奥多摩尾根歩き
妙法ヶ岳北東尾根

(後半)


妙法ヶ岳北東尾根1072.3mの三角点から)→(4時間30分)三峯神社奥宮(妙法ヶ岳)→(50分)奥宮遙拝所→薬師堂跡→(1時間10分)[GOAL]大輪バス停→三峰口バス停→西武秩父駅


妙法ヶ岳北東尾根は登るほどに岩がちになり、先がわからない岩をとりあえず登る、みたいな尾根歩きが続き、頂上直下で岩という崖が立ちはだかります。下調べでわたくしには登れそうにないのでハナから巻くつもりでしたが、この巻道にやられました。踏み跡らしきものはあるんですが、崩落で寸断されています。そのたびに、地形図にピシッと整列した崖記号の上端を死物狂いで這い上がったりズリ下がっったり、それはもう、久々に生きた心地がしませんでした。

三角点を出発しました。左手が植林になり、急登です。
カタクリの花が一輪ぽつりと咲いていました。
尾根の雰囲気がガラリと変わりました。尾根上にアセビが目立ちます。1160mあたりです。
あのとんがったピークが目指す妙法ヶ岳のてっぺんのようです。あんなところに登るんでしょうか。本当でしょうか。
足元の岩稜です。右に回り込みました。
右(北)から登ってくる尾根が見えます。
尾根に復帰すると急登です。
右からの尾根と合流すると急登はそのままにぐっとヤセました。
登ってきて
1253mの標高点あたりを通過します。とくになにかあるわけではありませんが、標高点を過ぎると、この期に及んで
アセビの茂みをどんどん下りはじめます。
鞍部に立ちました。葉っぱの向こうに妙法ヶ岳のてっぺんが見えます。本当にあんなところに登るのでしょうか。
鞍部から尾根というか骨みたいな尾根を登ります。
登ります。
妙に立派な巻道で大岩を巻きます。
あの木の向こう、岩壁と岩壁の間を下るしか進路はなさそう。
のっぺり踏み跡をたどり、岩壁と岩壁に挟まった岩に
乗り、右の岩壁沿いに
下ってきました。
尾根に復帰したはいいけれどこんなキツめの岩稜を登ります。
妙法ヶ岳山頂直下にたどり着きました。1270mあたりです。
こんなところを這い上がって右に斜上し、
中央の太い木の右に見える曲がった木から岩崖に取付いて直登した記録を見ました。
落っこちると一巻どころか全巻の終わりです。
とんでもありません。左手の巻道に進みます。
巻道といえども少々デンジャラスな場所もあります。
岩崖の基底部を歩くんですが岩崖の上端部でもあります。
ちょっとココロを落ち着かせるためのワンショット。
そこそこ過酷です。
この先に道はなく、切れ落ちています。
左手の小尾根を下ります。
ずんずん下ります。
右手に踏み跡らしきものがありました。たどります。
地形図の岩崖記号に間違いはなく、左手は20mは切れ落ちた岩崖です。上端をこわごわと歩きます。あの先で道はなくなり(崩落?)、
這い上がって巻いたり、進退極まり引き返したり、迷走が始まりました。打ち捨てられたアタックザックのようなジャケットのような繊維の塊やクライミングシューズが頼んでもないのに鬱な雰囲気を盛り上げます。
左に落ちたらアウトです。ダブルプレーくらいは喰らいます。右側の突き出た岩にぶつからないようにハイハイで這い上がります。
なんだかわかりません。この頃、「もう撤退、もう撤退、もう撤退」などと思っていました。
けれども進むことはでき、できたはいいけれど、
なんと右上から下ってきたそこそこしっかりした踏み跡にぶつかりました。愕然、です。途切れた巻道から小尾根に移ってすぐにこの踏み跡への下降点があったと思われます。死物狂いと言っていいくらいの道程はなんだったのでしょう。切り替え画像は道にぶつかった地点(緑丸)と巻道での迷走ぶりです。
下降点を見つけられなかった不甲斐なさを悔いている暇はありません。難路は続きます。ここをガクンと下ると行く手に溝地形が見えますが、その先に踏み跡はあるのかないのかわかりません。
溝の対岸です。踏み跡はありません。左上の岩の切れ目をめざします。
溝を渡り中。
あと少し。
渡ってきて
小尾根に乗りました。登ります。
かなりの急登です。
登ってきて
見上げると稜線が見えました。もう少し、でもないか。
もう少しです。頭上をハイカーが何人も通ります。
パイプの手すりが設置された稜線に這い上がりました。
キツい階段や鎖場を登り、
三峯神社奥宮、妙法ヶ岳のてっぺん(1330m)に到着しました。これにて妙法ヶ岳北東尾根はおしまいです。
奥宮の左手奥からの眺め。これから歩く稜線(参道)、右に下っていく表参道が見えています。
直登ルートの岩崖は木立の向こう。
岩崖を登ってくるとここに出てくるのでしょう。
碑を取り囲む4匹のオオカミがいたりもします。
20%引きの「クリームたっぷり シフォンサンド」を買ってきたんですが、巻道の激登のせいか潰れて体積は約50%減。お得感が台無しです。
奥宮を辞し、奥宮遙拝所に向かいます。雲取山がチョロっと見えています。
鎖場を下り、
登ってきたルートをもう一度見下ろし、
標高点1329mのピークです。巻道をちょっと進んだんですが、思い直して戻って尾根上をたどりました。地理院地図(電子国土Web)で妙法ヶ岳を検索するとそのポイントを表示する十字マークはこの標高点にビシッと重なります。これまで奥宮が建つピークを妙法ヶ岳のてっぺんとしてきたんですが、実はここが妙法ヶ岳のてっぺんで妙法ヶ岳北東尾根のてっぺんなのかもしれません。標高点を下ります。
参道は若い女性ハイカーも歩いていて妙法ヶ岳北東尾根とは打って変わった華やかさです。鳥居をくぐる彼女たちの写真を撮ろうとしたらいきなりこちらに振り向いてお辞儀をするじゃないですか。ハッ? とシャッターを押して思わずわたくしもお辞儀してしまいました。お呼びでなかったです。
いくつかの鳥居をくぐると参道は舗装道路になり、左手の斜面にはシャクナゲが咲き乱れていました。三峯神社バス停と三峯神社をつなぐ道を歩いているたくさんの参拝者も見えます。
奥宮遙拝所に着きました。モコッとした1253m標高点のピーク、ピョコッとした奥宮の建つピーク、ポツリとした1329m標高点のピーク、激登だった妙法ヶ岳北東尾根を見ることができました。
ほぼ亜音速(ウソです)で下った奥宮遙拝所から大輪バス停までの表参道の記録は省略します。登竜橋で時間をつぶし、大輪バス停から満杯のバスに乗り、息苦しいので三峰口駅で降車。秩父鉄道で御花畑駅まで行き、コンビニで缶ビールを買って西武秩父線に乗り込みました。
山の神様、三峯神社の神様、地権者の皆様、きょうもありがとうございました。恐怖の巻道を歩き通すことができてうれしいです。また、よろしくお願いします。いや、勝手なんですが、恐怖の、はお願いしません。ややヤセ気味でときどき岩稜になって葉っぱが太陽の光をやわらかく照り返したり無数の木漏れ日が尾根道に揺れたり汗をぬぐいながらほうじ茶を飲むとすこぶるおいしかったり振り返るとバーンと展望が広がっていたりして勾配はあくまでもそこそこ、そんな尾根をよろしくお願いします。オオカミ様にもお願いします。