奥多摩尾根歩き
入川谷をめぐる作業道を歩く


今回、尾根は歩いていません。これまで4回連続で入川谷の上流域をぶらぶらふらふらしましたが、どこに行くのか、どこから来たのか、判然としない作業道を歩いたり歩かなかったりしてそのときどきの目的地に向かいました。
今回はそんな脇役だった作業道を主役にして可能な限りたどってみよう、という目論見です。めざす尾根はなく「作業道を歩く」ことを目的にした壮大かつ遠大かつ幽遠かつ玄奥なる山行でありまする。
※文中の丸囲み数字は下のログのカメラアイコンの数字と連動しています。カメラアイコンを押すと数字とその場所の写真と簡略な説明文が表示されます(はずです)。右上のバツ印で写真は閉じます。
コース [START]JR青梅線鳩ノ巣駅→(50分)大根ノ山ノ神→(15分)西川林道の末端(先端)→作業道→大根ノ山ノ神→(約5時間)[GOAL]JR青梅線鳩ノ巣駅
(約6時間)
歩いた日 2024年9月29日(日)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

新宿駅と東京駅みたいな2つの大きな分岐をつなぐ山手線みたいな環状ルートがあって、西日暮里駅あたりの中規模の分岐は登山道にぶつかり、東京駅の先の中規模の分岐の一方も登山道に合流し、もう一方はやがて消失。以上、入川谷をめぐる作業道の全貌がボーッとわかりました。あっ、あと布滝のかかる布滝沢対岸の作業道が西川林道の途中に登っていることもわかりました。そんなこんなの記録です。

おはようございます。連続5回目ともなるといきなり大根ノ山ノ神です。鳩ノ巣駅を出てすぐ右折し、突き当りを右折して踏切を渡ってずんずん登ってきました。小雨が降りつづいています。
尾根を回り込む西川林道を下っていきます。
前回、林道をまたいでいた倒木が取り払われています。仕事が早いです。
林道の末端(先端?)に到着。約1か月で5回目の訪問です。もちろん、顔パスです。
林道延長の工事が進んでいますが、ここを今回の「入川谷をめぐる作業道を歩く」の入口とします。
林道から作業道へ。
突き出た小尾根を回り込みます。小尾根をほんのちょっと下り、左へトラバース(山腹水平移動)気味に下っていくとエビ小屋山南西尾根の下端にかかる木橋に降りられます。木橋周辺にはたくさんのワサビ田跡があるのでワサビ田への作業道だったのかもしれません。
右に下っていく道が
連続します。
前々回、速滝へのアプローチに「いいんじゃないの?」と下っていった道。おとなしそうな道なのに決死のトラバースに追い込まれました。入川谷に下っていく細道は、踏み入らぬが吉、がほとんどだと思います。
小雨に煙る作業道を歩きます。すべての音がやわらかく聞こえてきます。
入川谷へ下る細道はいくらでもあります。作業道といえるのかどうかは微妙。めちゃくちゃ立派な獣道なのかもしれません。ただ、入川谷はワサビ田跡がかなり多そうなので獣道をヒトが歩いて立派になったのかもしれません。
苔むした谷を通過してすぐ、
ここが2つある大きな分岐の1つです。新宿駅です。これまでの細道と同じような風を装っていますがだまされてはいけません。右に下っていく道と、左に登っていく道に分岐しています。左に進みます。山手線でいえば外回りです。
ほぼ水平な道を歩き、穴入沢という沢を渡ると2、3分で
中くらいの分岐の1つに到着です。西日暮里駅です。尾根を回り込んでいく道と、原っぱみたいな平坦地にのびている道に分岐しています。穴入沢と姥岩沢の間のゆるやかな尾根を回り込む位置です。まずは尾根を回り込む道へ。前回、クマタカ沢右岸尾根を登ったときにここまできて道間違いに気づき、引き返しました。
足元が見えないシダロードがつづきます。
3、4分でシダロードを抜けました。雨でびよびしょだったズボンがびしょびしょなのかズボンなのかわからないくらい水みたいになっちゃいました。
姥岩沢と思われる沢を渡ると
すぐ上で登山道に合流です。というか、ほとんどの登山道ってかつては作業道(生活道)だったんでしょうね。ちょうど道標が立っていました。ペットボトルに詰めてきたほうじ茶を一口飲んで引き返します。
シダロードの途中で意味なく雨空を見上げてみました。
先ほどのの分岐まで戻りました。
原っぱのほうに踏み入ります。こちらはシダロードではなく、小藪ロードです。
すぐに小屋の残骸が散らばっていました。小藪ロードは「小屋への道だったのかな」と思ったらそうでもないようで
さらに奥に道がつづいています。
たどると姥岩沢を渡ります。
消えそうで消えない姥岩沢の左岸沿いの道を振り返り、
振り返ってつづきます。
旧来の道は水平で桟道があったようですが桟道は崩壊(右端)。高巻く道ができています。
いつのまにか姥岩沢を高くはなれ、しっかりした道がつづきます。
2つめの大きな分岐にぶつかりました。東京駅です。右に下る道と左に登る道。まずは登る道へ。
※このあたりからカメラのレンズに水滴が付いています。見苦しいです。すみません。
東京駅の先の中規模の分岐です。ほぼ水平の道と、左にくっと曲がって登っていく道の分岐です。まずは登ってみます。
しっかりした道がつづきます。
5、6分で登山道にぶつかりました。ここにも道標が立っています。
ほうじ茶を飲み、振り向いて引き返します。正面奥にゆるやかに下っている道です。左上が川苔山につづく登山道です。
の分岐まで戻りました。ほぼ水平の道へ踏み入ります。
名前のわからない(ない?)沢に着きました。3回目ですがこの先の道がどうもはっきりしません。これまでは沢を正面に向かって渡り、沢沿いに下っていく踏み跡をたどったんですが、
今回は沢の上流側にあるようなないような踏み跡をたどってみました。
こんな道です。
けれども結局、
これまで歩いた沢沿いの道に合流し、
小尾根を回り込んでいきます。
ずんずん進み、
この小尾根の先はパカッと割れています。チョックストーンを噛んだ割れ目を左から右へ通過して入川谷に下っていくと速滝の上段の落ち口にたどり浸けます。かなりデンジャラスな道程です。作業道なわけがありません。滝しかないんですから。
パカッと割れた小尾根を回り込んでいくと
あるようなないようなのっぺりした踏み跡になってきました。もうすでに作業道の体はなしていません。
谷で土砂崩れが起きていました。この地点であるようなないような踏み跡はない踏み跡になりました。とっとと
引き返します。
道中。崩落した小尾根からの景色。
の名前のわからない(ない?)沢まで戻ってきました。下流方向を撮影しています。立っている石積の右側を細いんですが水がじゃんじゃん流れ、左側はワサビ田跡のようです。すぐ先でものすごい傾斜になって水が落ちています。あっ、滝ですね。
東京駅です。先ほどは右上の姥岩沢左岸からこちらに歩いてきました。左にくっと曲がります。外回りです。
姥岩沢を堰堤の上を歩いて越えます。
道中。から
小さなくの字くの字を登っていくと
大きな分岐の1つ、新宿駅に戻ってきました。これで環状ルートを右回り(外回り)で1周したことになります。「これで作業道歩きは終わりかな。上出来じゃないの? ぐふふ」などと思いながら
引き返していたんですが、思い出しました。エビ小屋山南西尾根を歩いたとき、布滝沢対岸の道を登っている途中でデンジャラスなトラバースに腰が引け、とんでもない急勾配を作業道まで這い上がりました。布滝沢対岸の道も立派な作業道だと思うんですが、デンジャラスなトラバースの先はどうなっているのか、見てみたくなりました。テキトーな場所から下っていきます。布滝沢対岸の道があるのならどこかでぶつかるはずです。急降下です。
標高差で70mとちょっと下ってきて、それらしき道にぶつかりました。デンジャラスなトラバースは左(戻る)方向のはずです。
ありました。ここです。登って下る、逆V字形のトラバースです。谷の中央が屈曲点です。前回は向こうからこちらを見たわけですが、もっとずっと怖かった気がします。歩いてみます。
トラバース中。足元はぐずぐずですが、シャッターを押すくらいの余裕はあります。
渡ってきました。うーむ、やはりあまり恐くはありません。まっ、いいか。悩むほどのことではありません。引き返します。
作業道から下ってきたあたりを見上げながら通過します。
しっかりした作業道がつづきます。
写真上端中央が林道末端(先端)のフェンスです。木橋が架かっている谷の下流を渡ります。
小尾根を回り込むとぐんと高度を上げ、林道に近づきます。
行く手に導水管がクネッとしています。
導水管の先は大きな崩落地です。もう道はなく、進めません。
導水管に沿って登り、西川林道に立ちました。布滝沢対岸の作業道はここまでたどることができることがわかりました。おそらく峰集落までつづいていたんでしょう。
林道をてくてく歩き、左手下の峰集落跡の日天神社を過ぎ、
大根ノ山ノ神まで戻ってきました。雨はいつの間にかやんでいます。樹林の中にいると雨の降り出しもやんだこともすぐにはわかりません。登ってきた登山道を下ります。
棚澤(鳩ノ巣駅周辺)の集落が見えてきました。
鳩ノ巣駅のすぐ西の踏切です。下り電車が通過します。青梅街道まで降りて大橋屋で缶ビールを購入。駅舎でザックカバーなんかの後始末をしているとちょうど上り電車の時刻になりました。跨線橋を渡り電車を待っていたんですが「やっぱり」と思い、跨線橋の階段の下で上半身だけ生着替え。雨と汗でずしりと重くなったおたふく手袋のアンダーシャツとモンベルのシャツをレジ袋に詰めてザックに押し込んでいると電車がやってきました。
山の神様、地権者の皆様、きょうもありがとうございました。尾根歩きは道中を楽しみ、作業道歩きは終着地を知ることを楽しむ、そんな気がします。
傘をさすか雨合羽を着るか、迷ったまま雨に打たれながらの山行でした。楽しかったです。また、よろしくお願いします。