奥多摩尾根歩き
刈寄山南尾根、刈寄山北西尾根

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今回はナメイリ沢右岸尾根を登り、石津窪左岸尾根(いしづくぼさがんおね)を下り、刈寄山南尾根(かりよせやまみなみおね)を登り、刈寄山北西尾根を下りました。
前回の市道沢右岸尾根通り尾根石津窪右岸尾根高萱尾根と同じく、すべて戸倉三山(臼杵山、市道山、刈寄山)に囲まれた尾根です。それぞれの場所は下の地図を参照してください。
尾根の名前はテキトーです。沢の名前は『山と高原地図23 奥多摩』(2012 昭文社)や『東京起点沢登りルート120』(宗像兵一 山と渓谷社)、1950年代や60年代の書籍や雑誌を調べました。資料によって名前や位置に微妙な差があったりするのをぐーっと『奥多摩尾根歩き』なりに収斂させた結果です。ご了承ください。
ちょっと長めなのでこれまた前回と同様に前編ナメイリ沢右岸尾根石津窪左岸尾根と後編「刈寄山南尾根刈寄山北西尾根」に分けました。このページは後編です。
※「標高」は省略します。
コース JR五日市線武蔵五日市駅→[START]沢戸橋バス停→盆堀林道→金堀沢伝名沢出合(299m標高点)→(1時間)ナメイリ沢右岸尾根取付(伝名沢林道)→ナメイリ沢右岸尾根→(1時間40分)高萱尾根730m圏(石津窪左岸尾根下降点)→石津窪左岸尾根→667m標高点→(1時間10分)千ヶ沢市道沢出合あたり(千ヶ沢林道)→市道沢見学→盆堀林道→(30分)刈寄山南尾根取付→刈寄山南尾根→(1時間45分)刈寄山南西の登山道(680m圏)→刈寄山北西尾根→(1時間20分)金掘沢石仁田沢出合→盆堀林道→沢戸橋→檜原街道→(1時間45分)[GOAL]JR五日市線武蔵五日市駅
(9時間10分)
歩いた日 2025年2月22日(土)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

市道沢見学→盆堀林道→(30分)刈寄山南尾根取付→刈寄山南尾根→(1時間45分)刈寄山南西の登山道(680m圏)


刈寄山南尾根はそもそも取付けるかどうかが出発前の懸案事項でした。取付けました。取付けたのはいいけれどとんでもないことになりました。伐採地の縁を必死に登ったナメイリ沢右岸尾根とよく似た状況になり、、、。

石津窪左岸尾根から降りてきて市道沢を見学した後、千ヶ沢林道をゆるく下ってきて起点のゲートを抜けます。
橋を渡って盆堀林道へ。前回、市道沢右岸尾根に取付いた崖を金堀沢と千ヶ沢の出合に見ながら金堀沢の上流に向かいます。
左岸から流れ込む栗ノ木尾沢を通過します。現地の白い看板などで栗ノ木王という表記を見かけますが、多くの書籍や雑誌では栗ノ木尾とされています。『奥多摩』(宮内敏雄 昭和刊行会 昭和19)の地図には栗ノ木沢と表記されていたりもします(百水社が1992年に復刻した版では栗ノ木尾沢)。ここは多数決で栗ノ木尾沢を採りました。そういえば金堀沢と千ヶ沢の出合に勝負口と書かれた白い案内柱が立っているんですが『奥多摩』では菖蒲口と書かれています。ひょっとして現地の案内はお茶目なのかもしれません。
右岸から流れ込む日向沢を通過します。
左岸から流れ込むオリソコナイ沢です。
現地の白看板は「オリゾクナイ、ショイコシ」。右岸になんともそそられる道がついています。峰見通りまでつづいているのでしょうか。
そろそろ刈寄山南尾根なんですが落石防護網がビシッと法面を覆っています。このままだととてもじゃかいけれど取付けません。
「オマキ久保」を通過します。右奥の伐採地がめざす刈寄山南尾根です。山腹を防獣ネットが鉢巻状に巻いています。んっ? どこかで見た光景です。まっ、いいです。先に進みます。
あちゃー。刈寄山南尾根の下端は完全に落石防護網で覆われていました。もう少し先に行ってみます。だめなら引き返して「オマキ久保」あたりから取付くか、あきらめてそのまま林道を歩いて刈寄山をめざすか、などと思いながら
尾根を回り込んでいくと水が流れているかいないのかはっきりしない谷に金堀橋という架かっていました。橋を渡りきったところに「穴の谷津、ケヤキ久保」と書かれた白看板が立っています。『奥多摩』(前出)なんかに穴ノ谷と表記されているのがこの谷のようです。刈寄山南尾根穴ノ谷右岸尾根でもあるみたい。
そんなことはともかく、谷で落石防護網が途切れています。ここから取付くか、
穴ノ谷をちょっと遡ってから横っ腹に取付き、左上に向かって取付くか。
落石防護網から取付いてみました。獣かヒトか両方か、踏み跡というか地面の削れはあるんですがかなりの傾斜です。這い上がってきて
登ります。はっ? あれはなんなんでしょう。周辺の枝打ちされた枝や伐採された細い木なんかをかき集めてぎゅっと固めたに違いありません。
乗り越えてきました。
とんでもない急登です。ザレザレです。かなりデンジャラスです。転げ落ちると山肌と落石防護網の間に落石のようにビシッとはまってしまいます。薄紫色のトゲトゲの草をつかむしかない場面がたくさんありました。2、3本の根元をまとめてつかんで体を引き上げていきます。最初はめちゃくちゃ痛かったんですが、そのうちむんずとつかんでもなにも感じなくなりました。穴ノ谷を遡ってから取付いたほうがよかったに違いありません。まっ、今更の話ではあります。
トゲトゲ薄紫草が煙る崖を這い上がってきて
防獣ネットにぶつかりました。這い上がりの次はデンジャラスなトラバース(山腹水平移動)です。
トラバースが終わるとすんごい急登です。防獣ネットは樹脂製のネットの下が金網で覆われています。獣が穴を掘って侵入できないようにするためでしょう。頑丈なつくりです。鉄筋杭を地面に打ち込んで金網を固定しています。ありがたいです。この鉄筋杭に指をかけて何度も助けられました。
危うげな地形をじんわりじんわり登っていたりもします。
登ってきて、これって尾根歩き? などと思いながら見下ろすと、穴ノ谷や金堀橋、盆堀林道(中央やや上)が見えました。
デンジャラス感はなくなりましたが急登はつづきます。
隣の芝生も青くはなさそう。お隣のすごい傾斜にちらりと目をやり、登りつづけます。とても細かい雪が降っています。
伐採地のてっぺんです。このあたりに600mの標高点が設定されています。なぜかくの字形に防獣ネットが凹んでいます。ザックを降ろしてちょっと休憩。ほうじ茶を飲みます。
伐採地はてんぺんから下ってくるとすぐに終わりました。植林の中に入っていきます。
しばらく平坦な尾根を歩いていたら階段なのか梯子なのか(おそらく梯子)、朽ちた木の工作物がキツい傾斜にへばり付いていました。右側はザレているので左側を登っていくと
盆堀林道にぶつかりました。
林道の真向かいに踏み跡があります。たどって尾根のつづきです。
植林内のそこそこの急登です。
登り詰めると680m圏で地形図の破線(徒歩道)に立ちました。刈寄山北西尾根の上でもあります。
木間にちらりと見える刈寄山はやや下ってやや登ればすぐそこなんですが立ち寄りません。「まっ、いいか」の気分です。刈寄山南尾根はこれにておしまいとします。
刈寄山は右、刈寄山北西尾根は左へ。刈寄山北西尾根はおだやかな傾斜で始まるんですが尾根間違いでたいへんな目に会うことになります。