エコなバーナー(ストーブ)を見つけました。壊れても、いらなくなればすぐに捨てられる環境に優しい超エコなシングルバーナーの紹介です。登山やキャンプに最適ですが、ちょっとかさばり気味で重量もやや重め。一度に大容量の調理が可能なので、どちらかというとソロよりはパーティーでの装備に向いています。
このスグレモノは千葉県佐倉市の国立歴史博物館にありました。ギアの正式名称は「移動式竈(いどうしきかまど)」で、発売は古墳時代中期の5世紀頃とちょっと古め。仕様書がないので残念ながら詳しいことはわかりませんが各パーツの推定値を下から順番に記します。
竈(かめ バーナー)
原産国:日本(大阪府 蔀屋北遺跡 しとみやきたいせき)
サイズ:幅50cm、奥行き50cm、高さ50cm
重さ:2.2kg
材質:土
甕(かめ アタッチメント)
原産国:日本(大阪府 蔀屋北遺跡)
サイズ:幅40cm、奥行き40cm、高さ30cm
重さ:1.5kg
材質:土
甑(こしき クッカー)
原産国:日本(大阪府 蔀屋北遺跡)
サイズ:幅50cm、奥行き45cm、高さ45cm(ふた部も含めて)
重さ:1.8kg
材質:土
使用時
サイズ:幅50cm、奥行き40cm、高さ90cm
重さ:5.5kg
使用燃料:小枝や松ぼっくり等
発熱量:燃料に依存
収納時
サイズ:使用時と同じ
価格
応相談
通常はアタッチメント部に水、小穴のあいたクッカーに穀物などの食材を入れ、バーナーに点火して食材を蒸すという使い方をします。もちろん、アタッチメントで沸いた水はカップ麺やコーヒーに利用できるし、レトルトはあらかじめ放り込んでおけばいいし、お湯だけが欲しいときはクッカーははずしてそのあたりに転がしておけばOK。アタッチメントやクッカーを取り替えれば少人数から大人数の調理に対応できます。
数々の特徴があるんですが、やはり「移動式竈」のすごいところはそのエコ偏差値の高さでしょう。素材は土のみですから、オートキャンプ場などではともかく山中での環境との親和性は抜群です。万が一、バーナー一式を置き忘れてもさほど気にする必要はありません。公式なデータはそろっていませんが、環境に悪さをするという知見はまだありません。
「移動式竈」は基本的に直火で使う仕様なので、使う場所には注意が必要です。とはいっても、いまはコンパクトで使い勝手のいい焚き火台なんかが数多く販売されているので、そういったギアとの組み合わせればオリジナルティーあふれる自慢の一品になること請け合いです。マナーを守り、炭や灰はきちんと持ち帰りましょう。
「移動式竈」の入手は現在かなり困難です。残念なことに職人のみなさんが物故者になっているためです。イベント的に製造されることはあるようですが、新モデル発売の目処は立っていないと思われます。畦道なんかを歩いていてひょっとしたら中古の「移動式竈」が土に埋まっていたりすることがあるかもしれません。超ラッキーです。ですが、そんなときは最寄りの歴史館とか郷土資料館とか教育委員会に連絡したほうがいいでしょう。となれば、DIYがいちばんです。ホームセンターなどで陶芸用の土を入手すれば、デザイン的にも技術的にもつくること自体はそれほど難しくはないと思います。いかがなものでしょう。
手先は器用じゃないし、クッカーなんかの込みで5.5kgのバーナーを背負うほど体力のないわたくしはSOTOのアミカス SOD-320というバーナーを使っています。外形寸法は、幅76X奥行100X高さ86mm(使用時・本体のみ)、幅40X奥行43X高さ75mm(収納時)。重量は81g(本体のみ)。「移動式竈」より相当小さくて軽いです。
古墳時代の尾根歩きはそーとーキツかったでしょうね。