今回は巣山ノ頭北尾根(すやまのあたまきたおね)、高ワラビ尾根を登りました。長沢背稜(ながさわはいりょう)の「向こう」へ遠征です。
前々回、ぶ厚い雪に覆われたとんでもない急登に体力と気力を搾り取られ、高ワラビ尾根を完登できませんでした。離脱地点から高ワラビ尾根のてっぺん小持山(こもちや)までは約1.5km。この1.5kmが頭の中でとぐろを巻き、眠れない日々が続いたのというのは真っ赤なウソですが、背中に入り込んだ細い枯れ枝くらいには気になっていました。
雪があっても、と言うかどうせなら雪がある時期に高ワラビ尾根を完登したいと『奥武蔵 登山詳細図』(吉備人出版 以降、『詳細図』)を改めて見ると、前々回に離脱して下ったタワノ尾根の反対側に巣山ノ頭北尾根というルートが黒い破線(難易度高めだったり自粛要請区間のある緊急時用)で記載されているじゃないですか。この巣山ノ頭北尾根を登って高ワラビ尾根に乗れば、あの苦労した雪に覆われた急登を避け、ビシッと小持山まで歩けるはずです。
さっそくルートを検討したんですが、積雪時の巣山ノ頭北尾根を登るのにどのくらい時間がかかるのかよくわからず、高ワラビ尾根のてっぺんである小持山から先をどうするかが難問でした。経験上、『詳細図』のコースタイムで登るのははなから無理ですが、ぶ厚い雪に覆われていればさらに時間はかかります。日没時刻や下山先の交通機関の発車時刻を考えると南の浦山大日堂バス停か東の名郷バス停? それとも武甲山(ぶこうざん)に登り出発地点の浦山口駅に下るか、武甲山まで登らずに途中のシラジクボという峠から巻道を歩いて浦山口駅に下るというルートも考えられます。武甲山に登り、西武秩父線の横瀬駅まで表参道を歩くルートもありです。このルートは長距離ですが、早々に舗装道路に出られそうなので日没を迎えても問題なさげ。
「まっ、実際に登ってみないとわからないよ、小持山の到着時刻によって進路を決めよう」という臨機応変型問題解決先延ばしで、ヘッドランプのエネループ2本を満タンにして秩父に向かったのでした。
巣山ノ頭北尾根、高ワラビ尾根
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■コース | [START]秩父鉄道浦山口駅→橋立林道→(1時間10分)橋立林道終点→(45分)巣山ノ頭北尾根取付→巣山ノ頭北尾根→(2時間)巣山ノ頭→高ワラビ尾根→(1時間35分)小持山→(35分)シラジクボ→(40分)武甲山→(35分)長者屋敷ノ頭→水場→(1時間)橋立林道終点→橋立林道→橋立林道始点→国道と秩父線の間の道→(2時間)[GOAL]西武鉄道西武秩父駅 (9時間50分) |
■歩いた日 | 2022年2月26日(土) |
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。
■[START]秩父鉄道浦山口駅→橋立林道→(1時間10分)橋立林道終点→(45分)巣山ノ頭北尾根取付→巣山ノ頭北尾根→(2時間)巣山ノ頭
巣山ノ頭北尾根は浦山口駅の東に流れ込んでいる橋立川(はしだてがわ)のずーっと上流の橋立林道終点あたりから南にせり上がり、高ワラビ尾根の巣山ノ頭(1090mの標高点)をてっぺんにしている尾根です。『詳細図』のルートは尾根下部の横っ腹から本筋に登っているんですが、できるだけ下端部から取付こうと橋立川の左岸を見上げながら少しずつ上流へ移動していきました。尾根はヤセ尾根が続き、急登やらなだらかな尾根を雪に足を取られながら獣の足跡をたどりながらヨタヨタと登っていきました。
「世界の車窓から、今日は秩父地方を走ります。西武秩父駅に向かう西武秩父線の影森駅近くから見えるのは武甲山です。白い鎧をまとった武将のような威厳をたたえています」
おはようございます。西武秩父線から秩父線に乗り換え、浦山口駅です。何度来てもココロ落ち着く駅です(2回めですが)。改札を出て右へ。
突き当りを右へ。秩父線のガードをくぐります。
すぐに左の坂道へ。
お墓を通過し、古そうな石の道標が立つ橋立林道にぶつかります。県道の橋立橋の真下です。右へ。前々回、高ワラビ尾根を歩いたときは左(写真右奥)に登りました。
県道の橋立橋をくぐります。高ワラビ尾根の支尾根の末端が見えます。
左手上の橋立鍾乳洞や秩父札所28番橋立堂を通過します。岩壁は高さが75mもあるそうです。
武甲山御嶽神社の鳥居を通過します。鳥居をくぐっても道はありません。
間伐された丸太が林道の両側に積まれていました。
橋立川を渡る10人近いハンターたち。
林道をてくてく歩きます。路肩にはサクラが植えられていました。
橋立神社に立ち寄ります。
橋を渡ります。このあたりから路面が雪や氷に覆われてきました。
林道終点です。
橋を渡り、登山道へ。
左手の橋立川に滝が見えました。
木の階段、橋が続きます。
橋立川の様子。
林道終点から10分ちょっと、長者屋敷ノ頭への分岐です。直進方向はロープが張られています。
対岸に落ち込んでいるのが目指す巣山ノ頭北尾根です。ここからはとてもじゃないけれど取付けません。
取付けそうな場所を探しながらロープをくぐり、その先へ。左岸はキツい勾配だらけで付け入るスキがありません。
ここはどう? んー、無理。
などと対岸ばかり見ていると危険です。ポッカリと道が陥没していました。
ここはどう? 上の方の傾斜は半端ない。雪が厚ければアウト。
ここは? 斜上して大きなくの字で、、、あとどーすんの? よく見えない。しゃがんだり行ったり戻ったりしたけど不明。リスク大だと判断しました。
さらに上流に向かいます。どうやらこの先の道が崩れているような。赤テープに誘われて川に降り、対岸へ。
対岸のすぐ先にこれまでに比べればはるかにゆるやかな稜線が見えます。
橋立川を渡ってきました。
尾根に立ちました。ここを登っていきます。
尾根の下方。
登ってきて
登ります。獣のトレース(踏み跡)が続いています。助かります。前々回の高ワラビ尾根でトレースのない30cmを越える新雪に悪戦苦闘し、結果、あと1.5kmほどを残して高ワラビ尾根を離脱する羽目に陥ってしまいました。獣様様です。
トレースがはっきりしなくなり、テキトーにくの字くの字で登ったり、
またトレースを見つけてたどったりしていたんですが、このトレースはずっと先へ巻いています。
トレースを離れ、尾根上を目指します。
かなりの急登です。登ってきて
またトレースにぶつかって登ってきて
770m圏です。勾配はなだらかになりましたがあの先からまた急登です。
少し登って、空を区切っているあの巣山ノ頭北尾根の本筋に向かってトラバース(山腹水平移動)します。
10分ちょっとトラバースを続け、ついに巣山ノ頭北尾根に立ちました。820mあたりです。これは下方。このすぐ先でガッと下って左右に分岐しています。左の尾根が長者屋敷ノ頭への分岐に下っています。
ヤセ尾根です。登ります。
右手には高ワラビ尾根が見えます。
ちっちゃなピークに向かってルート取りの意見が分かれています。
武甲山が見えます。
両神山が見えます。
アセビにおおわれたヤセ尾根が続きます。
880mあたり。獣のトレースは巻いていきますが右の尾根を登ります。
登ってきて
登ります。ヤセたままです。
登ってきて
登ります。急登が続きます。
958mの標高点と思われるポイントを通過します。とくになにがあるわけではありません。
なだらかなヤセ尾根が続き、960m圏で尾根は広がりました。
登ってきて
ひたすら獣のトレースをたどります。
1020m圏の小ピークを越えます。黄杭の頭がポコリと出ています。
シカだと思われるトレースが続きます。ありがたいことです。が、できることなら縦列ではなく、夫婦でも親子でもカップルでもいいけれど肩を寄せ合って横並びで歩いていただけたらトレースの幅が広がってヒトが楽なんですが、シカのみなさん、いかがでしょう。
登ってきて
巣山ノ頭に到着しました。これにて巣山ノ頭北尾根はおしまいです。
いよいよ前々回に歩けなかった高ワラビ尾根の残りを登ります。
いよいよ前々回に歩けなかった高ワラビ尾根の残りを登ります。