奥多摩の天然イワナをいただき、燻製にしました。
燻製作りの工程はおおよそ以下の通りです。
①塩漬け、味付け
②乾燥
③燻煙
今回のイワナをはじめベーコンや燻玉などの多くの燻製は上記の手順でつくりますが、例えばミックスナッツやシシャモ、魚肉ソーセージ、はんぺん、チーズ、塩、醤油、オリーブオイルなどは③燻煙のみでつくれます。変わり種の豆腐なんかは②乾燥と③燻煙で燻製にします。
■ソミュール液づくり
ソミュール液は塩分や味を食材に均等にに浸透させるための漬け液です。多くのレシピはソミュール液の塩分は10%〜30%に調整し、漬け込みが終わると数十分から数時間かけて流水で塩抜きします。おそらく濃い塩分で食材の保存度を高め、そのままだと塩っぱすぎるので塩抜きする、という理屈だと思います。けれどもどうしても塩抜きの工程が無駄というかめんどーに思えてしかたがありません。時間がかかるし水道代もかかり、食材の旨味も抜けてしまうと思うんです。
そういうわけでわたくしは、ソミュール液の塩分を2%程度にして塩抜きはしない、という方法をとっています。
■漬け込み
イワナの表面のヌメリやお腹の中に残っている血合いを水道水で優しくサッと洗います。実はこの「サッと」具合にこだわりがあります。キッチリ丁寧に取り去ってしまうとせっかくの奥多摩の渓流の風味まで流れ去りそうでもったいないと思うのです。
冷蔵庫へ。
■乾燥
イワナの漬け込みは丸一日くらいでじゅうぶんだと思いますが、今回は40時間ほど冷蔵庫に入れていました。イワナを漬け込んだソミュール液は雑菌が心配なので捨てます。ゆで卵を漬け込んだ醤油ベースのソミュール液はもったいないので2回は使います。ゆで卵は大丈夫、なんて根拠は一切ありませんが。
ここから乾燥の工程に入ります。
漬け込みの終わったイワナの水分をキッチンペーパーで拭き取ります。食材が傷みにくい冬場なら釣具店などで売っている干物カゴに食材を入れて屋外に吊して乾燥させるんですが、天然イワナを手に入れられるのは夏場がメイン。乾燥は冷蔵庫で行います。このとき使っているのが「ピチット」(アマゾンへ)という食品用の脱水シートです。食材に密着させておくと水分を取り去ってくれるなかなか便利なシートです。一夜干しなんかも干さなくてもそれなりにつくれてしまいます。
メーカーのうたい文句には「水分と臭みを取り除く」とありますが、臭みが取り除かれているのかどうかはわたくしにはよくわかりません。上の写真でイワナの下に敷いているぶ厚いビニールみたいなものがピチットです。イワナなんかの乾燥には絶好の商品なんですが、問題はちょっとお高いところ。わたくしは使い終わったピチットは平らにして陰干しし、再利用しています。再利用時は食品や調理器具の除菌用アルコール(アマゾンへ)を噴霧して消毒するようにしています。
お腹にキッチンペーパーを詰めてピチットで一匹一匹キッチリ包んだイワナのピチット巻をさらにサランラップで包んで輪ゴムで留めてから冷蔵庫に入れます。
イワナくらいの大きさなら丸一日でかなり水分が抜けて乾燥すると思いますが、今回は二日間ほど放置しました。
乾燥を終えたイワナは水分が抜けて体表にシワが寄っています。触ると濡れた感じやヌメリはなく、サラサラというわけではないですがサラリとしています。これくらいに乾燥していると燻煙したとき煙がのりやすいです。