二ノ沢左岸尾根、タワ尾根、小川谷上段歩道
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■滝谷・二ノ沢出合い→二ノ沢左岸尾根→(2時間)タワ尾根→(1時間)ウトウの頭→[GOAL](1時間40分)東日原バス停→JR青梅線奥多摩駅
下ッ滝や両門の滝を見下ろすちょっぴりスリリングなルートで沢から尾根上によじ登りました。全行程を自然林に包まれた尾根を歩くと座標軸も時間軸も晩夏の緑に溶け出して茫然、陶然とするのでした。
ダダダダーッと下ってきて滝谷を見下ろしました。
もう少し上流に目をやると滝谷と二ノ沢の出合が見えました。
少し登り返して出合に近づきます。緩い坂を探して沢に降ります。
出合に立ちました。右から滝谷、左から二ノ沢が流れ込んでいます。そして正面が目指す二ノ沢左岸尾根です。下端から取り付けそうですが、右上にうっすらと見えている稲村岩のミニチュアのような大岩を登ることはとても無理。
二ノ沢の上流。
滝谷の上流。奥に左から流れ落ちる下ッ滝が見えています。
あの稜線から下ってきて二ノ沢を渡り、滝谷を渡ってきました。
滝谷の左岸から対岸の二ノ沢左岸尾根を見上げます。ほぼ垂直の崖です。Mさんに教わった通り、滝谷のナメ滝の上流に向かいます。右に見える岩の向こうにナメ滝が隠れているようです。
ナメ滝に着きました。ナメ滝の上で滝谷を渡ります。下ッ滝がよく見えます。
ここを渡ってきました、と撮影して気付きました。痛恨のミスです。地図をはさんだクリアファイルを落としていました。
回収完了。ズボンのサイドポケットに地図を入れているとごくたまに落としてしまいます。ひもを付けようかな、と2年ほど前から思っています。スポーツドリンクを一口飲みます。下ッ滝の音が深い谷を埋めつくしています。
もう一口飲んで二ノ沢左岸尾根を見上げます。ここを這い上がっていかなくてはなりません。左奥に見えている鞍部を目指すとその後に激烈な急坂が待ち構えています。正面上の大岩の基部を右に回り込んで急坂を回避します。
登ってきました。ナメ滝が見えています。
こんなところを這い上がります。木の根っこを掴みながら登ります。間違って枯れ枝に体重をかけるとガクッとなって額を山にぶつけそうになります。というかぶつけます。
左上にトラロープが見えます。Mさんの仕事です。滑り落ちるとおそらく滝谷まで止まりません。肉体的だけでなく精神的にもあの場所のロープはありがたいです。
これは別の場所のロープ。このロープを掴んで少し下ってから右上方に進みます。滑り落ちると先ほどよりもっと滝谷まで止まらないと思います。
下ッ滝の落ち口を間近に見ることができました。もう少し前に出れば滝壺も見られたかもしれませんが怖くてここが限界。ところで下ッ滝は「しもったき」と読むんでしょうか。「したったき」でしょうかそれとも他の読み方なののでしょうか。調べてみたんですがわかりませんでした。わたくしはココロの中で「しもったき」と読んでいます。
下ッ滝の落ち口からほんのちょっと進むと今度は両門の滝が見えました。右からは滝谷の滝、左からは藤小屋窪(ふじこやくぼ)という沢の滝が流れ落ちてビシッとV字形をつくっています。壮観な眺めではありますが、わたくしは怖いというか畏怖というか心拍数が少し上がる感情に包まれてスポーツドリンクをゴクリと飲むばかりでした。
尾根上を目指してよじ登ります。
登ってきました。正面は両門の滝の滝谷側。
さらに登ってきました。両門の滝の両門それぞれ上の方が見えています。ちょっと気になるのは画面ほぼ中央の緑色のボッチ。
望遠で撮影してみました。砲台のように見えるんですが、どうやら巨木の切り株のようです。違うかな?
やっと二ノ沢左岸尾根の上に立ちました。
これは尾根の下方。
ここをよじ登ってきました。滝谷と二ノ沢の出合から35分ほどかかっています。
二ノ沢左岸尾根を登ります。
ペットボトルにいれてきたスポーツドリンクがなくなりかけたので、ザックから氷水を引っ張り出してペットボトルに注ぎ足します。夏場は水を入れて凍らせたボトルを保温保冷バッグに入れて背負っています。バッグもボトルもダイソーで買ったものです。重宝しています。出発します。
藤小屋窪がずいぶん細く見えるようになりました。
アセビや名前のわからない木に囲まれてヤセ尾根を登ってきて、
登ります。
左に四間小屋尾根が見えます。
ちょっと登りました。いちばん奥は長沢背稜(ながさわはいりょう)、その手前はハンギョウ尾根、小川谷を超えて四間小屋尾根、四間小屋尾根の支尾根(多分、以前歩いた四間小屋尾根北隣尾根)のはずです。
ググーッと登ってきて、
1300mあたりでグッと緩やかになって一息つけるかな、と思っていると、あの先に、
急坂が見えます。
右側はドーンと切れ落ちています。
左側に寄って歩きます。
急登が始まります。
こんな急登がしばらく続きます。根っこで囲まれた凹みに足を入れて登っていきます。どの凹みをチョイスするか、そこそこ神経を使います。苦手だったけんけんぱを思い出し、運動音痴は結局治らなかったな、などと思いながら大汗をかきながら一歩一歩つまづきそうになりながら登っていくのでした。
急登の先に光が見えます。
んっ、タワ尾根でしょうか。
登ってきて、
尾根に這い上がりました。どうやらタワ尾根ではありません。
樹間の向こうにウトウの頭らしきものが見えています。
尾根の左方向はすぐに切れ落ちている雰囲気です。
尾根を右に進みます。地形図では二ノ沢左岸尾根はほぼ一本筋の尾根ですが、体感的にはけんけんぱをして登ってきて直角に曲がります。ごくごくたまにある現場と地形図の齟齬じゃないかなと思うんですが違うかな。氷水で薄くなったスポーツドリンクを一口飲み、
尾根歩き再開です。
登ります。
なんだか空が広くなってきました。
稜線が見えます。
確かに見えます。後光が差しています。
あちらから登ってきて、
タワ尾根の登山道に登り詰めました。これにて二ノ沢左岸尾根はおしまいです。
さようなら! 二ノ沢左岸尾根! って尾根の下方を見下ろしたんですがどこが尾根なのかよくわかりません。
タワ尾根を下ります。
二ノ沢左岸尾根で思いのほか時間がかかってしまいました。急ぎたいんですが疲労と足元のグズグズでなかなかペースは上がりません。
大京谷ノ峰を通過し、
モノレールと別れて尾根筋を追います。
すぐに岩尾根を巻く道に下ります。
尾根に復帰してまたすぐに岩尾根です。
右の下巻く道に下ります。
またまたです。右に回り込みます。
踏み跡が幾筋かあります。後半はそこそこの急登に喘ぎます。
紅色のキノコを通過します。
巻き道から最初に出合った尾根を下り始めたんですが、なんだか記憶にない尾根触りです。ヘンです。何度か歩いているからと舐めていたわけではないけれど、タワ尾根を外れていました。前ページの地形図の「ウトウの頭」の文字の「ウ」のあたりです。数年前に遭難事故があったのはこの近くだったんじゃないでしょうか。
そこそこ厳しいトラバースが続き、ようやく正面にタワ尾根が見えてきました。でもタワ尾根への復帰は崖っぽい斜面を登らなくてはならないようです。無理っぽいです。
そこで左上に見える鞍部を目指すことにしました。
自発的くの字くの字で急傾斜をなんとかかわしながらジワリジワリと上へ。この時点で東日原バス停を17時台に出発するバスは諦め、19時近くの最終バスに乗ることにました。
タワ尾根に復帰。
天祖山(てんそさん)。採石の音が響いていました。
ウトウの頭に着きました。バスの時刻には余裕があるんですが、日没がちょっと心配です。薄いスポーツドリンクを飲んですぐに出発です。
アセビ林の急降下。
ロープで直進は阻止されています。ロープを越えて尾根をどんどん下ると「25|26」の林班界標が立った上段歩道にたどり着くはずです。
いつの間にか金袋山を通過していました。篶坂ノ丸も。ほぼ中央に見える白い杭から左に上段歩道まで作業道が下っています。
あちらに見える人形山を通過します。
一石山を通過します。
ここで尾根筋から右に折れて下ります。
くの字くの字で急降下。燕岩の上部に接近。
ベンチに到着。ここからの急降下も長く、残り少ない体力を容赦なく搾り取られます。
下ります。
右後方にはタイヤを摘んだ落石防護柵が設置されています。
一石山神社に戻ってきました。これにてタワ尾根はおしまいです。
日没に間に合いました。ゆっくり東日原バス停に向かいます。
稲村岩と街灯と警笛鳴らせの標識を通過します。
潰れたトチの実も通過し、
東日原バス停に到着しました。街灯の光が届かず、そこだけ闇が淀んでいます。バス停のベンチに近づくとありがたいことにセンサー式のライトがつきました。でもあまり動かないでいるとライトは消えて暗くなります。タオルや軍手をビニール袋に入れたりザックの整理をしている間、消灯すると立ち上がって腕を振り回して点灯。そこそこ忙しかったです。まっ、じっとしていると蚊に刺されるので立ち上がって腕を振るという動作は一石二鳥です。整理運動だと思えば一石三鳥です。でも、見られていたらちょっと恥ずかしい、かも。
最終バスを途中下車して缶ビールを購入。奥多摩の女(ひと)と会いました。「久しぶり。ずいぶん髪が伸びましたね。(中略)じゃあ、また」。もうわたくしたちに多くの言葉は不要です。
山の神様、地権者の皆様、きょうもありがとうございました。ちょっとデンジャラスでしたが楽しい尾根歩きができました。
電車内の一人反省会では「できるだけ疲れない自分のペースをいい加減に身に付けること」「何度か歩いた尾根でも舐めてはいけないことを肝に銘ずべし」などと通り一遍な意見しか出なかったけれど、電車の音と滝や沢の音が重なったり離れたりするのを聞きながらいつの間にか寝静まったようです。
山の神様、地権者の皆様、きょうもありがとうございました。ちょっとデンジャラスでしたが楽しい尾根歩きができました。
電車内の一人反省会では「できるだけ疲れない自分のペースをいい加減に身に付けること」「何度か歩いた尾根でも舐めてはいけないことを肝に銘ずべし」などと通り一遍な意見しか出なかったけれど、電車の音と滝や沢の音が重なったり離れたりするのを聞きながらいつの間にか寝静まったようです。