奥多摩尾根歩き
バラクボ沢右岸尾根、高水山北東尾根

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高水山の巻き道→高水山北東尾根→林道上成木川井線


危険な場所はないものの、わたくしは後半で想定していたルートを外してしまいました。「母さん、僕のあの杖、どうしたんでせうね? 」

直進は高水山の山頂へ、左は巻き道です。
道標のアップ。巻き道へ進みます。
円空みたいな仕事。
左の陽が当たっているあたりが目指すカドノ沢左岸尾根だと思われます。
これは高水山の山頂を見上げたところ。
向こうにもそれらしい尾根が見えます。あっちか、
こっちか。こっちです。巻き道に入って最初の尾根らしい尾根が正解です。
イイ感じです。
660mあたりで尾根が丸ーくなって左右に分かれます。行く手がはっきりしません。
ここは右の尾根を選びます。赤テープもありました。
こんなヤセた場所もあります。
スープヌードルのマーク。
イイ感じです。
確か576mのピーク。ここで尾根は分岐します。右に進みます。
不思議な形の切り株。切り株に木の輪切りを載せているわけではありません。わたくし、力一杯持ち上げてみましたがビクともしませんでした。
採掘場が見えました。
尾根筋はススキで覆われています。2m近い高さがあります。ススキとヒノキ(?)の幼木の境にはシカ除けの網が張られています。
ヒドイ、といってもいいくらいの激しさで襲ってきます。
※後日の検証
500mあたりからこのススキに覆われた尾根筋を離れ、右の尾根に移るのが地理院地図に記載されている登山道です。
ベリッと根こそぎ剥がれた木もあります。
尾根筋を離れて右の植林に逃げ込もうか、思案しながら少しでも歩きやすいところを探して進んでいます。
この写真ではわかりませんが、肉眼でもわからないくらい巧みに倒木が仕掛けられています。何カ所も。足が引っかかります。向こうずねを打ったりします。おっとっと、と多々良を踏みそうになるんですがススキが邪魔して踏むこともできず、ズザッという感じで無様に四つん這いになったりするんです。ススキが目に刺さりそうで恐いんです。
樹皮がバナナの皮のように剥けた木もあります。
幹はこんなんです。どうしちゃったんでしょう。
尾根を振り返ります。右の上の方からずっとススキ攻撃でした。やっと終わりか、と思ったら、
まだ続きます。
知らんぷりして飛行機雲を撮ったりしたんですが、現実は現実のまま足元にあります。
しつこいススキ。しかも斜度がキツくなってきました。
キツいにも程があるでしょ、くらいのキツさになってきました。
植林の中に避難します。するとどうでしょう、向こうに歩きやすそうな尾根が見えます。天使の誘(いざな)いか悪魔の誘惑か。
ここは地図を出して慎重に検討します。そうです。わたくしは今回の山行の2日前に『奥多摩登山詳細図』の東編と西編をまとめて大人買いしたんです。前々から買おうと思っていたんですが、なんだか買いそびれてきました。地形図がベースなので別に地理院地図を用意しなくてすみます。ただ山名の白抜き楕円マークで等高線が判然としないので、山域によってはやはり地形図を用意した方がいいかな、という印象です。
でもって、尾根が違うという結論に達し、あちらのススキ足すことの急降下地獄からトラバースしてきました。
こんな尾根を降ります。急坂ではありますが、スッキリした地面は夢のようです。で、ここで痛恨のミスが発覚。杖が手にないじゃありませんか。ケーヨーD2で買ったコールマンの杖です。おそらくススキに攫われたのだと思います。心身ともに探しに戻る余裕はありません。ゴミにならないよう、誰かに(できれば山ガール)拾って使っていただければ、と願うばかりです。
「母さん、僕のあの杖、どうしたでせうね? 
なにしろ急峻な尾根で、それにススキが 
背丈ぐらい伸びていたんですもの」
道はあるような、ないような。どちらかというとありません。
が、唐突に赤テープが現れました。
テキトーに降っていきます。
お墓が見えてきました。林道に出るはずだったんですが、「まっ、いいか」という感じです。それはウソです。「無事下山できそうでホントによかった」という気持ちでいっぱいです。
民家も見えます。もう安心です。
中央やや右寄りの尾根から白い建物(倉)の右上に降りてきました。微妙な達成感をなんとか大きく育てながら、車道に出て右へ、成木川に沿って歩きます。次は松ノ木峠を目指します。