奥多摩尾根歩き
タル沢右岸尾根、日陰指尾根

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狩倉山→日陰指尾根→(3時間25分)[GOAL]大沢バス停→JR青梅線奥多摩駅


日陰指尾根は登ったことがあるしダーッと下ればいいだけ。などとなめていました。チュッパチャプスくらいなめていました。キッツい傾斜の岩崖からルートファインディングとルーツファインディング(登攀を支持する木の根を探ること)でヒヤピリしながら下降。巻いた先で巻き返したり、決死のトラバース、3か所の岩崖にこてんぱんにやられてしまいました。タル沢右岸尾根で在庫の残り少なかった体力と神経が危うく枯渇するところでした。
かなり下端に下山できたことにはできたんですが、微妙。

日陰指尾根を下ります。狩倉山の山頂まで引き返します。
山ノ神尾根よりやや東、北東に下っているのが日陰指尾根です。
下り始めてすぐ、平坦な尾根の先の1420m圏で分岐します。ほぼ直進。
いい雰囲気です。
すぐにまた分岐。やや左へ。日陰指尾根のほとんどの赤帽黒杭や標石(古いものが多い)の前後というか上下にはテープやペンキの目印がついています。
1400mの岩記号のてっぺんです。左に回り込んで
なんとか下ってきました。難儀な崖でしたがこれでおしまい、というわけにはいきませんでした。
尾根はぐぐぐぐぐーっと絞られ、
とんがった岩を巻いて
木を縫うように歩いていくと
尾根上はとげとげの岩に占領されました。1250m圏です。ここで夢中になってとげとげ岩を追っていくとかなりデンジャラスだしめざす尾根の方向ではありません。左に曲がらないといけません。日陰指尾根の分岐でここがいちばんやっかいかもしれません。
木に「木」って描くときの心情やいかに。
1.質問の意図がわからない
2.仕事だしとくになにも感じない
3.ちょっと笑ってしまう。先輩なんかは指さして大笑いしていた
そんなことはともかく、左に下る尾根を見つけました。幅広の尾根です。
とげとげ岩はあの先でビシッと切れ落ちています。
1170m圏で左雑木、右植林になります。
左手の山ノ神尾根
右手は抹茶色の浅い谷地形です。
ややヤセてきた尾根を快適に下っていきます。
1080mの標高点あたりを通過します。とくになにもなし。
ばんっと開けました。
開けたのはいいんですが、この先はビシッと切れ落ちています。1050mあたりの等高線は西にずーっとたどっていくと山ノ神尾根タル沢右岸尾根を越えてタル沢の右岸まで岩や岩崖記号が断続的に並んでいます。
なんの根拠もありませんが切れ落ちた尾根の突端は左手に逃げます。
傾斜のゆるそうな場所を探しながら下っていきます。
また切れ落ちた岩崖の突端です。
滑落は嫌です。右にトラバースします。
落ちたらなかなか止まりそうにありません。どんな状態で止まるか想像したくもありません。トラバースを中止し、
登り返してからのトラバースに切り替えます。
どこを? と聞かれても困りますがあちらからトラバースしてきて
続けます。傾斜のキツさにヒヤピリし、いつ進めなくなるかビビビクしながら進みます。
小尾根というか子崖を乗越しトラバースしてきて
続けます。なかなかシビアな状況ですが、忘れないうちに書いておきます。職人仕事の動画が好きでYouTubeをよく見ます。ある日いつものように自動再生にして動画を流しっぱなしにしているといきなり「ヒトゴ○シ!」って聞こえたんでびっくりしました。モニターに目をやると亀甲文様に板を並べている作業風景です。「ヒトゴ○シ!」ってまた聞こえました。11回数えたところで聞こえなくなりました。と思ったらまた聞こえました。大丈夫だったのでしょうか。いや、あの、それだけの話です。
やっとめざす尾根が見えてきましたがまだ10mくらいは下らなくていけません。
尾根に復帰しました。激しく消耗しました。今回この崖を下ったルートは無数にあるルートのなかでもそーとー劣悪な部類なんじゃないかと思います。
1000m圏の微妙な分岐は左へ。右に下るとゴツゴツの岩記号をいくつも経て家入沢に転げ落ちる可能性大です。
幅広の尾根を下ります。
また岩崖。
またなんの根拠もないまま左へ。
下ってきて
920m圏で植林に入ります。
さすがに植林の中にこれまでのような岩崖はないはずです。
790m圏で左右にバシッと分岐しています。右へ。
すぐの分岐です。あちらは突き出た岩です。左へ。
下ってきて
下ります。
640m圏の分岐です。左は日陰指尾根のいわゆる通常ルートで車道のヘアピンカーブに降りられるはずです。今回は本尾根だと思われる右を下ります。
ちょっと賑やかな場所を通過します。右手からは家入沢の音が大きく聞こえてきます。
急降下です。
激しく下ってきて
下ります。青い屋根が見えてきました。
尾根の突端に出ました。きょうはよく突端にぶつかります。
右の斜面を下れそうです。家入沢の滝が見えます。
ヒトか獣か両方か、踏み跡らしきものが。小さなくの字くの字で沢に下っています。
最後の3mほどは垂れたワイヤーロープに助けられ
家入沢に降りました。かなり急峻な沢です。
堰堤なのか謎のコンクリートの遺構に立って周辺を観察します。
事前のイメージでは家入沢の右岸上にある駐車場で日陰指尾根はおしまい、でしたが駐車場への赤いドア(写真中央やや上)はガッツリ閉じられているし、そもそも対岸に渡ることも対岸を這い上がることも無理そう。尾根を登り返して他の場所を探すしかないか、と愕然としていたら
日陰指尾根にへばり付く桟道がありました。
朽ちかけた丸太や鉄柵の残骸みたいなのがお互いに支え合っています。
桟道を渡るとプールのような謎の施設に出ました。
先に進むとバスの車窓からよく見ていた「奥多摩クライミングセンター」でした。敷地内を通らせていただきます。ありがたいです。なんとかなりました。
センターから降りてきました。これにて日陰指尾根はおしまいです。大沢バス停はすぐですが次のバスまで40分ほど。大沢バス停でログを切り、奥多摩駅まで歩くことにしました
道すがら。飛行機雲がVサインを出してくれました。ありがとうございます。
コンビニで缶ビールを購入。ギリギリ間に合わなかった電車の次の電車をホームで待ちます。
タル沢右岸尾根は出合の滝から取付けられなかったことがちょっと残念ですが、まっ、いまのわたくしではこんなものでしょう。日陰指尾根をまた歩くことがあるなら登り一択です。
山の神様、地権者の皆様、きょうもありがとうございます。キッツい尾根歩きでしたが無事に帰ることができました。またよろしくお願いします。