奥多摩尾根歩き
坊主谷・中ノ谷左岸尾根、坊主小屋沢右岸尾根

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今回は坊主谷・中ノ谷左岸尾根を登り、坊主小屋沢右岸尾根を下りました。
中ノ谷も坊主小屋沢も坊主谷(ボウズ谷)の上流で、坊主谷は前回さかのぼったモクボ谷(茂久保谷 茂窪谷)の支流でモクボ谷は峰谷川の支流です。峰谷川は奥多摩湖に流れ込んでいて小河内ダムから多摩川になり、多摩川は大田区の羽田で東京湾に注ぎ、やがて太平洋の一員となってそのうち地球を覆う海に。まっ、途中で山梨県民や都民に飲まれたり、蒸発してインドの山奥に雨を降らしたりする輩もいるはずです。
谷の名前は『奥多摩 登山詳細図(西編)』(吉備人出版)や『東京起点沢登りルート120』(宗像兵一 山と渓谷社)によりますが、尾根の名前はテキトーです。『東京起点』によると鷹ノ巣山避難小屋あたりを源頭にする坊主小屋沢に右岸からシダノ沢があわさって坊主谷になってさらに右岸から中ノ谷があわさる、という地勢らしい。
中ノ谷左岸尾根は日蔭名栗山あたりからほぼ真南に下って坊主谷と中ノ谷の出合に没しています。アプローチに関しては『花とひかり』さんのサイトを参考にさせていただきました。ありがとうございます。
坊主小屋沢右岸尾根のてっぺんは鷹ノ巣山避難小屋あたり。こちらもほぼ真南に下って坊主小屋沢とシダノ沢の出合になだらかに消えるごく短い尾根です。
下山路の坊主谷左岸の作業道はいくつかの沢登りのサイトで知りました。ありがとうございます。尾根だけでなく、この作業道を歩くのも楽しみにしての出発でしたが、とんでもない目にあいます。
※「標高」は省略します。
コース JR青梅線奥多摩駅→[START]峰谷バス停→峰谷林道→坊主谷林道→(50分)日蔭名栗山南尾根取付→(10分)林道終点→ボウズ谷左岸のトラバース開始→(1時間55分)坊主谷中ノ谷二俣→中ノ谷左岸尾根→(2時間20分)石尾根日蔭名栗山南面巻き道→(15分)鷹ノ巣山避難小屋→坊主小屋沢右岸尾根→(45分)坊主小屋沢シダノ沢出合→(30分)坊主谷左岸の作業道→(1時間50分)浅間尾根の鳥居→(40分)峰谷バス停→峰谷入口バス停→青梅街道→(2時間35分)[GOAL]JR青梅線奥多摩駅
(11時間30分)
歩いた日 2025年2月9日(日)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

JR青梅線奥多摩駅→[START]峰谷バス停→峰谷林道→坊主谷林道→(50分)日蔭名栗山南尾根取付→(10分)林道終点→ボウズ谷左岸のトラバース開始→(1時間55分)坊主谷中ノ谷二俣→中ノ谷左岸尾根→(2時間20分)石尾根日蔭名栗山南面巻き道


中ノ谷左岸尾根は2度目のチャレンジです。1度目は坊主谷林道終点からのトラバース(山腹水平移動)の凶相に尻尾を巻いて退散しました。けれども前回、モクボ谷・シオキ谷左岸尾根を歩いてなんとなく根拠なく「いまなら歩けるかも」と思ったのが運の尽き。坊主谷林道終点から中ノ谷出合まで45分とみていたら1時間55分かかってしまいました。いきなりの崩落地、キビシい高巻き、作業道らしき道にぶつかったのはいいけれどザレザレのとんでもない急斜面のトラバース、路肩が落ち葉と雪で上手な落とし穴がいくつも隠されていて、などと愚痴を吐きまくりたくなるアプローチを経ての中ノ谷左岸尾根です。

おはようございます。前回につづいて峰谷バス停からスタートです。首に手ぬぐいを巻いて軍手をはめながら出発しました。峰谷川右岸を上流に向かって歩きます。ワサビ田を通過します。
三澤橋を渡ります。左の峰谷林道へ。男性ソロハイカーは右の奥沢林道へ。
道中。モクボ谷対岸の雪に覆われたワサビ田跡。
道中。モクボ谷。
道中。凍った轍。
坊主谷に架かる橋を渡ります。この谷のずっと上流まで高巻き、中ノ谷出合をめざします。
峰谷林道をはなれて右上の坊主谷林道へショートカット。擁壁の上へ。
たいしてショートカットになっていない気がするんですが、まっ、いいです。坊主谷林道をゆるーく登っていきます。
日蔭名栗山南尾根を回り込みます。
中央ずっと奥の日蔭名栗山から右に下ってからこちらに向かってにくっと曲がっているのが中ノ谷左岸尾根です。バッチリ見えます。
日蔭名栗山南尾根から10分ほど、崩落した土砂を越えると林道の終点です。
林道の終点です。
林道終点で杖を出し、防寒着兼雨合羽を脱ぎ、水筒に詰めてきた白湯を飲みながらちょっと休憩。
よーく見るとごく薄い踏み跡が登りながら小尾根に向かっています。たどります。なんだか見える景色が前回と違います。
小尾根に立つと崩落地でした。崩落した斜面に踏み跡はなく、渡れそうにありません。対岸にも踏み跡は見当たらず、その先も急斜面の山肌がつづくばかり。谷に降りるなんて論外。とんでもなくキツい小尾根を登って活路を見出すしかありません。
右手の崩落地に渡れそうな場所を探しながら登っていきます。
浮石が多く、手元足元はボロボロと崩れます。
キッツい急登を這うように登ってきて
岩場を巻いて登ります。
崩落地の底の方。
とんでもない高巻きです。いつまで、、、と思っていたら
980m圏でかなりしっかりした道にぶつかりました。日蔭名栗山南尾根からかやってきたのでしょうか。ようやく高巻きが終わりました。小躍りしそうになるのをぐっと抑えて道をたどります。転げ落ちたら目も当てられません。
崩落地を見下ろしながら通過します。
崩落地を越えてものの5分もしないうちに道の路肩はほぼ消失。ピッケルを持ってこなかったことを後悔します。
ザレた地面に杖で凹みをつくり一歩ずつ足場を確保しながら渡ってきました。怖かった。
植林の中に入ると道を見失ったのか消失したのか、しようがありません。テキトーに歩きやすいところを選んで中ノ谷出合をめざします。
また崩落地みたいな場所に出ました。スマホGPSで確認すると中ノ谷出合まで直線で100mほど。もう少しなんですがなかなかスムーズに進めません。
高巻くのは先ほどと同じくらいキツそう。
崩落地の底。余計なことを考える暇もなくシュッと坊主谷に着水できそうです。
僥倖、なのかな。崩落地の先に道のつづきらしき踏み跡が見えているような。本日2度めの決死のトラバースです。980m圏、滝記号の北西です。
トラバースの後は廊下状の岩を登ってきました。正直なところ「来なきゃよかった」って思っています。
落ちなかったのは僥倖といえるでしょう。どうやらやはり道のつづきのようです。道は小尾根を登っていきます。あまり坊主谷からはなれたくないんですがあらがう選択肢はありません。
坊主谷の堰堤が見えます。水の音は聞こえますが流れの表面は厚く凍っています。
小尾根登りからトラバースになって道はあやふやになったけれどついに中ノ谷出合が眼下に見えてきました。左から右下へ中ノ谷、右上から右下へ坊主谷、両谷を押し広げるように中ノ谷左岸尾根がドンと座しています。手前の小尾根を
下ってきて
出合にじんわりじんわり下っていきます。がっしりした石積で守られたワサビ田跡が中ノ谷に連なっています。
出合に立ちました。中ノ谷左岸尾根の下端を見上げます。
足元です。手前の岩の左から坊主谷、右から中ノ谷が流れてきて出会う出合です。
ちょっと休憩。もうそこそこの達成感があります。もう帰ってもいいココロ持ちなんですがそうもいきません。取付きます。
岩場を這い上がって左手の中ノ谷。
さらに這い上がって出合を見下ろして
登ります。地形図通りのかなりの急登です。
右手の坊主谷。上流にそろそろ完全に結氷しそうな堰堤の流れが見えます。
1060mから1070mにかけての等高線がくっつきそうなその現場です。足を載せた石ごと10数cm引き戻されるので油断なりません。
キッツい急登が落ち着きました。
左手に見える日蔭名栗山南尾根
右手は奥に浅間尾根、その手前に下る予定の坊主小屋沢右岸尾根
1260m圏で平坦な尾根になりました。
このスキに栗羊羹(軍手の上)と白湯を喫食しながら休憩。ザックを下ろすと背中の汗がヒヤッとしますが風はほとんどなく暖かいです。
おだやかな尾根歩きがつづきます。
ちょっと勾配がキツくなって株を巻き、
ぐしゃぐしゃに丸めた針金みたいな小枝が絡みつく岩場をテキトーに通過し、
1450mあたりで右から登ってきた尾根と合流。中ノ谷左岸尾根のピークといえるピークはここくらいだったような気がします。尾根は左に曲がり、落ち葉を覆った薄い雪を踏みながらの尾根歩きは快適です。
ゆるやかに下り
尾根はバーンと大きく広がってゆるく登っていきます。
奥から鷹ノ巣山、浅間尾根坊主小屋沢右岸尾根が見えます。
登ってきて
日蔭名栗山南面の巻き道に到着しました。日蔭名栗山はパス。これにて中ノ谷左岸尾根はおしまいとします。「−|78」の林班界標が立っています。
次は坊主小屋沢右岸尾根を下ります。まずは石尾根を東へ、鷹ノ巣山避難小屋をめざします。とんでもない作業道歩きが待ちかまえているとも知らないで。

中ノ谷左岸尾根のダイジェスト動画です。坊主谷右岸から中ノ谷出合に降り、中ノ谷左岸尾根石尾根の巻き道まで登っています。
※YouTubeにいただいたコメントはすべて目を通しています。ありがとうございます。返信はなんというか、テキトーです。すみません。