奥多摩尾根歩き
坊主谷・中ノ谷左岸尾根、坊主小屋沢右岸尾根

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石尾根日蔭名栗山南面巻き道→(15分)鷹ノ巣山避難小屋→坊主小屋沢右岸尾根→(45分)坊主小屋沢シダノ沢出合→(30分)坊主谷左岸の作業道→(1時間50分)浅間尾根の鳥居→(40分)峰谷バス停→峰谷入口バス停→青梅街道→[GOAL]JR青梅線奥多摩駅


坊主小屋沢右岸尾根はごく短い尾根ですが、初動を誤って上端部を大きく巻いてしまいました。地形図で想像したままの尾根の展開でそれはそれで楽しかったんですが、尾根を下ってからの作業道へのアプローチ、そして作業道そのものの苛烈さに生きた心地がしませんでした。

登山道を急ぎます。坊主谷林道終点から中ノ谷左岸尾根の取付まで予定より時間がかかりすぎました。峰谷バス停発の最終便には間に合いそうにないけれど山中で日没を迎えるのは避けたいところです。
鷹ノ巣山避難小屋に着きました。ひっそりとしています。
雪深いのでとりあえず「水場(この先200m) 奥集落(峰谷)」に向かってから避難小屋からほぼ南に下っている坊主小屋沢右岸尾根に回り込みます。
ぐーっと下ってきて避難小屋を見上げ、
まだまだ回り込みが足りません。
ぐぐぐーっと回り込みながら下っていくと、いや、下りながら回り込んでいくと、かな、まっ、いいです。ようやく坊主小屋沢右岸尾根が見えてきました。
ビシッとした尾根です。
振り返って歩かなかった尾根の上。振り返って下ります。
右手前に登ってきた中ノ谷左岸尾根、その奥に日蔭名栗山南尾根が見えます。
かなりの急勾配を
ずざんずざんと下ります。
1420m圏のシカの蹄みたいな分岐です。下端でほぼくっつくはずです。なのでどちらを選んでもいいんですが、なんとなく右へ。
そこそこの急ぎモードで
下ってきて
下ります。
尾根は絞られてきました。右手のシダノ沢から水の音が大きく聞こえてきます。
左から坊主小屋沢、右からシダノ沢。その出合に向かって下っていきます。
振り返って蹄状の尾根の下端です。蹄の間の小さな隆起をのぞけば地形図で想像していた姿とほぼ同じ。面白いです。でもないかな?
下ってきて
なだらかな傾斜で出合に立ちます。
これにて坊主小屋沢右岸尾根はおしまいです。
坊主小屋沢の上流方向。
シダノ沢の上流方向。
出合から下流の坊主谷を下り始めてすぐに堰堤の上に立ちました。足元の氷の穴に水がじゃんじゃん流れ落ちています。右岸から谷に降り、
右岸や左岸に移りながら左岸にあるはずの作業道を探して下ります。
左岸のワサビ田跡を4、5枚
下ってくるとブルーシートが見えました。もう水線は歩けません。左の踏み跡を登ります。
写真ではよくわかりませんが、急峻な沢沿いにコンクリート製の小さな露天風呂みたいな集水桝とブルーシートで覆われた集水桝が設営されています。けれども作業道らしい道は見えません。
踏み跡をたどります。どんどん登ります。なんかへん。
小尾根の向こうで踏み跡は消失。獣がめちゃくちゃ急な斜面を駆け登ったか駆け下りたか、そんな雪の跡があるばかりです。あんなとんでもない作業道はないはず。引き返します。
集水桝からのびている導水パイプあたりに踏み跡があるようなないような。めざします。とんでもない急降下です。
右下の黒い導水パイプを目で追っていくと左上に鉄板の桟道が見えました。やりました。作業道で間違いなでしょう。
足場板の桟道を渡ります。ベコベコしてちょっと怖いです。こんな桟道が尾根側だろうが谷側だろうが所かまわず次から次へと現れて
桟道の途中で導水管をまたいだりもします。
糸ようじのほうがよっぽど安心できる木橋の残骸は
危なっかしいトラバースで
高巻いてきて
寒いのに冷や汗不可避の階段を下ったり、
鎖はありがたいのだけれども桟道を横切っているので身のこなしがとても危ういものになってしまいます。
どういう写真なのか忘れてしまいましたが、とにかくとんでもなくデンジャラスな作業道です。ただ、危なっかしい場所にはほぼロープや鎖が張られています。このロープや鎖がなければ歩き通せなかったと思います。総延長はいったいどれくらいになるのでしょう。助かりました。勝手に踏み入って「デンジャラス」なんて言える立場ではありませんが、ありがとうございます。
この後もデンジャラスゾーンはつづきますが写真はしばらく撮っていません。安全な足場を確保してカメラを向けるのは身の危険を感じるし時間もかかります。デンジャラスゾーンで日没を迎えたくありません。
けれども桟道もなければロープも鎖もなくて路肩もない、そんなトラバースが襲いかかってきたりもします。
植林の中に入ります。植林内でこれまでのような荒ぶれた道はまずないはず。ものすごーくホッとしました。
夕焼けが終わり、
小走り中。などと写真を撮っている余裕はありません。
あちらから歩いてきて
浅間尾根に建つ鳥居に着きました。これにて坊主谷左岸の作業道はおしまいです。ザックを降ろしてちょっと休憩。ヘッドライトをザックから引っ張り出します。
すっかりナイトハイクになってしまいましたが、この先はしっかりした登山道と舗装道路です。やれやれです。
奥集落の灯りが見えてきました。
集落の上空には満月になろうとしている明るい月です。
月に照らされる榧(かや)ノ木尾根の稜線。
峰谷バス停に着きました。次のバスまで約11時間30分の待ち時間。待てません。奥多摩湖に向かって歩きます。
峰谷入口バス停でも最終バスに間に合いませんでした。奥多摩駅まで歩きました。疲れました。
「もうだめかな」って2度くらい思いました。木の根っこ1本、ザレた急斜面に埋まっていた石1個、なにかの采配があったのかなかったのか、まだ熱い白湯を飲みながら都心に向かう電車に揺られます。
山の神様、地権者の皆様、きょうもありがとうございました。また、よろしくお願いします。