奥多摩尾根歩き
水ノ窪右岸尾根、篶坂ノ丸北東尾根、金袋山東尾根、一石山南尾根

(水ノ窪右岸尾根、篶坂ノ丸北東尾根)


今回は水ノ窪右岸尾根を登り、篶坂ノ丸北東尾根(材木小屋窪二俣中間尾根)を下り、金袋山東尾根(峰小屋尾根)を登り、一石山南尾根を下りました。
いずれもタワ尾根の下半分の支尾根です。水ノ窪右岸尾根一石山南尾根はタワ尾根の南面、篶坂ノ丸北東尾根金袋山東尾根は北面に下っています。名前は水ノ窪右岸尾根のほかはテキトーです。水ノ窪右岸尾根の名前はbistariさん(『山山逍遥』『ヤマレコ』)の記録をはじめ、ぽつりぽつりと見受けました。ほんとーにぽつり、ぽつりで2つ見つかりました(もうひとつは、かつ~さん『YAMAP』)。
今回は「短い尾根をゴニョゴニョとシリーズ」第5弾です([第1弾神庭沢左岸尾根、塩地ノ頭北西尾根、ヨコスズ山東尾根、倉沢オキ尾根][第2弾黒山西尾根、タカサス沢右岸尾根、惣岳山東尾根][第3弾石原小屋窪左岸尾根と右岸尾根、篶ヶ窪左岸尾根と右岸尾根][第4弾森沢右俣左岸尾根、大羽根沢ナタ沢中間尾根])。短い尾根だからとなめきっていました。とくに最後に下った一石山南尾根には辛酸をなめさせられました。なめ返しに会いました。たっぷりと。

コース JR青梅線奥多摩駅→[START]鍾乳洞バス停→小川谷林道→(10分)水ノ窪右岸尾根登り口→水ノ窪右岸尾根取付→水ノ窪右岸尾根→(2時間20分)人形山と篶坂ノ丸の中間あたり(タワ尾根)→金袋山→(35分)篶坂ノ丸→篶坂ノ丸北東尾根→(35分)小川谷上段歩道→(35分)金袋山東尾根取付→金袋山東尾根→(1時間)金袋山→タワ尾根→(25分)一石山南尾根下降点→一石山南尾根→(1時間35分)日原林道→(15分)[GOAL]中日原バス停
(7時間30分)
歩いた日 2023年5月12日(金)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ~、そ~、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

JR青梅線奥多摩駅→[START]鍾乳洞バス停→小川谷林道→(10分)水ノ窪右岸尾根登り口→水ノ窪右岸尾根取付→水ノ窪右岸尾根→(2時間20分)人形山と篶坂ノ丸の中間あたり(タワ尾根)→金袋山→(35分)篶坂ノ丸→篶坂ノ丸北東尾根→(35分)小川谷上段歩道


水ノ窪右岸尾根は日原雲取道(旧日原林道)から取付いたんですが、日原林道から日原雲取道を探し当てるまでがなかなかたいへんでした。尾根は高度を上げるにしたがいだんだんと明るい広葉樹に覆われ、タワ尾根の直下では美しい新緑に包まれました。
水ノ窪右岸尾根三ツ又窪尾根として上半分くらいを下ったことがあります。
篶坂ノ丸北東尾根の分岐は気を使いましたが、雑木に覆われた尾根は心地よく、ヤセ尾根もあったりして、まだ続いてもいいのに、などと思える尾根でした。

おはようございます。奥多摩駅からバスに乗り、平日の終点、鍾乳洞バス停で降りました。ぎっしりだった乗客は川乗橋でドッと降り、東日原でチョット降り、鍾乳洞は2人。ベテラン男性ハイカーさんは唐松谷林道から芋ノ木ドッケをめざすそう。健脚です。挨拶を交わして先に出発しました。
目と鼻の先の小川谷橋を渡って左折し、日原林道へ。
バス停から10分足らず、擁壁につけられた坂道を登りまずは日原雲取道をめざします。
そこそこしっかりした踏み跡があるんですが、窪地の右を登る踏み跡と窪地を渡る踏み跡があり、なんとなく右を選択。
とんでもない急登です。地面は雨を吸っていて滑ります。
登ってきました。窪地を渡り、直登を続けていたんですが、あまりにキツいので左へ斜上。
踏み跡? みたいな踏み跡をたどってもうひとつの窪地を渡ります。
登ってきて
植林の中に入っていきます。これは日原雲取道でしょうか。
突き出た大岩に出ました。岩に筋状の踏み跡が見えます。進みかけたんですが、あまりにもデンジャラス。ちょっと引き返して
小尾根を登ります。
登ってきて
そこそこしっかりした踏み跡にぶつかりました。日原雲取道? わかりません。
ちょっぴりたどってみたんですが、なんだか頼りない雰囲気です。
さらに小尾根を登ってみます。
で、標高760m(以降、「標高」は省略)あたりでこれこそ日原雲取道でしょう、みたいな道にぶつかりました。これが日原雲取道でなければ世の中のほとんどのことが信じられません。
と思ってはみたものの、路肩がなくなってのっぺりしたり
グズグズの崩落地を渡ったりして、日原雲取道ってこんな道だっけ、などと疑心のガスが揺れ流れたりしていると
見覚えのある水ノ窪に着きました。
右岸にはドーンと巨岩と2本の大木が立っています。大木はどー見てもスギですが、なぜか松岩という名前がついています。
日原村に住むトメキチとハツ。恋仲だけれども親同士は村中があきれるほどの犬猿の仲で、二人が人目をはばかり逢瀬を重ねたのがこの巨岩の陰。しかし二人の仲は隠しきれず、ある日ハツは青梅宿に奉公に出されてしまう。なにも知らないトメキチはいく日もいく日も巨岩に通いハツを待った。
そしてある日、ハツに縁切りされたと思ったトメキチは絶望のあまり巨岩の上から見を投げてしまう。ちょうど同じ頃、ハツは奉公先で気の病に伏せたまま亡くなった。懐に残された短い手紙には「トメキチが待っています。行きたい」。
手紙を手にしたハツの両親は娘を哀れに思い、目も合わせなかったトメキチの両親とともに巨岩を訪れ、もう待つこともなくいつまでも一緒にいられるようにと2本のスギの苗を植えて冥福を祈った。
年月はたち、水ノ窪で喉を潤しながら巨岩とスギを見上げる村人たちはいつの間にかこの地を待つ岩と呼ぶようになったそう。
松岩ではなく待つ岩だった、というお話です。
さらに年月は流れ、「あみん」という女性デュオがこの切ない物語を題材に『待つわ』という楽曲を発表して大ヒットしたのはまた別の話。ホントーに別の話。
そんな松岩を出発してすぐ、奥に水ノ窪右岸尾根が見えてきました。
水ノ窪右岸尾根に着きました。謎の朽ちかけた黒ホースが横たわっていて、尾根向こうには古びたフェンスがあります。ここから取付きます。左手は採石場の岩崖記号が並んだデンジャラスゾーンです。
登ってきました。振り向くと
鉄の支柱が立っています。800mあたりです。日原雲取道は左へのびています。
枝打ちされた枝葉を乗り越えながらテキトーに登ります。
ポカリと明るい場所にミツマタの小さな群生地がありました。和紙の原料になるミツマタです。ややこしい男女関係の三股ではありません。んっ、そーいえばすぐ西に三ツ又窪という涸れ沢があるんですが、三ツ又はミツマタかもしれません。地形図を見る限り三ツ又窪は三又にはなっていません。
などと思いながら登っていると左手から雑木が迫ってきました。
登ってきて
石舞台みたいな岩の向こうに急登が見え、
グーッと登ってきて
いつのものか、食べ残していたチョコレート菓子を立ち食いしながらちょっと休憩。
左手の葉っぱの向こうに三つ又窪対岸のノケ岩尾根がかすかに見えています。
岩場になりました。ちょっとしたイベントです。
楽に巻けそうでしたが落ち葉の積もった岩の隙間をたどって
岩の上に登ってみました。
登ります。
登ってきて
右手上にタワ尾根の稜線が見えてきて
1220mあたりでタワ尾根に乗りました。これにて水ノ窪右岸尾根はおしまいです。
篶坂ノ丸をめざします。右手に金袋山の山頂を眺めながら通過し、
ロープの張られた篶坂ノ丸北東尾根の下降点を通過し、
篶坂ノ丸の山頂に到着です。とくにすることはないのですぐにUターン。
篶坂ノ丸北東尾根の下降点に戻ってきました。
タワ尾根をはなれて篶坂ノ丸北東尾根を下ります。
1380m圏の分岐です。右はかつて歩いた篶坂ノ丸東尾根です。左へ。
下ります。
1330m圏の微妙な分岐。左へ。
ベリっと剥がれた木の根っこを通過し、
1270m圏。めちゃくちゃ急降下です。小川谷の対岸にうっすらと長沢背稜のどこかが見えています、っていう情報は意味ないか。
地形図通りにグニュッとゆがんだ地形が見えてきました。篶坂ノ丸北東尾根は右に下ります。

などとのんきに歩いていくと
尾根はグッとヤセました。
1210m圏の分岐は右へ。
左の尾根は崖でした。
下ってきて
下ります。急降下が続いています。シカがピキィーピキィー鳴いています。
良い子も悪い子も近づかないほうがよさげな場所を通過したりもします。
下ってきて
小川谷上段歩道に降りました。これにて篶坂ノ丸北東尾根はおしまいです。ポコリとした小さなピークの向こうは材木小屋窪の二俣分岐に落ち込んでいるはずです。
次は金袋山東尾根です。小川谷上段歩道を東へ下ります。