奥多摩尾根歩き
岩茸オキ尾根、日向窪赤石窪中間尾根

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今回は岩茸オキ尾根(いわたけおきおね)を登り、日向窪赤石窪中間尾根(ひなたくぼあかいしくぼちゅうかんおね)を下りました。どちらも雲取山の東面にある尾根です。
岩茸オキ尾根はゴンエ谷と岩茸谷という谷に挟まれた尾根で、大雲取谷(おおくもとりだに)とゴンエ谷の出合あたりから野陣尾根(のじんおね 富田新道)のサワラノ平という場所までせり上がっています。サワラノ平をてっぺんにして唐松谷林道(からまつだにりんどう)に下っているのが日向窪赤石窪中間尾根で、文字通り日向窪と赤石窪の中間の尾根です。ぐっと縮めると今回は野陣尾根(のじんおね 富田新道)をサワラノ平で乗り越す尾根歩きということになります。
岩茸オキ尾根の名前は『山と高原地図23 奥多摩 2012』(昭文社)や『奥多摩 登山詳細地図(西編)2017』(吉備人出版)に記載されています。日向窪赤石窪中間尾根はテキトーな名付けです。
どちらも野陣尾根の支尾根という立場ですが、岩茸オキ尾根は堂々とした支尾根。一方、日向窪赤石窪中間尾根は「エッ、君いたの?」みたいなちっちゃな目立たない子尾根。メインは岩茸オキ尾根ではありますが、「尾根に貴賤はない!」と鼻息も荒く雲取山の懐に踏み入ったのでした。
※GPS衛星はわたくしに補足されるのを嫌ったのでしょうか、ログがところどころ乱れています。

コース JR青梅線奥多摩駅→[START]東日原バス停→日原林道→(45分)八丁橋→(1時間10分)唐松谷林道分岐→(20分)大ダワ・雲取山分岐→大雲取谷渡渉→権衛尾根の支尾根→ゴンエ谷渡渉→(1時間30分)岩茸オキ尾根の取付→岩茸オキ尾根→(1時間50分)サワラノ平→日向窪赤石窪中間尾根→(55分)唐松谷林道→野陣尾根分岐→(1時間15分)日原林道→(1時間)八丁橋→(45分)[GOAL]東日原バス停
(9時間30分)
歩いた日 2021年10月16日(土)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

JR青梅線奥多摩駅→[START]東日原バス停→日原林道→(45分)八丁橋→(1時間10分)唐松谷林道分岐→(20分)大ダワ・雲取山分岐→大雲取谷渡渉→権衛尾根の支尾根→ゴンエ谷渡渉→(1時間30分)岩茸オキ尾根の取付


岩茸オキ尾根は取付までがかなり大変でした。大ダワ林道に踏み入ってちょっとの先から大雲取谷(おおくもとりだに)に下り、大雲取谷をジャンプと石伝いで渡渉。正面の権衛尾根(ごんえおね)の支尾根にかじりついて恐怖のトラバースで支尾根を回り込み、ゴンエ谷にようやく到着するも、大雲取谷とゴンエ谷の出合からはとてもじゃないけれど取り付けそうにもありません。ゴンエ谷を少し遡上してようやく対岸の岩茸オキ尾根の横っ腹に取り付けそうな場所を見つけました。

おはようございます。東日原バス停から日原街道、日原林道をてくてく歩き、八丁橋(はっちょうはし)を渡ります。JR某駅から奥多摩のトップガンMさんと一緒でした。Mさんは小川谷橋(おがわだにばし)を渡り右へ、わたくしは左へ。彼は三又(みまた みつまた)を基点に逍遥するらしいです。
八丁橋から坂をちょっと登ると右手は天祖山(てんそさん)の登山口です。正面のゲート横を抜けます。
下山路の唐松谷林道は「通行止め」ではあるんですが、「歩行される場合は細心の注意を払って通行してください」とも書かれています。
長い林道歩きが続きます。
ヤケト尾根への入口を通過します。
きれいな青空が見えたのは一瞬でずーっと曇天でした。
謎の軍手。「ご自由にお使いください」なのでしょうか。きょうは間に合っています。
ツバノ尾根への入口を通過します。
名栗橋(なぐりはし)を渡ります。名栗沢はかなりの水が流れていました。
砂防工事(?)の現場を通過します。
「富田新道・雲取山 唐松谷・ブナ坂」への分岐を通過します。計画通りに歩ければ帰路はここを登ってきます。
「富田新道・雲取山 唐松谷・ブナ坂」の分岐から約20分、ここから「大ダワ・雲取山」方面へ下ります。大ダワ林道はここからということでしょうか。よくわかりませんが、そういうことにしておきます。
林道の工事をしているので河川に立ち入るのは禁止。
長沢谷(ながさわたに)に向かって下ります。
眼下に木橋が見えてきました。
長沢谷を渡ります。
上流側にはロープが張られていました。
二軒小屋尾根の下端部の横っ腹をくの字くの字で登ってきました。
二軒小屋尾根に乗ります。
二軒小屋尾根です。右から登ってきました。二軒小屋尾根を乗り越して左奥に大ダワ林道は続きます。ペットボトルに詰めてきたほうじ茶を飲んでちょっと休憩。鼻息も荒く出発したんですが、すでにただ息が荒いだけです。
大ダワ林道を進みます。大雲取谷の水の流れが大きく聞こえてきます。
ここは桟道は無いと思ったほうが吉。
二軒小屋尾根を乗り越して3、4分で「シカ柵設置工 38,い」のポスターに到着。頭上にチラチラ見えていたシカ柵が林道にぐっと近寄った地点です。これが大雲取谷へ降りる目印になるらしい。東京緑峰クラブのタナカさん(氷川屏風岩尾根で一緒に歩いたというか先にスイスイ登っていったTさん )の記録「奥多摩 権衛尾根、雲取山、野陣尾根 2021.1.22」を参考にさせていただきました。というか、そのままですが。
振り向くと大雲取谷への緩斜面に踏み跡があります。
小さなくの字くの字で下ってきました。
下ります。大雲取谷はもうすぐです。
大雲取谷に降りました。大雲取谷を渡渉し、対岸の権衛尾根の支尾根の下端を下流のゴンエ谷出合まで回り込んでゴンエ谷を渡渉し、岩茸オキ尾根に取り付く、というのがここに立つまでのイメージでした。ところがとんでもありません。下流側はそこそこ切り立った両岸いっぱいに水が流れていて進みようがありません(写真を撮り忘れました)。上流に向かってみることにしました(このブレた写真です)。
渡れそうな場所を見つけました。あちらからジャンプ、浅い所、岩、岩と大雲取谷を渡ってきました。
支尾根の下端を回り込むことはできそうにないので支尾根を乗り越していくしかありません。
木の根っこを探りながら登ってきました。
あの大岩を目指して登ります。
2段サルノコシカケと右の大岩の間から登ってきました。
大岩の向こうはヤセ尾根でした。鞍部に下ります。
右下に見える大雲取谷は背後をぐーっと回り込んで
左下に見えます。
鞍部からの急登です。権衛尾根の支尾根のピークに向かいます。
急登ですが足がかり手がかりは十分あります。
登ってきて
登ろうと思ったんですが、
薄いけれども左にのびるトラバース(山腹水平移動)道を発見。支尾根を登っていくよりトラバースが楽に決まっています。
トラバース道はすぐに上下に分かれました。いずれ谷に降りるので下をチョイス。
恐怖ののっぺり道でした。怖かったです。滑り落ちたらかなりの確率で大雲取谷まで止まらないでしょう。迷った末に持ってこなかったピッケルがあればもう少し安全に歩けたはずです。
まだまだ危ないトラバースが続きます。
ここなんかは滑り落ちてもなんとかなりそうです。なんともならなくてアウト! みたいな場所がいくらでもありました。1アウトならまだいいんですが、いきなり3アウトチェンジです。いや、チェンジならまだいいんですが、試合終了です。
傾斜がゆるみ、向こうに隣の支尾根の稜線が見えてきました。
近づくと支尾根の子尾根みたいな尾根でした。ここを乗り越し、
回り込んでいき、
美しい権衛尾根の支尾根を見上げます。トラバースを選択したのは十中八九、失敗だったのでしょう。トラバースせずに支尾根を登り切り、この支尾根を下ってくればはるかに安全度は高く、気持ちよく歩けた可能性大です。もう少しルートを説明すると、わたくしは逆さまのYの字の短い線の途中からから隣の短い線(この支尾根)へトラバースしてきたんですが、短い線を分岐まで登りきって隣の短い線(この支尾根)を下ればよかった、はずです。まっ、尾根伝いには歩いていませんから「はず」としか言えませんが。
支尾根の向こう側をゴンエ谷が大きな音を立てて流れています。
対岸は目指す岩茸オキ尾根の下端部です。
支尾根を少し下りました。画面中央は大雲取谷とゴンエ谷の出合です。滑り落ちそうなので腕をいっぱいいっぱい伸ばしてシャッターを切りました。大雲取谷とゴンエ谷の出合に降りるのは無理です。かりに降りられても最下端部から岩茸オキ尾根に取り付けるとは思えません。
岩茸オキ尾根の横っ腹に取り付き、尾根に乗るしかなさそうです。ゴンエ谷に降りられそうな場所を探しながら権衛尾根の支尾根を登り返します。
緩い斜面を下り、ゴンエ谷に降りてきました。対岸に斜上する踏み跡が(画面中央)見えます。あれを登れば尾根上に立てる可能性大です。
ゴンエ谷を渡りました。対岸は権衛尾根の支尾根の優美な稜線です。
登ってきて
登ります。道はあるようなないようなものなのでテキトーに登ります。
登ってきて
ようやく、やっとのことで岩茸オキ尾根に立ちました。1140mあたりです。