奥多摩尾根歩き
鳩ノ巣城山西尾根、天地山北尾根

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今回は鳩ノ巣城山西尾根(はとのすじょうやまにしおね)、鍋割山北尾根(なべわりやまきたおね)を登り、天地山北尾根(てんちざんきたおね)を下りました。
鳩ノ巣城山西尾根は鳩ノ巣城山(以降、城山)から西へ下り、途中で奥多摩霊園に姿を変えたりしながら多摩川と海沢谷(うなざわだに)の出合あたりに没している尾根です。名前はテキトーです。
鍋割山北尾根は名前の通り、鍋割山から北へ下っている尾根です。下端は大楢峠(おおならとうげ)です。多分。鍋割山北尾根は『奥多摩 登山詳細図(東編)』(吉備人出版)に掲載されています。
天地山北尾根は大岳山から西へのびている尾根の鋸山のちょっと北から北東へ下っている天地尾根(テキトーな名付け。かつて登ったことがあります)の天地山からほぼ北に下っている尾根です。名前はこれまたテキトーです。
行程をまとめると次のようになります。鳩ノ巣城山西尾根を城山まで登り、城山から大楢峠まで下り、大楢峠から鍋割山北尾根を鍋割山まで登って大岳山へ。大岳山から下り基調に転じて鋸山のちょっと先の天地山分岐から天地尾根を天地山へ登り、天地山から天地山北尾根を下る、というそこそこの長丁場です。
初めて歩くのは初っ端の鳩ノ巣城山西尾根と最後の天地山北尾根。この2つの尾根をメインに記録します。
コース [START]JR青梅線白丸駅→(35分)鳩ノ巣城山北尾根取付→鳩ノ巣城山北尾根→(1時間)奥多摩霊園→(55分)城山→(35分)大楢峠→鍋割山北尾根→(1時間5分)鍋割山→(1時間20分)大岳山→鋸山→(1時間30分)天地尾根降下点→(55分)天地山→天地山北尾根→(1時間)氷川発電所調整池の近く→(35分)[GOAL]JR青梅線奥多摩駅
(9時間30分)
歩いた日 2022年11月9日(水)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

[START]JR青梅線白丸駅→(35分)鳩ノ巣城山北尾根取付→鳩ノ巣城山北尾根→(1時間)奥多摩霊園→(55分)城山→(35分)大楢峠→鍋割山北尾根→(1時間5分)鍋割山


鳩ノ巣城山西尾根の取付で苦労しました。Googleマップのストリートビューでなんとなく目処をつけていたんですが、現場に立つとどうにもこうにも取付きようがありません。海沢谷を渡り、鳩ノ巣城山西尾根を回り込んで横っ腹から取付けないかとうろうろしていたら小さな黒い橋が見えました。ちょうど仕事中の「牧野養魚場」の方がいたんで橋を渡れるか聞いたところOKとの返事をいただきました。ただ、橋に向かう途中や橋を渡った対岸の様子は個人宅の雰囲気満載です。帰宅後にGoogleマップで調べたらもう少し先に「東京都奥多摩さかな養殖センター」へ渡る橋があって、そちらからだとビシッとした公道で取付点まで歩けたようです。
取付の急傾斜の階段を登るとあるようなないような踏み跡をたどる急登です。モノレールにぶつかり、モノレールを越えると今度は藪の急登。お次は網状のワイヤーが山肌にペタッと貼り付いた落石防護帯を登り、なんやかんやでようやく2基の鉄塔が並んで立つ尾根に乗ることができました。
奥多摩霊園まではそこそこおだやかな尾根歩きが続きます。奥多摩霊園から先はヤセた岩稜の急登や岩なしのヤセ尾根の急登の連続です。
城山直下の急登がやんだと思ったらぶり返し、がまんして登るとやっと城山の山頂です。
鳩ノ巣城山西尾根は取付から尾根に乗るまでの藪がちな急登とフィールドアスレチック的な岩場、尾根に乗ってから奥多摩霊園までの起伏のおだやかな尾根、奥多摩霊園から城山までのキツく荒々しいヤセ尾根、のメリハリの効いた3部構成でした。

おはようございます。白い球体の待合室がある白丸駅です。城山へは鳩ノ巣駅から歩くのが一般的のようですが、鳩ノ巣城山西尾根の取付により近い白丸駅で降りました。『武蔵名勝図会 多摩郡之部 巻第12』(江戸時代後期に完成した多磨郡の名所や旧跡を挿画を混じえて紹介した地誌)の「白丸村」の項目には、白丸はかつて平将門が城を構えた城山があったんで村名は「城」丸だったんだけれども役所から山の名前と同じだからとダメ出しを食らって「白」丸になった、多分そんなふうに書かれています(大正14-15年に出版されたものを参照。国立国会図書館 蔵)。電車はホームにわたくしひとりを残して奥多摩駅に向かって出発しました。
改札を出て右へ。鳩ノ巣城山西尾根のシルエットが右から左へせり上がっています。城山は見えていません。
「四面悉く高山にて西北の方なる山より多磨川の方へなだれし中段に民家散在す」(『武蔵名勝図会 多摩郡之部 巻第12』)そんな集落の小道を青梅街道に下っていきます。
青梅街道を右へ。数馬峡橋(かずまきょうばし)で多摩川を渡ります。
「森の中のお肉レストラン アースガーデン」を右手に見ながら遊歩道を歩きます。
きれいです。
トンネルを抜けたりもします。
正面に氷川発電所が見えてきました。このあと道なりに進んだ突き当りから取付けると思ったんですが、どうにもこうにも無理そう。写真を撮っておければよかったです。
海沢谷に架かる橋から鳩ノ巣城山西尾根を見上げたところ。橋を渡るとすぐに「数馬峡遊歩道休憩所・トイレ」があります。大きな道路に出て、
対岸の鳩ノ巣城山西尾根の横っ腹を眺めながら海沢谷を渡れる場所を探していると小さな黒い橋と対岸の擁壁の終端に階段があるのが見えました。「牧野養魚場」で仕事中の方に許可をもらい「牧野養魚場」横を通り、橋を渡ります。
民家の横を登り、擁壁下の道路に出ることができました。
擁壁の端に設置された階段を登ります。急登です。
階段が終わっても急登のままです。ザレています。
モノレールにぶつかりました。モノレール沿いに踏み跡が続いていましたが、
そのまま直登します。
こんな藪まみれの急勾配を登ってくると
山肌にペタっと貼り付くようにワイヤーが張り巡らされていました。
手はワイヤーをつかみ、足は岩や土を踏み、フィールドアスレチックかよ! などと思いながら登っていきます。
ひとつの岩山を登りきるとはっきりした巻道がありました。ワイヤーつかみはもういいやと思い、巻道をたどってみます。
ぐーっと回り込んでくると尾根の上に鉄塔が見えました。ここを登ります。
鳩ノ巣城山西尾根に立ちました。鉄塔は手前と奥に2基並んでいます。手前は東京都交通局の「多摩川送電線17号」、奥は東京電力の「奥多摩線No 1」という標識板が設置されていました。「17号」は左から送電線がきているのに右にはありません。送電線の行き止まりです。こんなの初めて見ました。
鉄塔の先も貼り付きワイヤーは少し続き、
右手から登ってきたモノレールと合流し、平坦な尾根道を進むと
モノレールの終点がありました。仕事場感が
はんぱありません。仕事場を離れると、
標高420m(以降、「標高」は省略)あたりでまた岩が現れ、
どばどばと尾根上に倒木が重なったりもしますが
心地よい尾根歩きになって
続きます。
460m圏で左から登ってきた小尾根と合流。黄杭がポツンと刺さっていました。
いい雰囲気です。
500m圏で植林に囲まれるんですが、
また雑木に囲まれ、559mの標高点あたりを通過します。ポツンと刺さっていたのは赤杭でした。
右手に奥多摩霊園が見えてきました。
正面奥に鳩ノ巣城山西尾根の続きと城山の山頂が見えます。
霊園の端っこに降ります。
鳩ノ巣城山西尾根に向かいます。
霊園を抜け、右の擁壁の終端から尾根の続きに取付こうとしたんですが、
見上げると樹間の向こうにとんがった岩山がそびえていました。ここからは断念。
霊園内をさまよった挙げ句、「6区」の隅の小さな倉庫横から鳩ノ巣城山西尾根に復帰できました。黄色い標柱の「奥多摩線No.5に至る」の矢印が尾根の方向を指しています。
倉庫の裏には大岩がゴロリと転がっていて
その先には登れるか登れないか微妙な岩崖が立ちふさがっていました。
岩の右側に巻道らしきものがありました。赤テープが続いています。
岩崖を見上げながら巻き中。
巻道から小尾根に乗り、小尾根から鳩ノ巣城山西尾根に向かって登ります。
岩と岩のくぼみにハシゴが見えます。
右手はほぼ垂直な岩壁です。
鉄のハシゴを登ります。
登ってきて
ようやく鳩ノ巣城山西尾根に復帰です。
尾根を少し進むと樹脂板で土留めされた階段が出現。長いです。延々と続きます。
終わったと思ったらまた始まりました。
階段を登りきり少し歩くとヤセた岩稜になりました。ゴツゴツでぐーっと登っていきます。右は植林の急斜面、左は切れ落ちています。落ちるなら右です。ちょっと上に黄色い東京電力の標柱が見えます。
「奥多摩線5号」への巡視道が尾根上を離れて下り気味にトラバース(山腹水平移動)していきます。
岩稜を登ってきて
登ります。のけぞって見上げると右から登ってくる稜線と青空が見えます。
這うように登ってきて
まだ続きます。
左手の樹間の向こうに鳩ノ巣駅周辺の集落が見えました。左下は群青の多摩川。
登ってきて
城山の山頂に到着しました。これにて鳩ノ巣城山西尾根はおしまいです。広い山頂です。前出の『武蔵名勝図会 多摩郡之部 巻第12』の「城山」の項目によると、山頂に東西二十間(約36m)、南北三十間(約55m)の平坦地があって水が湧いている所もある、と多分おそらくおおよそそんな感じに書かれています。この項目にも地元民は将門が居を構えていたと言っている、という記述があります。
城山には三等三角点があります。標高は 759.66m、基準点名は海沢城山。
山頂のおおよそ全景。展望はほとんどありません。
ファミリーマートで買った「台湾烏龍茶」を一口二口飲んで休憩。鍋割山に向かいます。
小楢峠を通過します。
小さな石の祠が建っていました。
すぐに691mの標高点あたりを通過します。
「海沢・奥多摩駅」への分岐を通過します。
コナラの巨木が倒れた大楢峠に到着。2015年に老いて倒れたコナラは約400年の間この峠に立っていたそうです。
コナラの倒木の向こうから歩いてきて大楢峠で振り向くと
鍋割山北尾根の下端です。
尾根左の登山道を登っていくとすぐ「⇒⇒鍋割山」と書かれた小さな道標がありました。尾根に向かってしっかりした踏み跡がのびています。ここから取付きます。
まっすぐ尾根に向かうかと思っていたら
大きなくの字くの字でゆるやかに登りながら尾根上に近づいていきます。
登ってきて
鍋割山北尾根に乗りました。
836mの標高点あたりを通過します。とくになにがあるわけではありません。が、道中で男性2人、女性1人が登山道脇でキャンプをしていました。ブランコなんかもつくっていて不思議な光景でした。陽気な人たちでした。
左手の樹間の向こうは御岳山でしょうか。
おだやかな尾根歩きです。
道すがら。
961mの標高点あたりを通過します。「黒薙窪ノ頭」と書かれた木札が木にくくりつけられていましたが、
『奥多摩 登山詳細図(東編)』(吉備人出版)にはもう少し先に進んだ石の祠のあるここ、1010m圏の小ピークに「黒ナギ窪ノ頭」と記載されています。
ロープが張られています。鍋割山の山頂直下の急登か、と思ったんですが、急登は一段落して
尾根の雰囲気が変わってやっぱり急登が続いて
左手の樹間の向こうにぽこりとした御岳山の奥の院が見え、
ロープの張られた鍋割山の山頂に到着です。
あちらから登ってきてこれにて鍋割山北尾根はおしまいです。
ザックを降ろして10分ほど休憩。展望はほとんどありません。ミズナラの大木を愛でながら狭い山頂をブラブラして大岳山に向かいます。
滑落注意。
大嶽神社。
大岳山の山頂に着きました。二等三角点があります。標高は1266.43m、基準点名はズバリ大岳。
どーんと富士山! とはいかず、
手前に黒く御前山の稜線、その向こうに三頭山から左になだらかに続く笹尾根が見えています(多分)。ちょうどお昼時ですが、食欲はありあません。鮭おにぎりを2個買ってきたんですが持ち帰ります。
次は天地山北尾根を目指します。