笹尾沢右岸尾根、棒ノ嶺北東尾根

今回は笹尾沢右岸尾根(ささおさわうがんおね)を登り、棒ノ嶺(ぼうのれい)から棒ノ嶺北東尾根(ぼうのれいほくとうおね)を下り、「さわらびの湯」まで歩きました。
笹尾沢右岸尾根という名前はテキトーで、棒ノ嶺(棒ノ折山)のちょっと西をてっぺんにして、南南西に下り、大丹波川(おおたばがわ)と笹尾沢の出合いを下端とする尾根です。下端には大丹波川に架かる朴橋(ほおのきはし。『奥多摩 登山詳細図(東編)』には「礼橋」と記載されています)、橋の右岸側には大丹波沈砂池とその奥に取水場があります。
笹尾沢右岸尾根に道はありません。少なくともわたくしが歩いた尾根筋直登ルートには、道らしい道はほぼなく、あるのはごく薄ーい獣道と薄い獣道のみ。地図に登山道の記載はなく、ネットでもこの尾根の情報は得られず、等高線はみっちり詰まっています。キツい尾根歩きになる覚悟はしていましたが、生半可な覚悟は登り始めて10分ほどで完膚なきまで粉砕されてしまいました。劇坂、水を含んでズルズルの足元、トゲが混じる濃い藪、倒木とそこから四方八方に突き出る枝。粉砕された覚悟は全身から吹き出す汗にドロドロに溶け、わたくしの生気を流し去るのでした。
棒ノ嶺に着いたら今度は雨です。ぐったりして休憩していると、雨が降りだしました。通り雨かなと思っていたらなかなか止まず、小雨から本降りに。黒山のさきから北へ下る尾根を予定していたんですが、棒ノ嶺北東尾根を下ってさわらびの湯に向かうことにしました。
傘を差して東屋を出発。棒ノ嶺北東尾根の途中から土砂降りといっていい激しい雨になり、雷鳴も聞こえるようになりました。さらに豪雨と近づく雷鳴。雷光と雷鳴の間隔が5秒から3秒になり、ついには雷光とほとんど同時に爆裂音が2度、3度と襲います。少しでも低い場所がいいんだろうと、尾根筋から2、3メートル下がって待避。雷と関係があるのでしょうか、いきなり頭痛が襲ってきます。15分ほどたったでしょうか、雷鳴が遠くなりました。おそるおそる尾根を下ります。ようやく名栗湖を周回する車道が見えた頃には、雷は遠く低く遠雷の趣で、雨も小雨になっていました。

コース [START]JR青梅線川井駅→(1時間20分)笹尾沢右岸尾根→(3時間20分)尾根のてっぺん→(5分)棒ノ嶺→棒ノ嶺北東尾根→(1時間40分)名栗湖周回道路→[GOAL](25分)さわらびの湯→西武鉄道池袋線飯能駅
歩いた日 2018年08月13日(月)
※赤い線が歩いた軌跡です。ただ、正確無比なものではありません。あ〜、そ〜、このあたりを歩いたんだ、程度の参考にしてください。


[START]JR青梅線川井駅→笹尾沢右岸尾根→尾根のてっぺん→棒ノ嶺→棒ノ嶺北東尾根→名栗湖周回道路→[GOAL]さわらびの湯


笹尾沢右岸尾根は道なし劇坂。しみじみと、なんでこんなことしてるんだろう、と思える尾根です。


おはようございます。JR青梅線川井駅です。電車は奥多摩に向かって滑り出し、奥多摩大橋は微動たりともしません
川井駅の改札を出て右にあるトイレは大も小も中々きれいです。改札を出て左の階段を下り、大丹波川を渡ります。

川井駅から笹野沢右岸尾根の取り付きがある朴橋までです。


朴橋に着きました。その向こうに植林の横っ腹を見せているのが笹野沢右岸尾根です。

橋を渡って右手になんとなく踏み込めそうな凹みがあります。

路面が乾いていた沈砂場の前まで戻り正装(首に黄タオル、両手に軍手、左手に杖)の支度をしていると、取り付きの真ん前に車が停まりました。ニッカボッカに鎌を持ったオジサンが降りてきて、車の鼻先の方に歩いていきました。

尾根を巻く道なのでしょうか。あちらに鎌オジサンは去って行きました。右側が笹野沢です。

わたくしはこちら。いきなり杖と腕で草木を押しのけながらの苦闘を強いられます。

これを登れば劇坂48のオーディション合格! などとアホな思いで気を紛らわしながらジンワリジンワリ登っていきます。

登ってきて、

登ります。

道があるんじゃないかと、伐採地との境目に出ました。

道らしいものはありません。テキトーに登ります。

テープがあって道っぽい場所なんですが、だまされてはいけません。あちらこちらに藪の割れ目があるんですが、やがて藪に埋没してしまいます。

伐採地との境目はあまりにも日差しが強く、後頭部に鈍痛を感じるほどです。植林帯に逃げ込んできました。

すでに靴はドロドロ。ザックを降ろして休憩です。再始動には長い時間と大きな気力がいりました。

大丹波川に落ち込む尾根たち。下流方向を眺めています。左手前の窪みが笹野沢です。

登ってきて、

登ります。このあたりからヤセ尾根になります。

こんな岩を回り込むと、

急登です。

で、こんな岩を回り込むと、

やっぱり急登です。

急登です。

急登でした。

画像ではよくわかりませんが、あの岩塊の向こうに急坂がふんぞり返っているのが見えます。

あまりふんぞり返っていませんでした。

たき火跡を通過します。

尾根筋を作業道が横切っていました。ついフラフラとあっちに行きそうになったんですが、どこに連れて行かれるのかわかりません。

少しでも楽な足場を探しながら、一歩ずつ進みます。とてもじゃないですが二歩ずつは進めません。3分歩くと1分休むくらいのペースになっています。

こういうふうに振り返った写真が多いのはバテている証拠です。撮影にかこつけてちょっとでも休もうという、さもしい根性の現れなのです。

ややゆるい坂なので「ラッキー」と思いながら撮影した記憶があります。

またたき火跡がありました。丸太で組まれたベンチは手練れの技です。

急坂です。

また振り返っています。

左から尾根がやって来て、

合流すると尾根はグッと穏やかになりました。

そしてほんの数十メートルほどでしょうか、こんな立派な道が出現しました。不思議です。沢登り(槙ノ尾沢)後に歩かれているのでちゃんとした道になったんじゃないか、と帰宅後に想像した次第です。

で、テープがあって、

登山道に合流です。やっと、やっと笹野沢右岸尾根を歩き通しました。

こんなところを登ってきました。

すぐ近くにこの林班看板が立っています。棒ノ嶺に向かいます。

これは棒ノ嶺北東尾根への下り口。見るたびに道がはっきりしてきているように思います。この時点では後にこの丸太を跨ぐことは予想していません。

棒ノ嶺の山頂に到着。曇っています。

山頂より。

山頂より。ポツリポツリと雨が降ってきました。

東屋の中や軒下で20人くらいが雨宿りです。止む気配がないのでわたくしは棒ノ嶺北東尾根に向かうことにしました。予定していた尾根は初めて歩くのでこの状況ではちょっと厳しいと思いました。バテているし。折りたたみ傘を差して出発です。

棒八の(706m)から棒ノ嶺の方向を見上げますが、雨雲に覆われて全く見えません。棒ノ嶺北東尾根を下った時の記録はこちらこちらこちらは下端で支尾根に乗り換えました。

雨水が道を音もなく流れ出しました。

雷は近づくし、雨はドンドン強くなるし、「ヒェー、なんじゃこれー」とか言いながら下っていたんですが、ヤバイ感が積乱雲のようにモクモクと膨れあがってきました。

右隣の尾根のすぐ上の方でドバリン、バッバリバッバ、ダバーンと雷鳴が轟きました。尾根筋を歩いていることに危険を感じ、2、3メートルほど尾根をはずれてしゃがみ込みました。「いま雷にやられたらこれが最期の写真になるのか。いまひとつかっこよくないなあ」とか思いながらグッショリ濡れた軍手でシャッターボタンを押したのでした。

しゃがみ込むこと約15分。雷がやっと遠のいたので歩き始めることに。雨に煙る眼下に周回道路が見えてくると、思わず長いため息が漏れ出たのを覚えています。

車道に下り立ちました。よかったです。最期の写真はまだ先になりそうです。

「有間の湧水」まで行ってみました。竹樋からものすごい勢いで水が飛び出していました。ほとんど雨水なんだろうなと思い、水汲みはしませんでした。

有間ダムからの眺め。雨はほぼ止み、上流の山間からガスが立ちのぼっていました。

さわらびの湯です。山中では食べなかったサンドイッチを肴に一人反省会です。きょう反省することがあるほどわたくしは自分に厳しくありません。強いて言えば粒マスタードを塗り忘れたことかな。
 
お読みいただき、ありがとうございました。

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