奥多摩尾根歩き
払沢ノ峰北尾根

(1/3)


今回は払沢ノ峰北尾根(ほっさわのみねきたおね)を歩きました。先週の長尾尾根、万六尾根に続き、秋川方面です。払沢ノ峰北尾根が正式な名称かどうかはわかりません。
払沢ノ峰は檜原村の名所、払沢ノ滝の南西にあるピークです。払沢ノ滝は東京都から唯一選出された「日本の滝百選」。ウィキペディアによると、日本の滝百選は環境庁(現・環境省)と林野庁の後援で緑の文明学会、グリーンルネッサンス、緑の地球防衛基金の3団体が、全国527滝の応募から選定。1990年に富山県立山町で百選地の代表に選定認定書が贈られた。なぜ富山県立山町なのかなと調べると、ここには称名滝(しょうみょうだき)という日本一の落差(350m)を誇る名瀑がありました。だからなんでしょうね、多分。
そんな東京都唯一の日本の滝百選から道なき道を這い上がって、今回の尾根歩きは始まります。
払沢ノ滝から尾根を辿り払沢ノ峰へ。払沢ノ峰は笹平(ささだいら)コースと呼ばれている、浅間嶺(せんげんれい)から松生山(まつばえやま)を経て笹平に至る尾根上にあります。当初の予定は払沢ノ峰から笹平へ向かい、途中から出野沢左岸尾根(いでのさわさがんおね)を下り檜原街道へ。檜原街道を上川乗(かみかわのり)まで歩き、上川乗から浅間嶺、時坂峠(とっさかとうげ)を経て、払沢ノ滝入口に戻るというものでした。しかし、出野沢左岸尾根の下りで道がわからなくなり撤退。笹平コースまで戻り払沢ノ峰、松生山、浅間嶺、時坂峠、払沢ノ滝入口というルートに変更しました。
コース JR五日市線武蔵五日市駅→払沢の滝入口バス停→(15分)払沢の滝→払沢ノ峰北尾根→(1時間)小屋跡→(1時間)払沢ノ峰→(15分)笹平コースから出野沢左岸尾根へ→道迷い→(2時間)笹平コースへ復帰→(20分)払沢ノ峰→(50分)松生山→(50分)浅間嶺→(10分)小岩浅間→(1時間)峠の茶屋→(15分)時坂峠→(40分)払沢の滝入口バス停→(10分)[ゴール]本宿役場前(もとしゅくやくばまえ)バス停→JR五日市線武蔵五日市駅
歩いた日 2016年7月30日(土)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

払沢の滝入口バス停→払沢の滝→小屋跡→払沢ノ峰


払沢ノ峰北尾根の前半は激闘、後半は激登。

おはようございます。武蔵五日市駅の正面から払沢ノ滝入口行きのバスに乗ります。土曜日だというのに乗客は3人。うち登山客は2人。
払沢ノ滝入口バス停に到着。立派なトイレや待合所があります。
バス停の道をはさんで反対側、「檜原とうふ ちとせ屋」の左の道を入ります。
ここから左に入ります。駐車場は橋を渡った先にあります。
途中から道にチップが敷かれていました。
忠助淵(ちゅうすけぶち)という名板がありました。きっともの悲しい物語があると思います。
橋かと思ったら水道とその屋根でした。
水源地なのでペットもヒトも遊泳禁止です。
水道設備を掃除するための道具一式でしょう。水を大切にしているんだなあと思います。
払沢ノ滝です。
払沢ノ滝。
払沢ノ滝。
滝の左側です。軍手をはめ、左の石碑の右側からガサガサガサと登りました。石碑には「ありがとう清流 水は地球の生命」と檜原村村長の署名が彫られていました。右の解説版の拡大はこちら
道はありません。登りやすそうな所を這うように、というか這って進みます。
掛けの縁に寄り、腕を伸ばして滝壺を撮影してみました。中央やや右下の丸い水色が滝壺の一部です。ガクガクブルブルです。
尾根筋はこんな感じです。ただの藪、と言ってもいいかもしれません。
「アラっ、あなたどうしたの? ダイエットしすぎじゃないの?」みたいなヤセ尾根が続きます。
藪とヤセです。
さらにトンネルが加わります。
こんな所を登ってきました。といってもなんだかよくわかりませんよね。
これは何でしょう。記憶にありませんが「ゲッ!」と思って撮ったんだと思います。いま見てもちょっとだけ「ゲッ!」と思います。
450mくらいで坂がゆるみましたが、すぐに急登です。
直径7、8cmくらいの鉄の輪が落ちていました。お土産にしようかなと思いましたが、誰にあげればよいのか思い浮かばなかったんでそのままに。
わたくしが折ってしまった木です。掴んでグッと体を引き上げようとしたら、ボギッて折れてしまいました。お互い、油断大敵です。
もう、こんなのばっかりです。
隣の尾根は青く見えます。
見ての通りの藪です。尾根筋をはずし、右から登ってきました。
550mの等高線が丸く閉じたピーク。
ピークでのプロトレックの表示。この日、気圧が安定していたためか、プロトレックの高度表示は絶好調でした(払沢ノ滝入口バス停で280mに調整しました)。
恐竜の化石みたいな小屋跡。
小屋跡といえば一升瓶。
小屋跡からは、自然林と植林が微妙に混在した尾根筋の劇坂になります。
直登は厳しいので適当にくの字くの字で登ります。道はない、
と思ったらはっきりした踏み跡が出現します。でも長続きはしません。
適当に登ってきました。
んっ、空が透けて見えます。
右から登ってくる尾根と合流しました。絶好調のプロトレックは721mの表示。
こちらは右に下る尾根。ほぼ北に伸びているのでこの先は払沢ノ滝の上流のどこかに落ちているはず、とわたくしはビシッと判断しました。まあ、どう判断してどう間違えようがこっちには行かないので実害はありません。
問題はこちらの左手方向です。尾根はゆるやかに右にカーブしています。
カーブはゆるやかでも坂は急。トンネル状の道のような道をえっちらおっちらと登ります。
急坂です。
それにしても急坂です。
ヤセ尾根です。
とぐろを巻くワイヤー。
ステキな尾根です。
また右にカーブして急登です。
南方向。笹尾根が見えているのでしょうか。
んっ。
笹平コースに合流しました。払沢ノ峰(858m)です。この道標の左奥から登ってきました。
『復刻版 奥多摩』(宮内敏雄著 百水社 1922年刊)には払沢ノ峰について「夏は暑くてたまらぬが展望に恵まれた峰頭ではある」と記載されています。70年以上の時間が経ったからでしょうか、今はとくに展望はありません。リュックを下ろし、水を飲んで小休止して出発です。