奥多摩尾根歩き
寸庭川右岸尾根、琴沢左岸尾根

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今回は寸庭川右岸尾根(すにわがわうがんおね)を登り、琴沢左岸尾根を下りました。いずれも御岳山の北面の尾根です。
寸庭川右岸尾根は大塚山をてっぺんにして寸庭川と多摩川の出合あたりに没しています。琴沢左岸尾根は御岳山から北東に下り、下端は大沢川と琴沢という流れの出合に平坦地をつくっています。どちらの名称もネット検索でヒットするのでテキトーな名付けではありません。いくつかのサイトを尾根歩きの参考にさせていただきました。

コース [START]JR青梅線古里駅→(15分)寸庭橋→(5分)日枝神社→寸庭川右岸尾根取付→寸庭川右岸尾根→(20分)アタゴ山→石積川ノ頭→(50分)梅沢寸庭林道横断→(20分)丹三郎山→林道からの登山道と合流→中ノ棒山→(50分)大塚山(寸庭川右岸尾根おしまい)→(40分)御岳山→(30分)リフト乗り場→ケーブルカー乗り場で下降点を探してうろうろ→(20分)琴沢左岸尾根下降点→琴沢左岸尾根→(1時間20分)琴沢入橋(琴沢左岸尾根おしまい)→多摩川沿いをてくてく→(1時間50分)[GOAL]JR青梅線沢井駅
(7時間25分)
歩いた日 2023年4月1日(土)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ~、そ~、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

[START]JR青梅線古里駅→(15分)寸庭橋→(5分)日枝神社→寸庭川右岸尾根取付→寸庭川右岸尾根→(20分)アタゴ山→石積川ノ頭→(50分)林道横断→(20分)丹三郎山→梅沢寸庭林道からの登山道と合流→中ノ棒山→(50分)大塚山(寸庭川右岸尾根おしまい)


古里駅から寸庭橋を渡り、日枝神社(ひえじんじゃ)の裏から寸庭川右岸尾根に取付きました。初っ端のキツい傾斜をアタゴ山の山頂まで登りつめた後は石積川ノ頭、丹三郎山、中ノ棒山といったピークを通過するんですが、これぞピークといった登り下りはなく、大塚山までおだやかな尾根道が続きました。後述しますが、石積川ノ頭から下は夕陽向フノ尾根という素敵な名前があるようです。

古里駅の跨線橋からおはようございます。写真奥のとんがった山(鳩ノ巣城山)の手前に見える茶色い伐採地が目指す寸庭川右岸尾根の稜線を際立てています。右側の稜線の角度が半端ないです。
古里駅を青梅街道側に出て右へ5分ほど、この分岐を左へ。「大多摩ウォーキングトレイル」の道標に従います。ゆるやかに多摩川に向かって下っていき、
寸庭橋を渡ります。
多摩川下流。
橋を渡ってすぐ、この階段を登ります。寸庭の集落へのショートカットです。
すぐに集落が見えます。
合流した道路の向こうに手回しサイレンの設置された櫓が建っていました。現役なのでしょうか。右へちょっと歩くと
左手奥に日枝神社が見えてきます。
神社前から登ろうとしたんですが、勾配と藪に尻込み。
神社裏のあの稜線を目指すことにしました。少し登った小さな祠の前で遠くの犬に吠え立てながら軍手や杖をザックから引っ張り出して準備完了。
斜上してきて
斜上します。
尾根に乗った、と思います。道というか踏み跡はあるんですが、かなりキツい勾配です。
登ってきて
登ると
大きな木のそばに小さな社が見えてきました。アタゴ山の山頂です。
『奥多摩』(宮内敏夫 昭和19年 昭和刊行會)には「さて、御嶽山から北に走る支稜は富士ノ峰を過ぎて三角點九二〇米の大塚山となる。棒ン杭山(ぼんぐひやま)とも白岩山とも呼ばれる山だ。此處で分裂する尾根の西北に越澤と寸庭川間に蹴出すのを金平(こんぴら)尾根といふ。途中の八二〇米の圏はヒロ澤山である。
東北に延く尾根は中ノ棒山となって二分し、一は東より中野で終り、一は北に轉じて丹三郎平ノ尾根となり、寸庭(すにわ)方面に降るのを夕陽向フノ尾根と呼び、末は越澤・寸庭兩渓合流する右岸に、四〇〇米の丸いアタゴ山を起して多摩川に臨む。」(135ページより引用 カッコ内はルビ)とあります。「四〇〇米の丸いアタゴ山」はここで間違いないと思うんですが、地形図によると標高は380mありません(以降、「標高」の表記は省略)。まっ、そんなことはともかく石積川ノ頭までを夕陽向フノ尾根というらしい(66ページの地図「高水三山附近その一」は夕陽向フ尾根と表記)。素敵な名前です。夕陽に向かうにはちょっとキビシい方角だと思うんですが、まっ、そんなことはともかく同書にならうと夕陽向フノ尾根丹三郎平ノ尾根とその上の尾根を合わせて寸庭川左岸尾根と呼んでいることになります。
そんな寸庭川左岸尾根をビシッと見通せます。
眼下は古里駅周辺の古丹波の町並みです。この伐採地を眺めた跨線橋も見えます。
伐採地跡から植林の中へ。歩きやすい尾根道が続き、
ゆるやかな登りには
木で土留めされた階段が続き、
登りつめると、また平坦な尾根になり、
小ぶりな鉄塔(奥多摩線8号)をくぐります。
鉄塔からの展望は、微妙。
やや急登が始まり、
登ってくると
550m圏で左から登ってきた尾根と合流。にぎやかです。またおだやかな尾根になりました。
左から登ってきた尾根。歩きやすそうです。
合流地点からすぐ、「石積川ノ頭(石積沢ノ頭)」と書かれたテープが木に巻かれていました。570mあたりです。路傍のピークといった風情です。これにて夕陽向カフノ尾根はおしまい。
石積川ノ頭のピークからは丹三郎平ノ尾根です。ちょっと下って登り返すと、
「登山道」の案内板がありました。
直進すると林道(梅沢寸庭線)の上です。切り立っています。案内板の矢印に従って
林道に降りて左へ進むとすぐ、尾根の続きに取付く案内板が立っていました。
尾根に復帰。こんな尾根道を登っていくと
丹三郎山(667mの標高点)の山頂です。山名を書いたテープや板があります。ここも路傍のピークといった風情です。ピークをてくてくと歩き過ぎると
すぐに左から登ってきた登山道と合流しました。こちらの尾根にはロープが張られています。
ビシッとした登山道を大塚山に向かいます。寸庭川側に立つ環境に配慮した色使いに違いない看板を通過し、
明るい尾根道を登っていくと
846mの標高点あたりに到着。「中ノ棒山」と書かれた山名板やテープがありました。前述の引用のように大塚山は棒ン杭山とも呼ばれるそうなので、中ノ棒山は棒ン杭山に対応した山名なのかもしれません。大塚山に対応した「小塚山」と書かれたテープもありました。これにて丹三郎平ノ尾根はおしまいです。
中ノ棒山から東に下る尾根です。『奥多摩 登山詳細図(東編)』(吉備人出版 以降『詳細図』)に「境界尾根」として紹介されています。
明るい尾根道を
先に進みます。
大塚山のでっかいアンテナ塔が見えてきました。
謎の遺構を通過します。
幅広の道を横断し、尾根道を登り、大塚山園地休憩所を通過し、
大塚山の山頂です。
大塚山山頂には三等三角点があります(案内板の左下)。標高は 920.20m、基準点名は富士峰。これにて寸庭川右岸尾根はおしまいです。
日枝神社には大山咋神(おおやまくいのかみ)という神様がまつられているらしい。「くい」は杭のことで、山頂の境界になる棒を神格化した神ともいわれる、とネットで読みました。日枝神社、中ノ棒山、棒ン杭山(大塚山)、ふふふ、見事につながりました。
続いて御岳山をめざします。