奥多摩尾根歩き
日向沢ノ峰、有間峠、有間山、滝入ノ頭、鳥首峠、冠岩、浦山大日堂

(3/3)


橋小屋ノ頭→ヤシンタイノ頭→ショウジクボノ頭→滝入ノ頭→(1時間15分)鳥首峠→(35分)冠岩地区→(45分)[GOAL]浦山大日堂バス停→西武鉄道西武秩父線西武秩父駅


橋小屋ノ頭を出発すると1070m圏から左(西)が伐採地跡になり、ドバーンと展望が開けます。長沢背稜から秩父側に下る何本もの尾根が見渡せます。伐採地跡は長ーく続き、ヤシンタイノ頭ショウジクボノ頭滝入ノ頭といったピークを次から次へと越えていきます。鳥首峠へは一気に下り、植林帯の中の道をたどると冠岩地区に着きます。冠岩地区からゴールの浦山大日堂バス停までは植林帯から林道、県道を経て1時間20分ほどで着く、と計算したのが単純かつ大きな間違いでした。

有間山(橋小屋ノ頭)から鳥首峠を目指します。快適な尾根道が続きそうです。
1070m圏で飯能植林、秩父防獣ネットになりました。
防獣ネットの向こうは伐採地跡のようです。木立がまばらになると展望が開けます。
1100mの標高点です。ヤシンタイの頭(多分。『奥武蔵 登山詳細図』や『山と高原地図 奥武蔵・秩父』ではヤシンタイノ頭)と彫られた山名板が木にくくりつけられていました。広大な伐採地跡のいちばん標高の高い場所がヤシンタイの頭だと思います。
伐採地跡はまだまだ続き、そのへりでアップダウンを繰り返します。南のあちらから歩いてきて
西から
北の景色です。1080m圏からです。
1070m圏にしょうじくぼの頭という山名板が立っていました。『奥武蔵 登山詳細図』にはカタカナ表記で、ここから北東へ下る「三十三尋ノ滝ルート」という険しそうな道が掲載されています。
伐採地跡のへり歩きはまだまだ続きます。
滝入ノ頭と書かれた山名板が立つピークに到着。『奥武蔵 登山詳細図』は滝ノ入ノ頭、『山と高原地図 奥武蔵・秩父』は滝ノ入頭と表記されています。こんな山奥で三者三様、三つ巴の熱い戦いが繰り広げられていたとは。三等三角点があります。標高は1070.86m、基準点名は鳥頚。
戦いの結末まで待つ時間の余裕はないので先に進みます。
あの山容は武甲山(ぶこうざん)でしょうか。
1030m圏で伐採地跡はおしまいです。ホントに広大な伐採地跡でした(切り替え画像)。
伐採地跡を過ぎたとたんにとんでもない急降下が始まりました。
下ってきて
とんでもない急降下は続きます。
下ってきて
ふと左を見るとウツボみたいな岩が突き出ていました。
鉄塔(奥秩父線21号)を通過して
ドドドドドと下っていくと鳥首峠に到着です。たしかにクビレています。
これぞ峠、といういい雰囲気です。水を飲んで冠岩に向かいます。
植林のなかのこんな道を歩きます。
カツラでしょうか、大木がニョッキリと立った涸れ沢は荒れ気味で
対岸に道は見えず、
テキトーに下っていくと
右岸に道の続きが出てきました。
廃集落になってしまった冠岩地区に到着です。
集落を見渡せる場所に「青石塔婆(あおいしとうば)」がありました。秩父産の青石(緑泥片岩)でつくられた碑です。秩父市のホームページに「この青石塔婆は、浦山のもっとも奥深い冠岩耕地に建立保存されていることは特異である。昔時、寺があったという伝えもあるが、詳らかなことはわかっていない。一般にみられる室町期のもので、10数基のうち応永10年(1403)、文明7年(1475)9月29日の年号が判明するほかは不明である。」と紹介されています。かつては小屋で守られていたようです。所在地は秩父市浦山字冠岩1583番地。
ざっと見渡すと建っている(立っている)のは2棟、3、4棟が倒壊しています。
父が製紙工場から帰り、作業着をこんなローラー式洗濯機に放り込んでいたのを思い出しました。母は台所から「おかえりー」と大声を上げ、パンツ一丁で薪風呂を沸かす父。汗に光る父のs背中越しに炎が揺れるを飽かずに眺める紅顔のわたくしでした。
小学1年生のときに買ってもらった自転車に乗れるようになったのは小学3年生になってから。
製紙工場を辞めた父は電気工事店をはじめ、それなりに成功。台風が過ぎるとテレビアンテナがあちらこちらで倒れて大忙し。小学から父を手伝った記憶があります。屋根の上で父がアンテナを立て直し、映りのいい角度を探してアンテナを回します。わたくしは茶の間のテレビを見ながら「さっきのほうがよかったー」とか「ちょっと戻してー」とか怒鳴るんです。同級生の家は恥ずかしさと誇らしさで息苦しかったです。
そんなノスタルジックにひたっているのもバスの時刻に間に合わないと思っていたからです。地形図に書き込んだコースタイムは冠岩地区から浦山大日堂バス停まで1時間20分で計算してあり、これが大間違いでした。冠岩地区から浦山大日堂バス停までは30分ほどで着く距離でした。どうせ間に合わないからと冠岩地区でゆっくりし、
冠岩地区から浦山大日堂バス停への道も冠岩沢の流れを覗き込んだり、
ロープが垂らされた場所は「ロープに指一本触れずに下ってやる」などと意味なく意気込んだりしながらゆっくりゆっくり歩きました。
小さな橋を渡ります。
橋を渡ると車の轍がある幅広の道になりました。
T字路にぶつかります。
左は広河原逆川林道。この道をずーっとずーっと歩けば有間峠に戻れますが、戻る理由はないので進むのは反対方向の県道です。
すぐに浦山大日堂バス停に着いてとても驚きました。時刻は16時15分。冠岩の滞在時間を圧縮し、冠岩からのチンタラ歩きがなければ16時の発車時刻に間に合っていました。激しくトホホですがしょうがありません。何度目かの秩父さくら湖を愛でながらの歩きです。ログはここまでとします。
シャクナン尾根グミの滝への尾根(棒杭ノ頭北尾根)を歩いたときあちらからこの県道に出てきました。
県国境界です。左埼玉県から右国へ。
イタドリが歩道を覆い尽くしています。
寄国土(よすくど いすくど)トンネルをくぐりました。奥多摩の獅子口から秩父の獅子口へという訳です。どういう訳なん?
浦山ダムを通過します。
西日と両神山と秩父市街。
久保商店やきとりハウスで串焼きと缶ビールを購入。
西武秩父駅に到着。すっかり日が暮れてしまいました。
飯能行き電車に乗りました。11時間を超える山旅の終了です。さて、次はどこを歩きましょう。
山の神様、地権者の神様、きょうもありがとうございました。また来ます。よろしくお願いします。