奥多摩尾根歩き
熊倉山北尾根、茅丸北尾根

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熊倉山→軍刀利神社元社→三国山→生藤山→(55分)茅丸→茅丸北尾根→(1時間50分)林道矢沢線→(45分)[GOAL]南郷バス停→JR五日市線武蔵五日市駅


茅丸北尾根の降下は道標の向こうにつづく薄い踏み跡ではじまりました。ソースでいうと中濃くらいしっかりした踏み跡があって、植林の中には定規で引いたような作業道があったりもしました。
そんなこんなのおだやかさにすっかり油断していたのが沢への着地です。ほぼ垂直な崖にへばりつきながら死に物狂いで矢沢をめざしました。生還後に矢沢林道から見た光景は残酷なものでした。

ザックを担ぎ、茅丸北尾根を下ります。山頂標識の向こうの薄い踏み跡をたどります。
木だらけの尾根をしばらく歩くと
植林にパクリと飲み込まれます。
すぐに吐き出されて尾根の左から回り込んできた道と合流しました。970m圏です。
合流地点から右へほぼ直角に進みます。直進する尾根筋は下りたい尾根ではありません。合流した道は平地に溶けるようになくなりました。
スマホGPSで進路を確認し、トラバース(山腹水平移動)しながら茅丸北尾根を探します。
これです。茅丸北尾根はこれです。おだやかな下りです。
左から幅広の道がやってきて尾根に合流して
どこかにいきました。
かまわず尾根上を下ります。
曲がったココロが恥ずかしくなるくらい真っ直ぐな道です。
伐り残された大木が両手を広げています。
真っ直ぐな道は立派な東屋にぶつかりました。860m圏です。
道は東屋で右に折れて下っていきますが、
そのまま尾根歩きを続けます。ヤセ尾根になりました。
道中。
尾根は広がりながら傾斜を増して
下ってきて
ちょっぴり登り返すと768mの標高点あたりです。前方が明るいです。
どば〜ん、と伐採地跡のてっぺんに出ました。矢沢の対岸で伐採作業が行われています。重機やチェーンソーの音が聞こえてきます。
下ります。
真正面に大岳山が見えます(望遠で撮影)。
下ってきて
防獣ネットに沿って下ります。
対岸の紅葉。
ネットからはなれると牧歌的な尾根歩きです。
700m圏の分岐は気にせず直進します。このあたりで倒れた朽木に生えていたヒラタケらしきキノコを採取。
すんごい急降下がはじまりました。
青い重機が丸太を運んでいます。足を踏ん張ってちょっと休憩。
足元に矢沢林道が見えてきました。
下ってきて
下ります。転げ落ちないように必死に足場を探します。
アセビの茂みに突入。劇ヤセ尾根です。
木をつかみ
落ちる可能性が1%でも少ないルートを探しながら下ります。そして尾根の分岐です。左か
右か。矢沢林道が見える明るい右を選択。この選択で後に切歯扼腕する羽目に陥ってしまいます。
ようやく矢沢の水面が見えてきました。でもほぼ垂直としか見えない崖です。しばらく撮影不可能な状態がつづき、
矢沢まであと3mほど。
下ってきて
生きたまま矢沢に降りました。
対岸に渡り、藪をかきわけながら林道まで登ってきました。これにて茅丸北尾根はおしまいです。
林道にドッサとザックを落とし、チェーンスパイクをはずしたり、藪漕ぎで髪の毛に潜り込んだり軍手や上着やズボンに付いたひっつき虫を取ったり、下ってきた尾根をぼーっと眺めたりしていると、恐怖感の残滓と達成感が混じった感情がだんだん落ち着いてきました。

茅丸北尾根を下った映像です。
林道をちょっと上流に歩いて眺めた尾根の下端。そーとー、かなり、すごく、よっぽどのことがない限り2度と下りません。ザックを担ぎ、矢沢林道を「YAZAWA。ヨロシク」などと思いながら歩きはじめたのはいいんですが、
下った尾根の隣、左か右かで迷って選ばなかった左の尾根を見て愕然。かなりの傾斜ですが、右ほどではなく、ズザーッと下ってくると
ゆるやか〜に軍刀利沢との出合に着地するじゃありませんか。あの寿命が縮むようなピリピリヒリヒリした思いはなんだったのでしょう。左を選べば余裕綽々の帰着だったのに。あてつけのように赤テープが巻かれています。2つも。1つでじゅうぶんでしょ。
気を静め、「じかんよ〜ぉ〜 とまれ〜ぇ〜」などと小さく口ずさみながらてくてく歩きます。林道矢沢線なのに林道熊倉沢線ではなく林道熊倉線です。どーでもいいか。
山の神橋の近くに建つ石祠を何秒か見上げます。
落合橋です。
あんなところに椅子(写真中央やや右上)。
矢沢橋から。
南郷バス停でバスを待ちました。満員でした。吊り革につかまりながら、矢沢への下降で木や岩や木の根っこにつかまったりしがみついたりしたことを思い出したりしました。武蔵五日市駅までのつかまりなんでへっちゃらです。
山の神様、地権者の皆様、きょうもありがとうございました。無事に下山できました。もうそれだけでじゅうぶんです。
また、よろしくお願いします。