今回は草木沢右岸尾根(くさぎさわうがんおね)を登り、草木沢左岸尾根を下り、花折戸尾根(はなおりどおね)669m標高点南尾根を登り、花折戸尾根669m標高点東尾根を下りました。
奥多摩は白丸駅から鳩ノ巣駅をめぐる短い尾根をゴニョゴニョと歩いた「短い尾根をゴニョゴニョとシリーズ」第8弾です。
それぞれの尾根は下の地図を参照してください。白丸地区を囲む尾根を3つ歩き、最後に棚澤地区に下りました。尾根の名前はテキトーですが、沢の名前は現地の橋の名前を元にしています。
短い尾根ですが、それぞれ思いのほか性格が違っていておもしろく、コンパクトにまとめるのが難しいというかもったいないというかメンドーというか、記録が長くなってしまったので[前編]と[後編]に分けました。
[前編]は草木沢右岸尾根と草木沢左岸尾根、本稿の[後編]は花折戸尾根669m標高点南尾根と花折戸尾根669m標高点東尾根です。
草木沢左岸尾根を青梅街道の瀧之沢橋まで下り、橋を渡ってすぐのコンクリート階段で花折戸尾根669m標高点南尾根に取付いて[後編]のスタートです。階段をのぼったまではよかったけれど、、、。
草木沢右岸尾根、草木沢左岸尾根、花折戸尾根669m標高点南尾根、花折戸尾根669m標高点東尾根[後編]
(花折戸尾根669m標高点南尾根 1/2)
■コース | 瀧之沢橋西詰(青梅街道)→瀧之沢橋東詰→(すぐ)花折戸尾根669m標高点南尾根取付→花折戸尾根669m標高点南尾根→(2時間40分)花折戸尾根669m標高点→花折戸尾根669m標高点東尾根→棚沢の薬師堂→(1時間)西川林道→(10分)[GOAL]JR青梅線鳩ノ巣駅 |
■歩いた日 | 2024年10月11日(金) |
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。
■瀧之沢橋西詰(青梅街道)→瀧之沢橋東詰→(すぐ)花折戸尾根669m標高点南尾根取付→花折戸尾根669m標高点南尾根→(2時間40分)花折戸尾根669m標高点
花折戸尾根669m標高点南尾根の取付は、地形の難儀さにくわえて電車の運転手から見えるに違いない山肌を這い上がるという心理的なプレッシャー(運転手が危険だと判断して電車を急停車させるかも。落石防止ネットはあるけれど落とした石が飛び出して電車を直撃するかも)でこれまでの尾根歩きで最凶クラスの取付でした。
尾根に乗れば平穏、なんてことはなくて予断を微塵も許してくれない岩崖登りに「ヤバい、まだ引き返せるかな」などと何度となく思い、足も手もすくみ、肝を冷やし、冷汗もぴたりととまり、頭の芯がしびれ、カメラのシャッターを押すたびに「これが最後の写真だったりしないよね」などと思ったりもしたのでした。
青梅街道を横断して草木沢左岸尾根を見上げてみました。背後は多摩川、擁壁の上のほうに線路があってその上のほうに小高神社があって段々畑みたいになっています。
横断し返して瀧之沢橋を渡ります。
橋を渡って左手、瀧之沢左岸のコンクリート階段から花折戸尾根669m標高点南尾根に取付きます。多分、尾根に乗れるはずです。
草ボーボーのコンクリート階段はすぐに鉄骨階段になって青梅線のコンクリート橋をくぐっていきます。
コンクリート橋をくぐり、右に折れるといきなり山に突入。
目の前に高さ2m弱ほどの崖が立ちふさがりました。ほぼ垂直の崖ですが灌木に巻かれた太くて短いワイヤーがぶら下がっていました。「ありがたい」と思ってワイヤーをぐいっと引っ張ったらブチッとちぎれてしまいました。ほんとーに「ブチッ」て音がしました。ここから登ることはあきらめ、崖の左手にカニ移動。
細い木や草の束をつかんだり落石防護網を支持するワイヤーをつかんで這い上がってきました。
急斜面にケーブルを固定するアンカーブロックみたいな大きな台形のコンクリートブロックが2つ並んでいます。なかなか人工物エリアから脱することができません。
コンクリートブロックの隙間から尾根に乗れるかと思って覗いてみたら小さな滝がほぼ垂直に勢いよく流れ落ちていました。あちらへは行けません。
コンクリートブロック沿いに登っていきます。右手には古びた落石防護柵が立っていてその下は線路です。振り向くとくぐってきたコンクリート橋とトンネルが見えます。上り電車の運転手が視線をほんのちょっと上に向ければこちらの姿ははっきり視認できるはずです。進入禁止エリアではないはずですが、とってもあせります。
ようやく花折戸尾根669m標高点南尾根です。線路が見えない位置まで早く登りたいです。落石防護網を迂回しながら必死に這い上がります。
張りたてホヤホヤみたいなロープがあって驚きました。めちゃくちゃ急勾配に沿って登っています。
ロープはすぐに途切れました。登ってきて
ちょっとした岩崖を登ります。振り向いたらもう線路は見えませんでした。ようやく尾根に集中できます。
またロープが現れて下り気味に右に曲がっていきました。目的はなんなんでしょう。キノコ狩りかな。
キッツい勾配の岩崖がつづきますが、手がかり足がかりに不足はありません。
ここは落石防護網のワイヤーをまたぎながら登っていきます。
あちらから登ってきて410m圏(以降「標高」は省略)で右から登ってきた尾根と合流しました。というかおそらくこちらの尾根が本筋です。
本筋は岩ゴツの尾根がつづきます。
岩の割れ目を登ったりもします。
標高450mあたりでとんでもない急登が始まりました。
急登にかまけていると、行く手の尾根が左右いっぱいの岩崖で覆われているじゃないですか。
岩崖の根元までたどりつきました。470m圏です。どうすればいいのでしょう。右方向を見て、
正面を見上げ、
左方向です。右方向はなんだかイヤーな雰囲気です。正面を登れそうな気もするんですが左へ回り込みます。
と思ったんですが、念のため右にちょっと回り込んでみました。やはりデンジャラスな雰囲気です。引き返します。
そこそこ歩きやすいトラバース(山腹水平移動)ではじまりましたが、すぐに
のっぺりした急斜面を必死にトラバースするハメになって木や草をつかみながらあちらから回り込んでくると
行く手につるんとした岩崖が見えました。ほぼ垂直の岩肌に剣呑な毒気が貼り付いています。
つるんの手前のここを登れるか。無理。
つるんはもちろん無理。根元をトラバースしてつるんの向こうへ。
つるんの向こう端を見上げます。ほぼ垂直ですが、手がかり足がかりはなんとかなりそう。追い立てられるように取付きます。
岩をつかみ、灌木をつかみ、ルーツファインディング(登攀を支持する木の根を探ること)で軍手を削りながら這い上がってきて
這い上がります。
ズリ落ちないように這い上がってきて
ズリ落ちないように這い上がります。この斜面は岩に薄い土が被っているだけなのでルーツファインディングはとても困難。半分ほど土に埋まった朽ちかけた細い倒木に助けられました。
這い上がってきて
ようやく尾根に復帰しました。尾根をこれほど大きく巻いた記憶はありません。帰宅後にログを見てみると550mの岩記号をはさんで470m圏から560m圏まで尾根を巻いていました。花折戸尾根669m標高点南尾根は全行程の約半分が「巻き」という特異な尾根歩きです。尾根歩きといっていいのかな。まっ、いいか。
岩の突端に立ってみると多摩川が薄曇りの空を映していました。
尾根歩き続行です。尾根上も岩がちです。
登りやすそうな場所を探しながら左へ、
登れません。さらに先へ。
あちらから回り込んできて
登ります。
無理。うーん。引き返します。
戻ってきて右へ回り込みます。というか回り込めるかどうかわかりませんがしようがありません。
大岩を抱くようにして進みます。
路肩なしののっぺり急斜面を回り込んできて、
やりました。巻き終えました。あとは這い上がるだけです。
ズルズルの急斜面はやっかいでしたが尾根に復帰。
急登です。
登ってきて
花折戸尾根に合流しました。
花折戸尾根を登り、
669mの標高点あたりに到着。これにて花折戸尾根669m標高点南尾根はおしまいです。
次は花折戸尾根669m標高点東尾根を下ります。下降点がわかりづらそうです。尾根を探しながらゆっくり引き返します。
次は花折戸尾根669m標高点東尾根を下ります。下降点がわかりづらそうです。尾根を探しながらゆっくり引き返します。