奥多摩尾根歩き
速滝

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作業道→(1時間15分)速滝(20分滞在)→作業道→林道→(2時間10分)峰集落跡→(30分)入川林道終点広場→入川林道→(45分)[GOAL]JR青梅線古里駅


作業道に復帰し、速滝をめざします。下山は決死のトラバースを戻る、なんて無茶ことはせず、作業道をたどりました。はっきりしたものや微妙な分岐がいくつもあってなかなかややこしい作業道でした。峰集落跡からは神社の前に来ているしっかりした道をひたすらずんずん歩きました。

快適な作業道です。
小尾根を越えると柳ガマ沢らしい沢の滝が見えました。
柳ガマ沢に近づけば速滝にも近づくんですが作業道はくっと左に曲がって遠ざかりながらじょじょに高度を上げます。あの滝なんかのややこしい場所を高巻くんだと思います。
よかったです。遠ざかっていくままではなく、大きなくの字くの字で柳ガマ沢に近づいていきます。
柳ガマ沢を越えます。苔に覆われた石積が残っています。
水の音が大きく聞こえだしました。
作業道は小尾根を回り込んでいきますがこの小尾根の下あたりに速滝があるはずです。
小尾根を下っていくとすぐにパカッという感じで尾根が割れていました。ほんとーにパカッです。アサリの貝殻が開いたような、ガマが口を開いたような、パカッです。先には進めません。
こわごわ近寄って下を覗いてみました。覗いてよかったです。色褪せたトラロープが張られているのが見えました。ロープがあるのならまだ下れるはずです。
ちょっと登り返して尾根の裂け目に回り込もうとしたら上流に滝が見えました。なんという滝か皆目わからないんですが20mあるという速滝ではなさそう。
短いけれどそこそこデンジャラスな急降下から右へ回り、
尾根の裂け目に入ります。チョックストーンに向かって落ち葉が厚く積もった坂になっています。
裂け目を抜けました。急降下です。ロープは意外としっかりしていますが頼る気にはなれません。
ロープは終わり、岩壁に沿って下っていきます。
ガレザレの急降下になりました。これはデンジャラス。滑り落ちる方向が悪ければ切れ落ちて先の見えない先のかなり下のほうのどこかに、、、。デンジャラスです。
ますますデンジャラス。
下ってきました。岩壁の根元のミルフィーユみたいな岩は触らぬが吉。ガズッと板状に抜け落ちてしまいます。
ズリッズリの急降下がつづきます。あの先はいったいどうなってるんでしょう。轟音が深い谷からせり上がってきます。明らかに滝の音です。
この後しばらく静止画はありません。危うい下降とさらに危うい滝見物、動画の撮影に精一杯で写真を撮ることをすっかり忘れていました。以下の滝の写真は動画からの切取りです。
左の茂みのすぐ向こうに滝が落ちていました。
茂みの灌木につかまって滝を撮影。はるか下に滝壺が見えます。十中八九、速滝だと思うんですが実はいまも「違うかも」と思いがあります。[動画より]
激しく水を吐き出す落ち口。[動画より]
滝側に突き出た小岩を回り込んで流れのすぐそばの岩に立ちました。速滝は2段(上段20m、下段10m)の滝なのか、上段が速滝で下段は前衛滝として別扱いにするのか、2つの解釈があるようです。それはともかく、上段と下段の間、つまり上段の滝壺と下段の落ち口に立ってみたかったんですがどうやらここは違うみたい。滝壺はありません。おそらく上段の滝の落ち口に立っています。さらに下っていく気にはなりません。まっ、いいです。じゅうぶんです。[動画より]
手が届きそうなほどの対岸は歩こうと思っていたクマタカ沢の右岸尾根の横っ腹です。立っている岩の真正面に危うい薄い踏み跡が急峻な尾根に向かっています。これまでのデンジャラスな取付3選に入ると思うんですがあとの2つはちょっと思い出せません。もう少し上流から取付けるなら等高線が開いているところを登れます。クマタカ沢の右岸尾根をめざすなら悩むところです。ちょっと楽しい悩みですが。[この画像で動画からの切取りはおしまい]

速滝の落ち口でこわごわウロウロ。
速滝(多分)をあとにします。岩壁の根元すれすれを登り、
ロープゾーンを登り終え、
尾根の裂け目のチョックストーンを越えます。
尾根を乗越していく作業道まで戻ってきました。
もう一度、尾根の裂け目を覗いてみて
来た道を引き返します。柳ガマ沢の小さな滝が見えてきました。
柳ガマ沢です。伏流していた水がここで地表に出ています。水を飲むと思わず「おいちぃー」と声が出てしまいました。顔を洗い、手ぬぐいを浸して絞って顔を拭いて首筋を拭いてまた浸して絞って首にかけて出発します。
同じ道を引き返しているんですが行きと帰りではまるで違う景色です。道をはずさないよう、慎重に歩きます。
草むらの分岐です。左へくっと曲がって下ります。
決死のトラバースから離脱した小尾根を乗越します。立ち枯れた大木がちらりと見えています。
蛯岩沢の堰堤です。堰堤の上を歩いて沢を渡ります。決死のトラバースで蛯岩沢を渡った地点から標高差で20mほど上です。
きれいな流れです。
つい下る踏み跡をたどってしまい怪しげになってテキトーに登り、
V字で作業道に復帰したりもします。
奇妙な形の木を通過します。
苔むした山肌と
石積を歩きます。
入川谷に向かって下っていく
踏み跡はいくつもあります。
そしてここが決死のトラバースの起点になった下り道です。通過すると
林道はすぐそこです。
木橋を渡ろうとしたら
置物そっくりのヒキガエルが木橋の真ん中でじっとしていました。ちっとも逃げません。50cmくらいまで近づいて杖で木橋をトントンと叩くとようやく沢に飛び込みました。言っちゃ悪いけれどなんだか無様な着地でした。横倒しの格好でビチャと濡れた石の上に落ちました。ヒキガエルって意外と鈍臭いのかな。カロー谷の急斜面を手足を伸ばしたままゴロゴロ転がって沢に落ちていくのを見たこともあります。
林道のフェンスを抜けます。
林道を歩き、大根ノ山ノ神を経て鳩ノ巣駅に下山、でもいいんですがふと思い立って峰集落跡から入川谷へ下って古里駅に向かうことにしました。
日天神社の前の道が入川谷のどこかにつながっているに違いありません。
家屋は残っていませんが道はとてもしっかりしています。
ずーーっとつづきます。
畑跡らしい平坦地を過ぎます。平坦地は写真の外にも広がっています。
通せん坊にぶつかりました。しっかりした道がつづいているようですがここは素直に左に折れて
くの字くの字で下っていきます。そこそこの急降下です。水の流れる音が大きくなってきました。
入川谷が見えてきて
入川林道の終点広場を見下ろす場所に出てきました。前回、入川谷の橋の役目をしていたショベルカーと軽トラックが1台停まっています。人の姿は見えません。
広場を歩いていくと鉄板の新しい橋がつくられていました。ありがたく渡らせていただきます。
終点広場を振り返って。振り返って
入川林道をてくてく歩き、ゲートを抜けて昭和石材工業所の事務所前を右へ、橋を渡り、
舗装道路をてくてく歩き、青梅線の背の高いガードをくぐって左へ。
かかし軍団のみなさんに軽く挨拶をして古里駅前のコンビニで缶ビールを購入。
駅のトイレを借りて急いで着替えたんですが発車時刻を勘違い。きょうは平日でした。駅舎のベンチで40分くらい電車を待ち、跨線橋を渡ります。まだ日は高いです。
山の神様、地権者の皆様、きょうもありがとうございました。キッツいトラバースにやられ、クマタカ沢の右岸尾根を歩くことができませんでした。けれども、めざした場所ではないにしろ速滝(推定ですがほぼ間違いないと思っています)の落ち口に立つことができました。じゅうぶんです。これ以上を望むなんてバチが当たります。
また、よろしくお願いします。