奥多摩尾根歩き
天平尾根、スンナワ沢左岸尾根、倉沢右岸尾根

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ふふふっ、今回はゴージャスに2.5本立てです。天平尾根(でんでいろおね)を途中まで登り(0.5)、スンナワ沢左岸尾根を下って登り(1)、倉沢右岸尾根を下りました(1)。
スンナワ沢左岸尾根も倉沢右岸尾根も山梨県・丹波山村の背骨みたいな天平尾根の支尾根です。スンナワ沢左岸尾根の名前は『奥多摩 登山詳細図(西編)』(吉備人出版 2017)に記載されている沢の名前から、倉沢右岸尾根は現地の看板の沢名をもとに名付けました。
先だって『奥多摩 山、谷、峠、そして人』(山田哲哉 著 山と渓谷社 刊 2020)を読み、わたくしの脳内奥多摩マップを西へグンと広げてもらったんですが、そのとき思い出したことがありました。2020年4月にみぞれに降られながら大崩落を前に撤退したスンナワ尾根のことです。
今回はスンナワ尾根をスンナワ沢左岸尾根と名前を変え(なんとなく、です)、再挑戦することにしました。けれども後山川右岸道のあの崩落地を渡るのは腰が引けます。ですので、天平尾根から下ってみることにしました。このスンナワ沢左岸尾根を軸にあれやこれやと思案した結果が今回のルートです。それぞれの尾根の位置は下の地図にまかせますが、天平尾根から北へ、天平尾根を北から南へ乗り越したことになります。
実はもう一つ、南山坂沢左岸尾根(みなみさかさわさがんおね?)という尾根を登るつもりだったんですが、これまた後山川右岸道の大崩落で断念しました。
コース JR青梅線奥多摩駅→[START]親川バス停→天平尾根→(2時間30分)スンナワ沢左岸尾根→(1時間30分)後山川右岸道→(40分)後山川右岸尾根崩落地往復→スンナワ沢左岸尾根→(1時間40分)天平尾根→倉沢右岸尾根→(1時間40分)丹波小学校→(10分)[GOAL]丹波バス停→JR青梅線奥多摩駅
歩いた日 2020年8月1日(土)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。

JR青梅線奥多摩駅→[START]親川バス停→天平尾根→(2時間30分)スンナワ沢左岸尾根→(1時間30分)後山川右岸道→(40分)後山川右岸尾根崩落地往復


スンナワ沢左岸尾根の下降点はわかりづらかったです。初夏の緑の中を地形図通りの急降下でした。

おはようございます。奥多摩駅前から丹波行きバスに乗り、親川バス停で降りました。バスは丹波山村のタバスキーの向こうに去って行きました。
大菩薩ライン(青梅街道)を少し戻ると登山口です。ここを歩くのは4度目です[釜ノ沢尾根、丹波天平南西尾根][シンベイキ尾根、丹波天平南東尾根][スンナワ尾根 -撤退-]。身支度を整えて出発します。
高畑集落跡です。
高畑集落跡を通過し、
後山集落跡に到着。これまでは右奥の後山川右岸道に進んだんですが、今回は、
丹波天平を目指します。ここからは未知の行程です。
小さなくの字くの字のそこそこの急登です。
道標のある登山道だからといって油断してはいけません。道ありき、で歩いているとこんな分岐に出くわして、へっ? と大いにとまどってしまいます。
やがて大きなくの字くの字で高度を稼ぐようになりました。
道中。
小尾根を乗越し、
ゆったりしたうねりに乗るように歩きます。
雪の積もったときに歩いてみたいと思います。
うねります。
マツ林になりました。多分、カラマツです。
倒れて朽ちつつある祠を通過します。
木立の向こうはかつて歩いた釜ノ沢尾根です。
釜ノ沢尾根と合流します。
釜ノ沢尾根の下方。右下の登山道を登ってきました。
丹波天平の分岐に到着。丹波天平の二等三角点(多分、そこが山頂)はアンテナ塔の左奥にあります。天平尾根を先に進みます。
右手奥はシンベイキ尾根です。通過します。
どうしてこんな地形になったんでしょう。
このあたりから登山道を離れ、右手のちょっと高い尾根上から目指すスンナワ沢左岸尾根を探します。
石標と石標の位置を知らせる赤テープがありました。写真の奥に登山道が左右に走っています。
振り向いてこちら側に進むと、
尾根らしい尾根がビシッとのびています。スンナワ沢左岸尾根はこれに違いありません。
あの向こうに歩けなかった南山坂左岸尾根が見えています。
荒ぶるヤマタノオロチみたいな木の根っこを通過します。
アセビの小籔を突き進むと
急降下です。1320mあたり。ここで尾根は分岐しています。右に進みます。
ザレていてそこそこ脚に負担がかかります。
ズザザザーッと下ってきて、
ズザザザーッと下ります。
アセビは手がかり足がかりに大助かりです。
傾斜が緩いところのアセビは邪魔といえば邪魔ですが、好きです。
下ってきて、
下るんですが、急降下に加えて尾根筋を覆う間伐された木に難儀します。
大きく尾根を回り込まざるを得ない場所もあります。
ひーこらと下っていると突然しっかりした作業道にぶつかりました。1150mあたりです。
この山域で昭和45年(1970)、東京都水道局によってカラマツが1万3700本植林された旨の立て札が立っていました。
こちらは後山川の下流方向。
こちらは上流方向。立派な道です。あっちに進めば南山坂左岸尾根まで難なく到達できるかもしれません。甘い誘惑です。めちゃくちゃ甘いです。
その甘さをペットボトルに詰めてきた「スポーツ ドリンク パウダー」というネーミングよりプロダクツに力を入れたに違いないスポーツドリンクをグビリグビリと飲んできれいさっぱり流し去ります。引き続き尾根を下り、後山川右岸道を目指します。
すると1125mあたりでまた立派な作業道にぶつかりました。
今回は迷いはありません。脇目も振らず尾根を下ります。
急降下で滑りやすくとても歩きづらいです。後山川でしょうか、水の流れる音が大きく聞こえてくるようになりました。
タマゴタケを通過して
下ってきました。
右はスンナワ沢、左は南山坂沢です。
下ってきて、
左手に踏み跡らしきものがのびていました。これが後山川右岸道でしょうか。無理です。あののっぺりは無理。あんなのは歩けません。とりあえずもう少し尾根を下ってみることにしました。
下ります。
道にぶつかりました。これまでの作業道ほどではありませんが、しっかりした道です。後山川右岸道に違いありません。
あちらから下ってきました。
これはスンナワ沢左岸尾根の下端方向。地形図通り、後山川に向かってビシッと切れ落ちているようです。これにてスンナワ沢左岸尾根はおしまいです。
こちらは後山川の下流方向。進むと、みぞれのなか撤退した崩落地に行き当たるはずです。
木立の向こうにシンベイキ尾根がうっすらと見えています。
大休止の後、南山坂左岸尾根を目指して後山川右岸道を後山川上流に向かいます。
後山川の対岸に見えた山。ヨモギ尾根の奥後山だと思います。
気が抜けません。
全然、気が抜けません。道だと思わないと道じゃありません。
何カ所か、ピッケルで足場をつくりながらのっぺり道というかただののっぺりを通過しました。
そして崩落です。小さな沢の右岸で道がスパッとなくなっていました。よく見えなかったんですが、2m弱ほど下に急勾配の沢床があり、
対岸はというと、道らしい道はありません。まっ、逆にどこでも道といえば道という状況です。
この沢を無事に渡れたとしてもその先はどうするか、
ジーッと目を凝らしていると、ぶ厚い苔に覆われたロープが真っ直ぐぶら下がっていました。
ロープの拡大。
で、ロープを掴んで崖を登って、
いったいどうすればいいのでしょう。いまはこのデンジャラスさを楽しむ気にはなれません。撤退します。