奥多摩尾根歩き
草木沢右岸尾根、草木沢左岸尾根、花折戸尾根669m標高点南尾根、花折戸尾根669m標高点東尾根[後編]

(花折戸尾根669m標高点東尾根 2/2)


花折戸尾根669m標高点→花折戸尾根669m標高点東尾根→棚沢の薬師堂→(1時間)西川林道→(10分)[GOAL]JR青梅線鳩ノ巣駅


花折戸尾根669m標高点東尾根は文字通り花折戸尾根の669m標高点から東へ下っていく尾根ですが、道中も西川の着地点もどう考えてもキビシいに違いないと身構えていたんですが、なんと、尾根を下り始めてすぐにしっかりした作業道と合流して驚きました。とくに困難もなく下端近くまで下ってくると立派なお寺があってまたびっくり。そんな尾根でした。
いや、着地点がキビシい、という予想はある意味、大当たりでした。
と、まあ、語ることは多いんですが尾根自体はとてもシンプルで記録も短いです。

669m標高点から2、3分、森林再生間伐事業の看板の向こうあたりが花折戸尾根669m標高点東尾根のようです。
どうにも確信がもてないのでスマホGPSで位置を確認。ここです。花折戸尾根669m標高点東尾根を下ります。
2、3分も下ると右手から下ってきたしっかりした作業道にぶつかりました。森林再生間伐事業の看板から花折戸尾根をもう少し下るとこの作業道が合流しているんじゃないでしょうか。作業道は尾根筋を縫うように下っていきます。たどります。
下ってきて
下ります。
藪に突っ込みますが作業道はつづきます。まさか道があると思っていなかったのでありがたいような拍子抜けしたような。
やがて作業道はボブスレーのコースみたいに丸くえぐれました。右上の踏み跡を下ります。
踏み跡は490m圏で分岐します。コースを渡って左手の尾根の向こうへ下っていく踏み跡と、右へトラバースしていく踏み跡です。コースは尾根上を通っていそうですが、尾根の下端近くで等高線がほぼくっついています。危険です。しっかりした踏み跡がのびる右を選択。
踏み跡はくの字くの字でつづき、
おだやかな勾配の尾根に乗りました。下っていくと
丸太で土留めされた階段です。これだけ整備された道ならこの先は西川に橋が架かっていてすんなり西川林道に立ち、鳩ノ巣駅にゴールできるはず。と、ほくそ笑んだんですが、そんなに甘くはないことがしばらく後で判明します。
階段をおりきると「私有地につきこれより先無断での入山禁止」と書かれた看板が立っていました。すみません。いまさらどうしようもありません。ありがとうございました。
看板から下っていくと立派なお堂が建っていました。境内の案内板によると「棚沢の薬師堂(瑠璃閣)」で、江戸時代に建立された旧堂を1990(平成2)年に改築したらしい。堂内には本尊の薬師如来像と本尊の両脇に十二神将が安置されているという。薬師堂は草木沢左岸尾根の小高神社と同じく地形図にもGoogleマップにも記載されていませんが、地形図を拡大すると「普通建物」の赤く四角い記号が見えてきます。
参道の階段をおりていきます。
道路に立ちました。できたてほやほやというか建設中らしい幅広の名前のわからない道路です。西川林道ではなさそう。
幅広の道路をゆるやかに下っていくとすぐに西川に架かっている橋です。橋を渡ると西川林道ですが、ゲートがピシャリと閉まっています。「まっ、開くでしょう」と思いながらゲートをスライドしようとしたんですがビクともしません。ガチガチのガッチガチに閉まっています。これはまずいです。すぐ目の前の西川林道を右へ下っていくと鳩ノ巣駅です。いや、その前に大橋屋で缶ビールです。
すぐ下流に橋が見えました。操業していない工場の前に架かっているようです。建設中の道路を登り返して工場に降りられる道を探ってみたんですがめちゃくちゃ遠回りのうえ、道路から工場へは急降下です。しかも、あれです。工場への不法侵入です。罪に問われない緊急避難に該当するかは微妙。
結局、ゲート付きの橋に戻ってきました。橋から西川に降りて渡渉するしかありません。草ボーボーの中に「棚澤の薬師堂」の道標が立っていました。けれども道はまったくわかりませんでした。そんなことはともかく、
西川を渡渉しました。左足を水中の石に乗せて一気にジャンプ。構想はよかったと思うんですが左足が完全に水没。
左足を犠牲にして西川林道に立ちました。これにて花折戸尾根669m標高点東尾根はおしまいとします。看板によると道路はすぐ近くの砂防工事のためのもので山中にはのびていかなそう。
西川林道をてくてく下り、青梅街道手前の大橋屋で缶ビールを購入。坂を登って鳩ノ巣駅へ。トイレを借りて着替えたんですが着替え用のシャツをザックに入れ忘れていました。しかたないので素肌に雨具用の薄いヤッケを着て首にタオルを巻きました。あまり着心地のいいものではありません。ビールを飲んでいるうちに忘れちゃいましたが。左足のことも。
山の神様、仏様、地権者の皆様、きょうもありがとうございました。お寺からお寺へ、ゴニョゴニョとお騒がせしました。頭の芯がしびれるほどキッツい岩崖登りで粘っこく沈殿した恐怖心のしこりを引きずっていたんですが、電車に揺られていると小さな達成感のなかにゆっくり溶けていきました。また、よろしくお願いします。いや、あまりキッツいのは遠慮します。