奥多摩尾根歩き
鋸山西の肩

(鋸山車力道コース、鋸山西の肩)


鋸山→日本寺(地獄のぞき、大仏など)→(2時間30分)ロープウェイ山頂駅→鋸山西の肩→山頂駅下山道→(2時間)内房なぎさライン→(30分)[GOAL]JR内房線浜金谷駅


鋸山西の肩は手強かったです。ロープウェイ山頂駅が尾根上に建っているので駅のテラスから西の肩を見下ろして道があるのか探したのだけれどもはっきりしません。なんとか見つけた道は素敵な尾根道でしたが……。

ここからがビシッと尾根歩きです。まずはロープーウェイ山頂駅を目指します。
登山道をはずれて尾根上を歩いたりしてみましたが、
すぐに登山道と合流。おとなしく登山道を歩くことにします。
アンテナ塔を下巻きます。
尾根上の道もあります。植生は奥多摩と微妙に違うような気がしますが、尾根道は尾根道です。尾根歩きに国境はありません。貴賤はありません。
地形図からはよくわかりませんでしたが、かなり起伏があり、尾根の乗換えも何回かありました。
そんな起伏の起を登り詰めるとこんな風景が広がっていたりします。
奥多摩ではないことです。
下って登って、こんな道を歩いていると
「こっち来てみません?」みたいなコース外の道がありました。
お呼ばれしてみるとこんな石切場跡があって、
突き当たって左へ進むと登山道の手すりが見えました。
「東京湾を望む展望台 0.05KM」の道標が見えてきました。
ちょっとした坂を登り、東京湾を望む展望台に到着です。人が多くてあまり写真を撮れませんでしたが、まっ、わたくしの場合ちゃんと撮ってもそれほど違いはないと想います。房総半島の先っぽ方向です。
ちょっと右へ。
ちょっと右へ。肉眼では富士山が見えていました。
これから歩く西の肩です。白い建物は山頂駅です。
さようなら、東京湾を望む展望台。
道標まで戻ってきました。どういう事情かわかりませんが方向は同じなのに指し示す名前が異なる道標が2本立っています。「関東ふれあいの道 石切場跡 0.3KM」へ歩きます。
こんな風景に出くわしたりもします。
途中の石切場跡。
車力道の分岐です。
水溜まり。ここでもカエルが鳴いていました。
途中の石切場跡。良質な石を切り出せる地層を追って掘り進んだ結果、こんな地形になったといいます。
折りたたみ椅子の残骸。閉山式典で使われたのかもしれません。違うかな?
あそこは「地獄のぞき」です。のぞきを見上げます。
石切場跡に到着しました。
1文字1m以上あると思います。
あのてっぺんからここまで山を切り取ったんですね。
切りだした石を吊り下げたワイヤーをあの車輪で回し、
ここから麓に降ろしたようです。
車輪の向こうから見下ろしてみました。
石を切りだしたチェーンソー、だと思います。
2枚の円盤で石を挟んでチェーンソーで整形した機械、だと思います。
石を運んだショベルローダー。
階段で石切場跡を登ります。
こんな風景が見えました。
さようなら。石切場跡。とっても面白かったです。
山頂駅を目指します。
港を指す道標を通過します。
途中の石切場跡を覗き込んでみました。
セメントの普及で房州石の生産は次第に衰退していったということです。
「ラピュタの壁」と呼ばれている石切場跡。垂直面の高さは96mあると案内板に書いていました。大迫力です。スタジオジブリの映画『天空の城ラピュタ』からの愛称だと思うんですが、観たことがないのでなんとも言えません。
ラピュタの壁からの風景。金谷の町が一望できます。
西の肩を歩くにはどうやら日本寺に入らないといけないようです。
日本寺北口管理所から入場。こちらの正式名称は乾坤山日本寺だそう。拝観料は700円。きょうは強風のためロープウェイは運休なので下山は云々と説明してくれました。が、わたくしは西の肩一本です。ですが、超ラクチン極楽エスケープルートとして隠し持っていたロープウェイでの下山が絶たれたのは正直ちょっと痛いです。
境内に入ってすぐの「百尺観音」。比較のために階段に杖を置いています。大きいです。
「地獄のぞき」です。拝観料を払ったときにもらったイラストマップ片手に気分はほぼ物見遊山です。
「地獄のぞき」の順番待ち中です。腕だけを突き出しての撮影。
次です。
んー、怖いです。下はちゃんと見られません。
西の肩です。

突き出た岩の先端に向かいました。絵に描いたようなへっぴり腰で進みます。
「東海千五百羅漢」。あちらこちらに石仏が安置されています。全部で1553体あり、伊豆から運ばれた石材を彫ったそうです。
史跡間の移動はほぼ石段です。
大仏。巨大です。台座を含めた高さは31.05mあり、奈良東大寺の大仏の18.18mより大きいことがイラストマップの裏に書かれていました。「百尺観音」と同じく岩盤を彫った磨崖仏です。
大仏の前でピースサイン。大仏さまも願いは同じでしょう。
大仏の左にある「お願い地蔵尊」。
地蔵に名前を書いて奉納。願い事を聞いてもらいます。地蔵1体500円。
大仏を遠くから眺めたり近寄ったり、ブラブラして出発です。
「弘法大師護摩座」を通過します。
廃仏毀釈の犠牲でしょう。ここの「東海千五百羅漢」の石仏は全て首がありません。
次は「十州一覧台(じっしゅういちらんだい)」です。
十州が見渡せるという展望台です。浅間神社と世界救世教の祈念碑が建っていました。
西の肩。展望台からちょくせつ尾根上を歩けないものかと探ってみましたがよくわかりませんでした。
展望台から西口管理所まで降り、日本寺の境内から出ました。管理所の方に明鐘岬までの道があるのかたずねてみたんですが、「聞いたことがない」との返事。さらにイラストマップで気になっていた山頂駅あたりから海辺の国道までのびている「鋸山裏登山道」についてたずねたところ「封鎖されているんじゃないでしょうか」との返事。うーむ、ちょっと雲行きが怪しいです。
西口管理所の前は有料の登山自動車道の終点で広大な駐車場になっています。最悪の場合、登山自動車道を歩いて下ろうかと思ったんですが、歩行禁止の看板が立っていました。うーむ。
とりあえず当初の予定通りあの奥に見えている山頂駅を目指します。
山道をちょっと登ると西の肩に乗りました。
避難小屋? を通過します。
広場みたいな場所に出ました。
振り向くとアンテナが立っていました。
頂上駅に到着。さっそく続きの西の肩を調べますが道らしきものは見当たりません。
頂上駅にはレストランや房州石に関する展示があります。レストランの方に道をたずねるも丁寧に保田駅(ほたえき)という浜金谷駅の隣駅までの道順を教えてくれました。けれどもまた日本寺に入らなくてはいけません。700円かかります。なんとか西の肩を歩けないものか、と思いながら駅内の階段を降りていきました。
これは怪しい、と思ったのがこの階段。右からやってきました。そのまま進むと切符売り場です。その途中の階段です。ネコ相のあまりよろしくない2匹のネコがこちらをジーッと見ています。かまわず降ります。
やりました! 「注意 この先、道の一部が崩れております。ご注意下さい。」とかかれた看板が木にくくり付けられていました。おそらくこれが鋸山裏登山道で、なおかつ西の肩でしょう。
さらに進むと「山道」の道標。長ーい寄り道をしましたが尾根歩きに本格的に復帰です。
ほぼイメージ通りです。海を見ながらの尾根歩きです。
強い風で腕くらいの太さの木がグワングワン揺れます。
ヤセ尾根になったりもします。
手厚く防御された地蔵を通過します。
木立の向こうの海。
ロープが張られたヤセ尾根。体が飛ばされそうになります。木がねじ曲がっています。
海と尾根と木と風。
鉄板をひっくり返すと道標でした。この道は下山専用なのでしょうか。
200m圏の分岐。無数にある枝尾根のひとつを下っているようです。
岩が削られて道になっています。
ここで登山道は西の肩から離れて階段で右に下っていきます。
尾根上に踏み上がります。
ヤセてヤブでゴツゴツです。
進みます。
歩きづらいです。
小ピークに立ちました。残念ですがここで西の肩を断念。この先は急降下でさらに先には岩がポッコリ顔を出しています。登りならまだしもちょっとデンジャラスすぎます。引き返します。
「諸国六十八景 安房 鋸やま」(二代歌川広重 文久2年/1862 館山市立博物館所蔵)。海から眺めた鋸山西の肩が描かれています。すごいギザギザです。いま、どのあたりにいるのでしょうか。

さようなら! 西の肩!
登山道まで戻りました。
石段を下ります。
登山道からはずれる道みたいな道がありました。
石切場跡みたいな場所で行き止まりです。西の肩はこの岩盤の向こうのはずです。
ちょっと手前に下る踏み跡があったんですが、すぐ先で消滅しているようです。
登山道に戻りました。
道が崩れていました。
ロープウェイの支柱が見えました。
西の肩をはずれてからの登山道はほとんどこんな石段です。
海と半分なくなった山。
なんだか目にも足腰にも柔らかい石段です。
半分なくなった山。
切り通しに碑が立っていました。
道路が見えてきました。
あちらから下ってきました。これにて西の肩というか鋸山浦登山道はおしまいです。
登山道を示すものはなにもありません。
動いているところを見てみたかった。
こんな道を歩き、
山麓駅です。ロープウェイの運休を知らずにたくさんの観光客が来ているようでした。
金谷神社。大鏡鉄と呼ばれる直径1.60m、厚さ11cm、重さ1.57tの大きな鉄製の円盤があるというので社の中を覗いてみたけどわかりませんでした。帰宅後、調べてみると大鏡鉄が祀られているのは境内の鐵尊神社という別の社だそう。あるわけなかった。
国道を渡り、港です。正面に富士山。
鋸山の稜線。
強風のなかトンビが飛び回っていました。食べなかったおにぎらずを思い出しました。まさかザックの中までは狙わないはず。
もう一度、鋸山の稜線。
もう一度、富士山。
テキトーに海岸線を歩いていたら駅を通り過ぎていました。引き返します。房州石の長ーい塀に沿って歩きます。
鋸山の稜線はどこからでも見えます。
浜金谷駅に着きました。
鋸山の稜線を背景に内房線木更津行きが到着です。
さようなら! 鋸山の稜線!
山の神様、地権者の皆様、仏様、海の神様、きょうもありがとうございました。また、よろしくお願いいたします。