奥多摩尾根歩き
立橋尾根

(2/2)


1183m標高点→(1時間40分)旧立橋山→赤岩ノ頭→(35分)荒川分岐→作業道→(1時間)秩父林道終点→道間違い→秩父林道→(2時間10分)[GOAL]秩父鉄道武州日野駅


1183mの標高点の手前からようやく勾配は落ち着きはしたんですが、ただではすまいのが立橋尾根です。1300mから1350mと旧立橋山の山頂直下に地形図どおりの急登があるんですが、ここもほぼ岩崖登り。息を抜けません。旧立橋山の山頂直下のかなりキツい急登をしのいで立橋尾根はおしまいです。荒川分岐からの下山は日没との競争になるわ、道がはっきりしないところがあるわ、林道に出てから方向を勘違いするわ、かなりしんどい思いをしました。電車の時刻がはっきりしなかったのでヘッドライトで林道を照らしながらの小走りで武州日野駅に着いたときはエネルギー残高ほぼゼロ。ベンチでぼーっと電車を待ったのでした。

1183mの標高点を過ぎてすぐ、足跡は少なく、あまり人気のなさそうなヌタ場です。それとも秘湯みたいなポイントなのでしょうか。
左下に造成中らしき道が見えました。
秩父市街が見えていたんですが、わたくしの写真技術ではこの通り、さっぱりわかりません。
1220mあたりでルーズソックスが白い網タイツになりました。この先、どうなるのか、期待する気力はありません。小さなピークを越えます。
2つめのピークです。
3つめ。長くて勾配もキツいです。
踏み跡は右に斜上します。たどると
どう見ても岩です。岩が立ちふさがっています。もう岩崖は終わったものだと思っていましたが、ここはどう凌ぐのか、
左へトラバース気味に巻いていきます。
踏み跡らしきものはトラバースして続いていますが、やけくそ気味 
テキトーなところから尾根に這い上がりました。
巻いた岩のてっぺんです。カタツムリの頭みたいです。あそこまで登ろうかと迷いましたが、雲に覆われてなにも見えないに違いない、なにより濡れた根っこが怖い、ということでてっぺんには登らずに尾根歩きを続行。濡れた根っこは足を置く前に滑るくらい滑りまります。とても怖いです。
登って
登ってきて
あたりまえですが、また登り、
登ってきて
小ピークを越え、
もうひとつ1340m圏の小ピークを越え、
おだやかな尾根道なって
小屋跡のような平坦地を右に見ながら歩きます。
ブナでしょうか。黄色に色づいた葉っぱが雲に濡れていました。
こんな尾根道を歩き、
1410m圏で右から登ってきて下ってきた尾根の鞍部で合流します。
1340mあたり。ポカリと空が開けたピークです。切株に傘が刺さっていました。
下り、
立橋山の山頂直下です。かなりの急登です。黄色い葉っぱが時折ゆるりゆるり回りながら落ちてきます。
ヒノキの大木にギュッと巻きつけられたワイヤーがビーンと張られて安谷川に向かって下っていました。
アセビ尾根を抜け、
登ってきて
立橋尾根のてっぺん、旧立橋山に到着です。木の枝が蜘蛛の巣のように組まれていました。通せん坊なのでしょうか。
蜘蛛の巣の向こうから撮影。登ってきた方向です。これにて立橋尾根はおしまいです。
切り替え画像は『奥多摩』(宮内敏雄 著 昭和刊行会 刊 昭和19 国立国会図書館 蔵)の22ページに掲載されている地図の部分引用です。「立橋山」からのびている「八獄尾根」は矢岳尾根だろうし、左に伸びている尾根は立橋尾根だとするのがこの近辺の地形からみて妥当だと思います。やはり、いま立っている旧立橋山が立橋山だったんでしょうね。「ショウヂンタワ」は牛首(うしくび)だと思います。
旧立橋山のピーク全景。四畳半くらいの広さかな。休憩しながら下山ルートを検討します。日没を考えると矢岳北尾根を下るのは無理そう。出発前になんとなく想定していた荒川分岐という地点から秩父林道の終点に下るエスケープルートか、あるいは坊主山で長沢背稜をまたいで七跳尾根(ななはねおね)から小川谷林道を下って奥多摩の東日原バス停を目指すか、ちょっと悩みました。それほど距離はないけれど「これから長沢背稜まで登るのは体力的にかなりキツいなあ」とかつて長沢背稜の坊主山あたりから矢岳尾根を下ったときの記憶をたぐります。結局、荒川分岐から秩父林道を目指すことにしました。それにしても日没との競争になりそうです。
旧立橋山から矢岳尾根を矢岳に向かって下ります。
焦っている気分をちょっぴりほぐしてくれる景色です。
下り一辺倒かと思っていたらそうでもなく、そこそこの急登から
急降下。
また急登で
登りつめると赤石ノ頭です。1448mの標高点です。右から登ってきた尾根と合流します。控えめな山名板が木にくくりつけられていました。ここで尾根は左にクッと曲がります。
おだやかな尾根道を急いでいると本日2つめのヌタ場です。ここはそこそこ繁盛していそう。
荒川分岐に着きました。なぜ荒川分岐と呼ばれるのか謎です。ここは荒川上田野という地区の東南端に位置します。そういうことでしょうか。どういうこと? まっ、それはそれ、立っている道標や地面に置かれた道標に秩父林道の文字は見当たらなかったんですが、
左の谷に向かって下るそこそこはっきりした道というか踏み跡がのびています。古そうな赤テープが続いていました。
重力にまかせて急ぎます。
こんなところを通過します。
道幅がかなり狭い場所もあります。大きなくの字くの文字で下っていきます。
林相の雰囲気が変わりました。くの字くの字は続いています。
道はこの谷を下っているよう。
うすい道形をたどって下っていきます。石ゴロゴロから
草ボーボーになり、
左手の大岩の下をあちらへ回り込みます。
小さな流れを渡ります。対岸にしっかりした道が見えました。
小さな谷の左岸沿いに下り、
また小さな谷を渡ります。
左岸沿いの道を下ります。
白い網タイツが出現しました。焦りまくって下山しているココロがなんとなくホッとしましたが、なんで? 意味がわかりません。
烏帽子谷(らしい)の流れをちらりと見ながら急ぎます。
1070mあたりであきらかに林道と思われる道に出ました。古そうですが轍も見えます。地形図の車道よりもずいぶん標高が高いです。伸長したけれど整備はまだ、という状況なのでしょうか。
左に登る山道もありましたが、
迷わず水平の幅広い道を選択。草ボーボーの林道を歩きます。3度ほど小さなヘアピンカーブを経て
烏帽子谷が近づいて
やりました。秩父林道の終点に着きました。日没前に林道に降りられて一安心です(ぬか喜び)。
中央奥から下ってきました。
ザックを降ろしてちょっと休憩。終点の先はどうなっているのかな、と歩いてみましたがまだまだずーっと先があるようです(当たり前。逆方向だから)。
ゆっくりはできません。ザックをかつぎ、反対側に歩いたんですが、どうやら崩落です(こちらが終点)。
左の山腹に長い赤テープがヒラヒラしていました。道をたどります(まったくの正反対の方向)。やがて道は消え、小尾根を3つ4つ越えてようやく「なんかヘン」と気づきました。これは立橋尾根の東面をトラバースしてるんじゃないの? スマホGPSで確認。このままトラバースを続けると立橋尾根の1000mあたりの岩崖にぶち当たります。先ほど歩いたずーっと先が進むべき方向でした。なんというミスでしょうか。日没までの貴重な時間を浪費してしまいました。必死の思いで林道終点まで引き返します。
切り替え画像は勘違いの道間違いのようすです。
林道に戻ってからは小走りです。武州日野駅から自宅に帰るには遅くても19時台に乗りたいところです。その次は21時台なんですが、せっかくの「秩父市応援 秩父漫遊きっぷ」の威力を発揮できないルートになってしまいます。問題は「台」。何分なのかは覚えていません。19時1分なのか59分なのか、えらい違いです。確認はしませんでしたがスマホが使えるとは思えません。ひたすら林道を下ります。途中で烏帽子岩と呼ばれる岩とその向こうに立橋尾根が見えました。
立橋尾根の下端部。あの見えない先に秩父端があります。がんがんがんがん下らないといけません。
立橋尾根に取付いた秩父端まで下ってきました。画面の異常ではありません。だいじょうぶです。なにも写っていません。
ヘッドライトを点灯。
朝、ショーットカットで通らなかった秩父併用林道の始点を通過します。
街灯です。ヘッドライトを頭からはずして手に持ち、小走りを続けますます。
武州日野駅に着きました。19時42分発の電車まで1時間ちかく余裕がありました。トイレの洗面台を借りてドロドロになった顔や軍手を洗い、軍手でズボンの泥を拭き、スマホで駅近くの酒屋がきょうは17時までだと知って愕然として、待合室の木のベンチでボーッとして、ホームの木のベンチに移動してアリに運ばれていく小さな緑色の虫をボーッと眺めながら電車を待ちました。
山の神様、地権者の皆様、きょうもありがとうございました。無事に下山することができました。くくり罠にも掛かりませんでした。ありがとうございます。それにしてもきょうの尾根歩きと言うか崖登りはかなりしんどかったです。これに懲りることなく、また、よろしくお願いします。