奥多摩尾根歩き
棒ノ嶺北東尾根

(再々々)


今回は奥多摩町大丹波(おおたば)から棒ノ嶺(ぼうのれい)に登り、棒ノ嶺北東尾根を下りました。棒ノ嶺で都県境尾根をまたぐ尾根歩きです。
棒ノ嶺は地形図に棒ノ嶺(棒ノ折山)と記載されています。東京側の呼び名が棒ノ折山で埼玉側の呼び名が棒ノ嶺(ぼうのれい)と聞いたことがあります。確かに東京側の道標には棒ノ折山のみで棒ノ嶺という表記はなく、山頂に立ってはじめて棒ノ嶺の文字を見ました。棒ノ折山北東尾根は東京側の名前で、埼玉側は棒ノ嶺北東尾根ということになるのでしょうか。ややこしく面倒なことです。どうでもいいですよね。わたくしの過去記事も両者が混在しています。
棒ノ嶺北東尾根はかなり歩かれている雰囲気でした。記憶より道はずいぶんはっきりして、とくに名栗湖周遊道路に降りる直前の急降下には丸太で土留めされた階段がつくられていたのには驚きました。作業用でしょうが、格段に歩きやすくなりました。
2週間ぶりの尾根歩きにいざ出発です。
コース [START]JR青梅線川井駅→(1時間10分)奥茶屋キャンプ場(跡)→(1時間40分)棒ノ折山 →棒ノ嶺山北東尾根→(20分)林道→ (10分)棒八の頭→ (30分)名栗湖周遊道路→(5分)有間の湧水→(30分)[GOAL]さわらびの湯→西武池袋線飯能駅
(4時間25分)
歩いた日 2022年7月18日(月)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

大丹波川中流域の奥茶屋キャンプ場(旧?)に棒ノ嶺への登山口があります。棒ノ嶺への登りはワサビ田が続く権次入沢(ごんじりさわ)沿い、祠で沢を離れると植林帯を縫いながら稜線を目指すがまんの急登、稜線から山頂までのやっぱりがまんの急登、の3つのパートにわかれます。
棒ノ嶺北東尾根は初っ端の急降下に続く新緑に囲まれたおだやかな尾根歩き、防獣ネットに付かず離れずの尾根歩き、植林帯の長ーい急降下、の3つのパートにわかれます。大きな分岐は2か所。標高670m(以降、「標高は省略」)あたりの分岐は盛大な通せん坊を乗り越えず、530m圏の分岐は「北東」を意識してクリア、だと思うんですが、どうでしょう。下山後は有間の湧水で顔と軍手を洗い、水を汲み、さわらびの湯に向かいました。

おはようございます。川井駅です。きょうも奥多摩大橋は大きいです。河原にはたくさんのテントが並んでいます。
改札を出て左の階段を下り、大丹波川を渡ってすぐ右へ。大丹波川右岸をてくてくと歩きます。いつもはこの北川橋(きたがわばし)を渡るんですが、出発前になにげにGoogleマップで調べると登山口までは橋を渡らずに左の道を歩いたほうが少し時短になるらしい。ということで左へ。
左岸の道より広々とした風景が続きます。
大丹波川の流れ。
真名井橋(まないばし)で左岸に渡ります。
清東橋(せいとうばし)バス停を通過します。バスはここまで(から)です。立派な待合所、トイレがあります。
清東橋バス停から10分たらずで棒ノ嶺への登山口です。奥茶屋キャンプ場のはずですが、「OKUTAMA BASE」と書かれた黄色い木の板があちこちでぶらぶらしていました。この近所には、大丹波川の下流から清東橋バス停すぐの清東園キャンプ場、中茶屋キャンプ場、百軒茶キャンプ場、そして奥茶屋キャンプ場が並んでいたんですが、この奥茶屋キャンプ場は営業をやめた雰囲気です。道標は「棒ノ折山」。
木橋で大丹波川を渡ります。
段差の大きいワサビ田が続きます。城壁のようです。
いくつもの木橋で沢を縫うように登っていきます。2週間のブランクのせいでしょうか、足を踏み出すたびに体が左右に揺れる感じがします。
道に水がじゃんじゃん流れている場所があり、
3、4mほどの滝が落ちていたりもします。
「危険 橋が壊れています 左側をお通りください」
左側では「一杯水」と彫られた道標が土留めに使われていました。一杯水はずいぶん遠い場所ですが、どういう経緯でここに埋められたのか、ちょっと興味があります。
祠に出合うと権次入沢とはお別れです。道は「棒ノ折山」方面へ山腹を登ります。祠にはシカらしい頭蓋骨が置かれていました。
丸太で土留めされた階段を登ります。くの字くの字の急登です。体が揺れるたびに顔からピッピッと汗が落ちます。
「マムシ 注意 山主」。韻を踏んだ看板の前でちょっと休憩。ペットボトルに詰めてきたほうじ茶を飲み、「抹茶のどあめ」を口に含みます。
飴がまだ小さく残っている頃、720m圏で尾根に乗りました。
尾根の下方。かつて大丹波川を渡渉し、登った棒ノ嶺南尾根(テキトーな名付け)です。
そこそこの急登ですが、山腹のくの字くの字よりは楽です。登ってきて
登ります。
空が広がってきました。
棒ノ嶺の山頂に到着。標高969m。東の黒山(くろやま)、西の長尾丸山(ながおまるやま)には三等三角点があるんですが、ここにはありません。山の知名度と測量の事情は関係ないのでしょうか。
クリなんかが茂って展望はほぼなし。
埼玉県を背にした「棒ノ嶺」の山名板。
東京都を背にした「棒ノ折山」と彫られた道標の支柱。
ごはんにします。のりの代わりにハムで白米を巻いたおにぎらずです。ハムが具みたいなものなので具はなし。貧相かというとそうでもないような、微妙なおにぎらずです。切り替え画像は早朝の調理風景。淡い塩気に包まれたおにぎらずを半分ほど食べ、ベンチで休憩。
けれども葉っぱの茂みを眺めていてもしょうがないので早々に山頂を辞します。
雲取山(くもとりやま)の方向(ずいぶん遠いですが)に20mほど進んだここから棒ノ嶺北東尾根を下ります。
急降下で地面は粘土質。足の置き場を選びながら身長に下るんですがミスもあります。
急降下が終わり、おだやかな尾根歩きが
続きます。
870mあたりで防獣ネットが右から登ってきて尾根上を下っていきます。
防獣ネットに沿ったり
あまり沿わなかったりしながら尾根を下ります。記憶にある道よりずいぶんしっかりしています。歩く人が増えているのでしょうか。
泥の急坂をロープをつかみながら下り、
林道に降りました。
林道の向かいに尾根は続き、ネットも続きます。
706mの標高点に着きました。以前は「棒八の頭」と書かれた板があったんですが、文字が消え、朽ちた板がころがっていました。切り替え画像は2016年9月に棒ノ嶺北東尾根を歩いたときの板です。ここで防獣ネットは道を離れて右に急降下していきます。
道も急降下です。
670mあたりの分岐です。いかにも尾根の続きに見える方向には通せん坊の木が何本も置かれています。右に折れます。
下ってきて
下ります。
急降下です。地面はザレザレですが、幸い湿っているのでグッと靴のグリップが効きます。
530mあたり。ほんのちょっとの区間ですが明るくてのびやかな雰囲気の尾根道が続きます。
520m圏の分岐です。ここは右の尾根へ。なだらかに下っている左の棒ノ嶺北東尾根(下端変)(テキトーな名付け)も歩いたことがあります。
間伐されたヒノキの香りに包まれて下ります。
尾根の両側に名栗湖が鈍く光っているのが見えてきました。
急斜面に細い木で土留めされた階段がつくられていました。
すぐそこに道路が見えています。かつては足場は悪く、傾斜はキツく、難所だったんですが整備されたのでしょうか、デンジャラス感はかなり薄まっています。
名栗湖周遊道路に降りました。これにて棒ノ嶺北東尾根はおしまいです。有間の湧水に向かいます。
名栗湖の対岸。2013年に大崩落があったそうです。
有間の湧水。ドシャドシャと流れていました。顔や軍手を洗い、ほうじ茶を飲み干して水を汲みました。パンツ一丁になって体を拭いたら気持ちいいだろうなと思ったんですが、車が4台ほど駐車していて人が乗っているのか乗っていないのか判然としません。残念。さわらびの湯に向かいます。周遊道路を引き返して
棒ノ嶺北東尾根を回り込みます。
白谷沢(しらやさわ)の登山口を通過します。
ネッシーみたいに湖面に薄く出ている頭部分が棒ノ嶺北東尾根の下端です。あそこまで行かれたら面白いんですが、ちょっと難しそう。
ピカピカに磨かれた大きなバイクがたくさん並んだ有間ダムから上流の景色。
ゴールのさわらびの湯に到着しました。2週間ぶりの尾根歩きなので短めのルートを選択したんですが、谷を離れてからの棒ノ嶺への登りはかなりキツかったです。まっ、風呂上がりのビールでチャラになるくらいの疲労感ではありました。
山の神様、地権者の皆様、きょうもありがとうございました。無事、下山でき、水も風呂もビールもいただくことができました。また、よろしくお願いします。