■燻煙
いよいよ燻製づくりのハイライト、燻煙です。その前にちょっとした下準備が二つあります。
まず爪楊枝を使ってイワナのお腹をカパッと開きます。イワナの大きさに合わせて爪楊枝を適当な長さに折り、お腹にはめます。
下準備の二つ目は温乾という作業です。温乾とは60℃くらいの温度で食材を乾燥させる工程で、冬場などに外気で乾燥させることは風乾といいます。今回の温乾は乾燥させるというよりはイワナの身に熱を入れ、できあがった燻製をそのまま食べられるようにするための作業です。
イワナの口にフックを通してガスコンロのうえに載せた燻製器(わたくしが使っている上の写真はこれ。少々お高いですが一生モノです。アマゾンへ)にぶら下げ、ガス火で60℃強程度を保ちながら1時間ほど熱をかけます。
これで燻煙前の下準備はおしまいです。
ガスの火を消し、いよいよ燻煙です。燻煙にはスモークウッドという細かいおが屑を押しかためた四角いテーブルの脚みたいな形の燻煙材を使います。換気扇を回しながらガスレンジの上で燻煙しています。スモークウッドにはサクラやリンゴ、クルミ、ナラ、ブナなどいろいろな種類があります。今回使ったのはサクラ(アマゾンへ)です。燻煙の方法によってはぶ厚いコーンフレークみたいなスモークチップという燻煙材を使うこともあります。
スモークウッドを豆腐の4分の1くらいに折って火を付けてくゆらし、イワナに煙をかけます。いつもほったらかしにしておくのではっきりした時間はわからないのですが、スモークウッドは小一時間ほどで灰になります。
これで燻煙はおしまいです。イワナは燻煙器に入れたまま燻煙器の温度が室温になるくらいまで放置しておきます(スモークウッド がくゆるだけでもそこそこの熱は出ます)。すぐに取り出してもいいとは思うんですが、室温になるくらいまで放置しておくと煙も落ち着いて部屋のあちこちに煙が流れ込まなくてすみます。
これにてイワナの燻製は完成です。
そのままちぎって食べられるし、軽く炙ってもおいいしいです。さらに、残った頭や骨をほんのチョッピリ焦がして骨酒にすれば長沢背稜が手のひらに乗って踊るのが見えるくらい飲めます。言い過ぎか。
味ですか? それはまー、食べての飲んでのお楽しみです。
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