撮らずじまいです。ちょっと残念。

茶キノコはとても大きな朽ちかけた倒木の切株(多分ミズナラ)の周りに畳半分の半分くらいの広さでブワーッと生えていました。キノコは根元でくっついて束になって生えていて(束生と呼ぶらしい)ベリっと引きはがすように採りました。
白キノコはミズナラの大木の胸くらいの高さに密生していました。サルノコシカケなのかなと思ったんですが、柔らかいし微かに芳香があってなんか違います。扇状のキノコを押し上げたか押し下げたか忘れましたが、どちらかはなかなかはがれず、どちらかでかんたんに木からはがれました。

茶キノコ、白キノコともに着替えやゴミ用のビニール袋に8分目ほど採って持ち帰ることに。食べられるかどうかわからないし、意外に重いキノコをどうして持ち帰る気になったのか、自分でもちょっと不思議です。

クリタケかもしれない怪しいキノコ

まだ「暫定」クリタケにもなっていないのでとりあえず玄関に放置している怪しい茶キノコ。軍手は玄関に落ちているんじゃなくて大きさの比較のために置いたものです(念のため)。クリタケは漢字で書くと栗茸。見た目が栗に似ているからだそうなんだけれど傘が開くとこんなふうになる、はずのような気がしないでもありません。

クリタケかもしれない怪しいキノコ

おいしそうなような毒々しいような、怪しい茶キノコ。

マスタケかもしれない怪しい白キノコ

怪しいけれど毒性は少なそう、と判断して台所に置かれた暫定マスタケの白キノコ。マスタケは漢字で書くと鱒茸。鱒の身のようにサーモン色なのが特徴らしいんですが、それはどうやら針葉樹型のこと。広葉樹型はこのように白っぽいのがスタンダードらしいです。このキノコに似ている毒キノコはWebサイトでも図鑑でも見つからなかったので食べてもセーフなはず。 左は計量スプーンの大さじ。キノコの分量を計るわけではなく、大きさの比較です(念のため)。

マスタケかもしれない怪しい白キノコ

怪しい白キノコの接写。見た目は海綿みたいです。手触りは海綿よりもかなり固いんですが、傘の縁はかなり柔らかいです。

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■食べられるのか? 必死に調査
10以上のWebサイトや動画を閲覧し、近所の図書館にあるキノコの図鑑をすべて(といっても4冊だけど)借りてきて何百という写真やイラストを現物と突き合わせ、キノコの同定に心血を注ぎました。必死です。文字通り命がけです。

結果、茶色いのはクリタケ、白いのはマスタケだと確信を得ました、と言うにはほど遠く、十中八九そうなんだろうけど、けど違うかも、けどやっぱり間違いないはず、うーん、そーは言っても、、、みたいな感じ。

該当しそうな何十種類ものキノコをモニターや紙面で見ながら、採ってきたキノコの食べられるキノコに似たところを懸命に探していることにふと気付きました。これは危険です。冷静な観察者の目で見ないと命にかかわります。けれどもやはり「このトラバース(山腹水平移動)にはのっぺり道はないはず」「あの岩崖には巻道があるはず」「うちの子はやればできる」「年内にあと2、3本は仕事が入るはず」みたいなまったく根拠のない楽観に同定作業は流れがちです。そんな自分を戒めながらたどりついた仮説が、茶色いのはクリタケ、白いのはマスタケ、です。

キノコの図鑑

図書館で借りてきた本。手前から
『ポケット図鑑 傘の形でわかる日本のきのこ』(成美堂出版):傘の形は変化するはず。初級を抜けたあたりの人にはグッドな感じ。
『持ち歩き図鑑 おいしいきのこ毒きのこ』(主婦の友社):いい図鑑だと思います。小さくて山に持っていきやすいし。けれども残念ながらどうやら廃版。古書にはとんでもない値段がついていたりするんですが廉価なデジタル版もあるようです。
『ときめくきのこ図鑑』(山と渓谷社):キノコ愛にあふれた図鑑。
『きのこの教科書』(山と渓谷社):学究的にキノコに迫りたい人向けかも。

■座学から実技へ。ニガクリタケだったらアウト。コレラタケでもアウト。
クリタケにとてもよく似たニガクリタケは猛毒らしく、厚生労働省のWebサイトによると毒成分は「カルモジュリン阻害活性を持つファシキュロ-ル、ファシキュリン酸の他、ムスカリン類」といったなんだかわからないけれどあなどれない雰囲気。ニガクリタケを食べてしまうと3時間程度で強い腹痛、激しい嘔吐、下痢、悪寒などの症状が現れるらしい。さらに重症の場合は脱水症状、アシドーシス、痙攣、ショックなどの症状が現れて死亡する場合がある、と記載されています。

見た目はニガクリタケは黄色っぽく、クリタケは茶色っぽい、という違いがあり、また、幸い、かどうか、ニガクリタケは名詮自性、その名前の通りとんでもなく苦いらしいです。

採ってきた茶キノコは黄色っぽくはありません。どう見ても茶色です。この点はセーフでしょう。

と、ここまでは座学。ここからは実技です。先達がやってきたことを現代人のわたくしが改めて身をもって体験するわけです。

暫定クリタケの傘を少しちぎって食べてみます(冒頭の写真の傘が欠けた部分)。

万が一というか、百が一くらいじゃないかなと思いつつ、すぐに吐き出せる準備をしておいて、かじってみます。かんでみます。1回、2回、3回、4回、うーん、キノコらしい風味は感じます。5回、6回、7回。苦くはない、と思うんですが、どうもよくわかりません。それはそうです。生まれてこのかた、ニガクリタケなんて食べたことないんですから。

結局、傘の1cm四方くらいを飲み込みました。少ーしエグ味を感じるんですが苦味とは違います。セーフ、だと思うんですが、飲み込みながら図鑑をパラパラとめくっていると採ってきた茶キノコは致命的な猛毒をもつコレラタケに似てなくもありません。根拠のない楽観と深ーい疑心暗鬼が交互に大波を打って押し寄せます。ドキドキします。

コレラタケはかつてはドクアジロガサという名前だったけれど、覚えにくく猛毒菌の印象が弱いなどの理由からコレラタケと改名されたらしい。食後6〜24時間でコレラに似た激しい下痢や嘔吐が始まって最悪の場合、死に至るというとんでもないキノコです。
うーん。ぱっと見は似ていると言えば似てるんですが、じっくり見比べると傘や柄がかなり違っています。素人の私見なので詳しくは書きませんが「これはコレラタケではありません!」と力強く言える違いがありました。

コレラタケのページ

『ポケット図鑑 傘の形でわかる日本のきのこ』(左)と『持ち歩き図鑑 おいしいきのこ毒きのこ』のコレラタケのページ。わたくしには両者が同じキノコには見えません。成長具合や生育場所なんかでかなり個体差があるんじゃないかと思います。

結局、いろいろな料理でかなりの量の茶キノコを食べたんですが、1週間以上なにもおこらないので少なくともニガクリタケでもコレラタケでもなかったんだと思います。でもクリタケなのかどうかは不明なままです。

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■白キノコの正体
白キノコに似た毒キノコも食べられるキノコもなく、十中八九、マスタケだと確証(ほぼ、だけれども)を得ました。ただ、『持ち歩き図鑑 おいしいきのこ毒きのこ』によるとマスタケには針葉樹型と広葉樹型があって針葉樹型は「黄色みの強いマスタケはよい香り」、広葉樹型は「ほこりくさくて白っぽい」と記載されています。採ってきた白キノコはミズナラに生えていたので広葉樹型。。。おいしくなさそう。

食べ方はフライや天ぷら、味噌漬けなんかがよく、味と食感は鶏肉みたいらしい。けれどもこれはおそらく針葉樹型の話ですよね。まっ、個体差でとんでもなくおいしい広葉樹型に育っているかもしれません。まずはフライで食べてみることにしました。

■そしてついに実食
マッシュルールなど一部のキノコを除いてキノコの生食は中毒を起こす危険があるようです。飲食店でキノコの刺身というメニューがありますが、完全な生ではなく、熱が加えられているようです。そりゃそうですよね、危ないったらありゃしません。

暫定クリタケと暫定マスタケでいろいろつくって食べてみました。

■暫定クリタケ

暫定クリタケのバター炒め

暫定クリタケのバター炒め。軽く塩コショウ、しょう油ポタポタで食べました。おいしいです。キノコ特有の旨味があって、とくに柄のシャキシャキとした食感がたまりません。

暫定クリタケのオムレツ

バター炒めの残りに溶き卵を投入してオムレツに。これもおいしいです。

暫定クリタケを茹でてそばにします

暫定クリタケを茹でると水はすぐに茶色になります。アクなのでしょうか旨味なのでしょうか、多分、両方が合わさった出汁なのでしょう。

暫定クリタケの茹で汁でうどんをつくりました

暫定クリタケと茹で汁で暫定クリタケ玉ワカメうどんをつくりました。山のものには海のものを合わせるとおいしい、と聞いたことがあります。山の暫定クリタケ、海のワカメに加え、岡の玉子の投入でおいしさアップです。

 

暫定クリタケの炊き込みご飯と暫定クリタケ味噌汁

暫定クリタケの炊き込みご飯と暫定クリタケ味噌汁。こんな名前のメニューがあったら怖くて頼めません。

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■暫定マスタケ

暫定マスタケ

暫定マスタケをテキトーな厚さに切り、

暫定マスタケ

茹でこぼします。暫定クリタケみたいに色が出ることはありません。

暫定マスタケのフライ

茹でこぼした暫定マスタケに小麦粉、卵液、パン粉をつけて揚げます。

暫定マスタケのフライ

暫定マスタケのフライの完成。塩と中濃ソースで一切れずつ食べてみました。事前調査通り、食感も味も鶏むね肉によく似ています。そっくりです。後味にキノコっぽい風味というか旨味というかかすかなえぐみがやってきます。おいしいかまずいか、問われればおいしいです。とてもおいしいかと問われればフツーです。 1時間ちょっと体に変化がないか様子をみるために室内でフツーになんやかんや動きながらすごしました。幸いなにも起こりません。マスタケかどうかはともかく、わたくしの体には悪さをしないキノコらしい、ということが判明。 マスタケカツカレーもつくって食べました。これはとてもおいしかったです。

■茶キノコはまた見つけたら採るけれど
暫定クリタケは見つけたら迷わずまた採ります。おいしいキノコです。暫定マスタケは微妙。まずくはないけれどまた食べたいかと問われればそーとー悩みます。そんなに悩むなら食べるなよ、とゆーとこに落ち着きます。

■マイタケも見つけて採って食べました
暫定クリタケと暫定マスタケを見つける少し前の10月某日、某尾根の急降下の途中で「下ってきて」などとつぶやきながら急勾配の上に向かってカメラを構えて撮影して振り返ると、なんと足元にマイタケ生えていました。ミズナラの大木の太い根に貼り付くように小さな株が2つ。おいしくいただきました。

マイタケ

某尾根の急降下中に見つけたマイタケ。落ち葉そっくりです。夕闇が迫っていたので喜びの舞を舞う余裕はなく、急いで収穫して急降下に復帰しました。

※この記事は『奥多摩トラバース』運営者の徹底的に個人的な体験や観察、意見です。くれぐれも鵜呑みにしないでください。

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